公開日 2024年03月15日
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はじめに
令和6年第1回登別市議会定例会にあたり、市政執行に関する私の基本的な考えを申し上げ、市民の皆様並びに市議会議員の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
はじめに、令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に対し謹んで哀悼の誠を捧げるとともに、ご遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。また、被害に遭われた皆様に対しまして、心からお見舞い申し上げるとともに早期の復旧・復興をお祈りいたします。
我が国は、急速な人口減少・少子高齢化が進んでおり、国立社会保障・人口問題研究所が公表しました「日本の将来推計人口」においては、1億2,600万人の人口は、2100年には6,300万人に半減し、高齢化率が約40%の「年老いた国」になると推計されております。
また、同研究所が新たに公表しました「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」においては、本市の人口は、2030年には人口4万人を切ると推計されております。この4万人のうち約1万5,600人、割合にして約4割の市民が65歳以上になると見込まれており、本市の高齢化のスピードは国の高齢化のスピードと比較しても、速く進むことが想定されます。
このような状況の中、国は、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指す「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、デジタル技術の活用によって、地域の個性を活かしながら地方の社会課題解決や魅力向上の取組を加速化・深化することとし、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略を改訂し、令和5年度を初年度とする5カ年の「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を新たに策定しました。
本市では、人口減少を緩やかにし、将来にわたって活力ある地域社会の実現を目指すため、令和2年度を初年度とする「第2期登別市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、地方創生の取組を進めておりますが、国の総合戦略を勘案し、今後は、デジタルの力をこれまで以上に活用しながら承継・発展させ、地方創生の充実・強化に向けた切れ目のない取組を推進することとし、現在、総合戦略の一部改訂に取り組んでいるところであります。
人口減少が続いた場合、地域経済が縮小し、更なる人口減少といった悪循環に陥ることが想定されることから、この悪循環を加速させないためにも、市内企業の活力を高め、創業支援や企業誘致による雇用の確保、本市の強みである観光による産業振興など、まち全体として稼ぐ力をつけていくことが大切です。
また、「住みつづけたい、住んでみたいと思える魅力あるまち」を目指し、市民の皆様と連携・協力の下、まちづくりを積極的に進め、賑わいのある活気あふれるまちをつくっていくとともに、市民の生活基盤の安定を図り、子どもを安心して産み育てられ、幸せな老いを迎えられるよう、取り組んでいかなければなりません。
併せて、人口減少社会を見据え、将来にわたって安定的・継続的に行政サービスを提供することができる仕組みづくりや、市民一人ひとりの生活や生命、財産を守っていく体制づくりの構築に取り組んでいくことが求められております。
以上のことを踏まえ、令和6年度における市政の執行については
「人が輝き、活気あふれるまち」
「支え合い、安心して暮らせるまち」
「手を取り合い、豊かな未来へつなげるまち」
の3つを柱とし全力で取り組んでまいります。
1点目「人が輝き、活気あふれるまち」について
〇第1に地域経済の活性化とまちづくりについてでありますが、地域経済の活性化を目指すうえで、企業の生産性向上による経営基盤の強化はもちろんのこと、市内消費の喚起や創業の促進を一体的に推進していくことが重要です。
また、地域経済を将来にわたって維持・発展させていくためには、地域に多様な形で関わる関係人口の創出を目指すとともに、まちに活気を呼び込む取組が必要となります。
中央地区においては市役所本庁舎の新築、登別地区においてはJR登別駅へのエレベーター等の設置及び駅舎の新築など、一部工事が進行しており、これらの整備を「まちの活性化」への期待に繋げ、市民とともに人々が集う活気あふれるまちづくりを進めることで、市内経済の好循環に繋げていかなければなりません。
中央地区については、新庁舎建設に並行して、現在、中央地区まちづくり協議会において活性化に向けた協議が進められており、サウンディング型市場調査での事業提案及び同協議会からの提言書をもって、市として、目指すべき中央地区の未来像やまちづくりの方向性について速やかに検討し、お示ししていきたいと考えております。
登別地区については、JCHO登別病院の移転・新築に加え、観光・アイヌ関連情報の発信やコミュニティ機能を有する観光交流センター「ヌプル」を整備したところであり、今後におきましても、JR登別駅へのエレベーター等の設置及び駅舎の新築、駅前広場の整備、道道登別停車場線の無電柱化が予定されており、まちの様相が変化してきております。
今後、地域・民間主体の新体制による協議体を立ち上げ、婦人センター跡地の利活用や道道登別停車場線沿線の活性化など、テーマ・ゾーニングごとの協議が予定されております。
JR登別駅前周辺の整備が進む同地区において、未来のあるべき姿を共有しながら、協議体と連携し、登別地区の活性化に向け取り組んでまいります。
地域経済の維持・発展については、生産年齢人口の減少に伴う人手不足等により、市内事業者を取り巻く環境は厳しさを増していることから、市内事業者の持続可能な経営基盤の確立・強化に向け、生産性の向上や業務改善、集客促進等が期待できるソフトウエアやデジタル機器の導入を支援し、市内事業者のデジタル化を促進してまいります。
地域におけるIT人材の育成については、日本工学院北海道専門学校と連携し、地域おこし協力隊として「IT化促進マネージャー」を募集します。
協力隊員には、同校で情報セキュリティマネジメントなどの資格や知識を習得してもらい、卒業後は市内においてITを利用した地域活性化に資する事業を展開してもらうなど、IT人材の育成に取り組んでまいります。
農業の振興につきましては、良質な家畜飼料の確保と飼料自給率の向上による生産性の高い畜産経営の安定を図るため、引き続き、草地整備を支援してまいります。
漁業の振興につきましては、近年の海水温の上昇により、サメによる漁業被害が課題となっていることから、引き続き、サメの捕獲事業を支援してまいります。
また、登別漁港の整備については、いぶり中央漁業協同組合や白老町と協力し、漁港の衛生管理対策の強化に向け、事業主体である国と協議を進めてまいります。
地方創生の取組については、デジタル田園都市国家構想の実現に向け、国の支援策も活用しながら様々な事業を展開しているところであり、その財源確保のためにも、ふるさと納税の取組を積極的に行ってまいります。
令和5年度は、かねてより目標としていた10億円を上回る見込みとなったことから、令和6年度は、寄附額12億円を目指し、マーケティング分析に基づいた返礼品の改善・新規開発を促進するとともに、寄附受付ポータルサイトの特徴分析による寄附者へのアプローチ手法を検討し、寄附額の増加、SNS並びにイベントを通じた関係人口の創出を目指してまいります。
また、「企業版ふるさと納税」については、今般、取り入れたマッチング支援業務の仕組みを活用し、これまで以上に本市の地方創生の取組を広くPRしていくとともに、更なる寄附の獲得を目指してまいります。
〇第2に観光地としての新たな魅力づくりについてでありますが、国全体では、令和5年11月の訪日外国人客数は、コロナ禍前とほぼ同水準まで回復してきております。
また、北海道は雄大な自然や独自の文化、アクティビティ等の魅力を活かしたアドベンチャーツーリズムのポテンシャルが高く、インバウンド需要の更なる拡大が期待されております。
本市における外国人宿泊者延数は、コロナ禍前の水準には及ばないものの、日本人を含めた宿泊者延数は、令和元年度実績の9割程度まで戻ってきております。
本市では、訪れた方々がより登別を楽しんでいただけるように、登別国際観光コンベンション協会をはじめとする団体、企業と連携し、魅力のある観光地づくりを推進してまいります。
近隣自治体との連携については、北海道登別洞爺広域観光圏協議会や、登別市白老町観光連絡協議会等の枠組みを活用し、広域的な誘客促進などに取り組んでまいります。
特に、登別市白老町観光連絡協議会の取組では、企業版ふるさと納税を活用し、両市町の情報発信や受入環境整備を進め、ウポポイを核とした域内の周遊促進を図ってまいります。
また、令和5年にオープンした観光交流センター『ヌプル』において、今後、札幌、新千歳空港行き都市間バスの発着により、交通結節点の機能を充実させるほか、エレベーターの設置を含めたJR登別駅のリニューアルに向け、令和8年度の完成を目途とし、JR北海道と引き続き取り組みを進めるなど、市民や観光客の利便性の向上を図ることで、周辺地域の賑わいの創出に繋げてまいります。
併せて、歩行者・車輌等の安全性や円滑な乗り継ぎ機能を確保した利便性の高い駅前広場の整備に向け、令和7年度から着手を予定している本工事に先立ち、令和6年度は支障となる下水道管の移設工事を実施してまいります。
2点目「支え合い、安心して暮らせるまち」について
〇第1に誰もが安心して産み・育てられる環境の充実についてでありますが、我が国では、出生数が減少し続けている状況であり、少子化は日本が直面する最大の危機として、全ての子ども・子育て世帯に対する切れ目のない支援等を推進するため、令和5年12月に「こども未来戦略」を閣議決定しました。
本市においては、令和6年度に第2期子ども・子育て支援事業計画の計画期間が終了しますが、新たに策定予定である「市町村こども計画」と一体的に策定し、未来を担う子どもたちが健やかに成長できる環境の構築を目指すとともに、誰もが安心して出産・子育てができる環境の整備など、時代や社会情勢の変化に適切に対応してまいります。
妊娠期から子育て期の切れ目のない支援の強化については、産後ケア事業について、対象を産後における心身の不調又は育児に不安等がある産婦から、サービスの利用を希望する全ての産婦とし、これまで、通所型と訪問型のみであったサービスに宿泊型を追加するなどの拡充をしてまいります。
また、全額が保護者の自己負担であった1か月児健康診査の費用の一部を助成することで、乳幼児健康診査の実施を強化し、乳児の健康保持・増進を図ってまいります。
子育て世帯の負担軽減については、昨年8月から高校生世代まで拡大していた入院医療費に加え、通院医療費についても本年8月から助成対象とし、併せて、資格要件の一つである保護者の所得制限を撤廃するなど、18歳以下の全ての子どもにかかる医療費について助成し、子育て世帯の負担軽減に努めてまいります。
公立保育所については、栄町保育所を廃止し、千代の台団地の子育て支援住宅に隣接する「幼保連携型認定こども園」が、本年4月に開園予定であり、鷲別町以西へ通勤される方にとっては、国道沿いの鷲別保育所と併せ、子どもの預け先に関する選択肢が広がるなど利便性の向上が期待されます。
今後につきましても、保育需要への柔軟な対応や地域の子育て支援等の充実を目指し、公立保育所の民営化に取り組んでまいります。
保育所での子どもたちの活動については、令和5年度から試行的に実施している、外国人等による英語体験の取組を継続し、海外の文化に触れる機会と環境づくりを進めてまいります。
児童の放課後等の活動拠点の確保については、幌別東小学校と幌別小学校の統合や常盤児童館の老朽化等の状況から、令和6年度に幌別小学校の敷地内に放課後児童クラブを併設した新児童館の建設工事を予定しているほか、コミュニティセンター「桜木の家」内にある青葉児童クラブについても、利用児童の安全確保の観点から、令和6年度内に青葉小学校の校舎内へ移転するなど、地域の子育て支援の充実と放課後の児童の安全・安心な居場所づくりを進めてまいります。
地域で子どもを見守る環境づくりについては、民間事業者が居宅を家庭訪問するなど、対象となる世帯の見守り体制の強化を図っているところであります。令和6年度は、令和5年度より訪問回数を増やすなど、よりきめ細かな状況把握・見守りに取り組んでまいります。
定住促進と少子化対策にかかる取組については、令和5年度から、夫婦として新生活をスタートする39歳以下の世帯に対し、家賃や引越費用等の一部を上限30万円として補助しております。令和6年度は、特に29歳以下の若い世帯に対して、補助上限額を60万円に拡大し、経済的な負担や、生活への不安の軽減となるよう支援してまいります。
また、市営住宅に住む子育て世帯の経済的負担の軽減や本市への定住促進を図るため、子育て世帯の裁量階層の対象範囲を「小学校就学前の子どもがいる世帯」から「高校生世代までの子どもがいる世帯」に拡大してまいります。
更に、「若者夫婦世帯」を裁量階層に追加し、結婚から妊娠、出産、育児まで切れ目のない住宅支援を行うことで、子どもを生み育てやすい環境の構築に取り組んでまいります。
〇第2に地域共生社会の実現についてでありますが、地域課題の多様化が進む現代において、登別に住む人が互いの「個性」を尊重し、支え合いながら共生していくまちづくり、市民・団体・事業者・行政等による更なる協働のまちづくりを目指していく必要があります。
地域福祉の推進については、8050問題、社会的孤立など地域住民が抱える生活課題は複雑化してきており、各分野ごとの支援体制だけでは、継続的な支援が難しい状況となってきていることから、様々な支援ニーズに対応していく必要があります。
そのため、令和6年度から重層的支援体制整備事業を開始し、高齢・障がい・子ども・生活困窮などの各分野における既存の相談支援等の仕組みを活かしつつ、関係機関とも連携を図りながら、包括的な支援体制の構築に取り組んでまいります。
高齢者施策の推進については、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる環境を構築するため、令和6年度を初年度とする第9期登別市高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画において、「自立支援、介護予防・重度化防止の推進」「認知症施策の推進」「生活支援体制の充実」の3施策を柱に位置づけ、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年度までの中長期的な視点に立ち、地域包括ケアシステムの一層の深化・推進に向け取り組んでまいります。
障がい者施策の推進については、障がいのある人もない人も互いに人格と個性を尊重し、支え合いながら生活できる地域社会を実現するため、令和6年度を初年度とする「第4期登別市障がい者支援計画」において、障がいのある人の親が亡くなった後、「誰が我が子の生活を支えてくれるのか」といった「親亡き後」の問題や、障がいのある人の経済的自立に向けた就労支援、居住の場を確保するための支援など、個々のニーズに応じた生活支援体制の整備を進めてまいります。
男女共同参画の推進については、令和5年度に策定した第3次の登別市男女共同参画基本計画に基づく取組を進めるとともに、生きづらさの解消や性の多様性の理解促進などの観点から、令和6年度中に性的マイノリティの方々を対象とするパートナーシップ制度の導入を目指してまいります。
国際交流や多文化共生の推進については、引き続きファボー・ミッドフュン市との交流活動を支援していくとともに、友好都市であるサイパン市との市内中学生を中心とした交流を実施するなど、子どもたちが異文化に触れる機会の創出に取り組み、両市との交流を深めてまいります。
併せて、近年、本市において外国人労働者が増加している状況にあることから、地域住民の国際理解と多文化共生の推進に取り組んでまいります。
この推進にあたりましては、地域おこし協力隊として新たに「国際交流プロジェクトマネージャー」を募集するとともに、外国人住民が孤立せずに、気軽に相談ができる環境や、地域住民と外国人住民が交流できる環境を つくってまいります。
3点目「手を取り合い、豊かな未来へつなげるまち」について
〇第1に環境に優しいまちづくりについてであります。
登別市が有する豊かな自然環境を守り、これを次の世代に引継ぎ、将来にわたって住み続けられるまちづくりを進めていくためには、環境負荷の低減に継続して取り組んでいく必要があります。
本市では、市内全域を対象とする温暖化対策実行計画(区域施策編)の改定版を令和5年度中に策定する予定でありますが、この計画において、二酸化炭素の排出量を基準年度となる2013年度比で、2030年度までに48%の減、2050年度に実質ゼロにすることを目標に据えることとしております。
実績の算出が可能な直近年度である2020年度の二酸化炭素排出量は2013年度比で約20%の減となり、2030年度までに48%削減するためには、毎年3%程度削減していくことが必要となります。
これらの目標を達成するためには、市民、事業者、行政の各主体が協力・連携して取り組みを進めていくことが重要でありますので、市役所新庁舎のニアリーゼブ(NearlyZEB)化や公共施設への太陽光発電設備の設置など、市が率先して取り組みを進めることはもとより、市民や事業者の脱炭素に資する取組が促進されるよう、新築住宅のゼッチ(ZEH)化や既存住宅の断熱改修、省エネ家電の買い換え等のほか、市内事業所への太陽光発電設備の設置等に対し、引き続き支援措置を講じるなど、市内における温暖化対策を推進してまいります。
クリンクルセンターについては、施設を稼働した平成12年4月から令和12年3月までの30年間稼働することとし、これまで、長寿命化計画に基づき延命化を図ってまいりましたが、令和4年度に、更に10年間延命化する方針を決定し、令和22年3月までの40年間稼働させることを決定しました。
このため、令和6年度は、再延命化工事に向け、クリンクルセンター再延命化計画の策定を行うとともに、脱炭素化の取組として、エネルギー消費の大きい同センターの照明設備LED化工事を実施するほか、周辺敷地に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を同センターにおいて自家消費することを見据え、旧し尿処理場の除却事業に着手してまいります。
〇第2に持続可能な行政経営についてでありますが、人口減少の悪循環は、人手不足や税収減など、行政運営においても大きな課題となります。
将来にわたり、市民の皆様に質の高い行政サービスを提供し続けるためには、コミュニティセンターや職業訓練センター、図書館、のぼりべつ文化交流館等の老朽化が著しい公共施設の適正配置等に向け、今後のあり方を検討するほか、行政目的が喪失した公有財産を、貸付や売却処分等により積極的に利活用することや事務事業のスクラップアンドビルドなど、これまで積極的に進めてきた行財政改革の取組をしっかりと継続することが肝要です。
また、デジタル化などによる業務効率化やコスト抑制、提供するサービスの最適化など、様々な仕組みを変革し、新たな価値を見いだすことが必要と考えております。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進については、引き続き電子申請の利用の促進に取り組むとともに、令和5年度に構築する地理情報システム(GIS)と連動した防災対策の仕組みの検討や地図をベースとしたデータに基づくまちづくりに繋がるよう取り組みを進めてまいります。
併せて、行政手続きや日常生活においてもデジタル化によりスマートフォンなどの電子機器が生活の基盤になってきていることから、スマホ教室を開催するなどデジタルデバイド対策にも取り組んでまいります。
行政事務の効率化については、すでに実施しているデジタルの活用を念頭に事務改善を模索するビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)の取組や、庁内ネットワーク構成を見直すことにより、働きやすさを高め、業務効率化による生産性の向上及び質の高い市民サービスの提供を目指してまいります。
本市の財政運営については、人口減少、少子高齢化の進行により、市の歳入の根幹である市税収入の減少が見込まれる中、市役所本庁舎整備事業をはじめとする大型事業の実施を計画しているほか、物価高騰などへの対応に取り組んでいく必要があります。
令和6年度において社会経済情勢や地方財政制度の動向などを踏まえ、令和7年度から令和14年度までの8年間を期間とする「中期財政見通し」を策定するとともに、「大型事業推進プラン」「廃止施設等除却推進プラン」を改定し、安定的かつ健全な財政運営を講じ、将来にわたり持続可能な市政運営を図ってまいります。
〇第3に災害に強いまちづくりについてでありますが、令和6年能登半島地震では、人命や家屋等に甚大な被害が発生しており、今もなお避難生活を送られている方が多くいらっしゃいます。
今後も、降雪や強い冷え込みなどの厳しい状況が続いた場合、低体温症やエコノミークラス症候群、感染症といった災害関連死の増加が懸念されております。
本市においては、令和4年に日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が冬の深夜に発生した場合における被害想定が公表され、冬季における災害対策の必要性が高まっているところであり、本年1月末までの間に各地区連合町内会ごとに2回ずつ地区懇談会等を実施し、市民の皆様から津波対策等に関する多くの貴重なご意見をいただきました。
令和7年2月には、本市で初となる冬の総合防災訓練を実施することとし、市民の皆様からいただいたご意見を参考にしながら訓練を計画するとともに、今春から、避難経路の現地視察や町内会等のご協力のもと、事前に避難想定経路で実際に避難にかかる時間を計測するなど準備作業に取り組んでまいります。
隔年で開催する総合防災訓練を通して得られる知識や経験は、災害が発生した際に、冷静に行動し、的確な判断をするための貴重な財産となります。冬の総合防災訓練の実施にあたりましては、防寒具を着用した状態での避難や寒さ対策に重点をおいた避難所運営など、体験を重視した訓練を実施し、避難にかかる時間や身体への負担度など、夏季との違いを感じていただける絶好の機会としてまいりますので、市民一人ひとりの積極的な参加をお願いします。
避難路の整備については、「登別市地域防災計画」に基づき、地震防災対策の推進を図ることを目的として、市内において防災上の課題である、避難路の一部が狭くなっている市道富士若山路線や新庁舎への避難路として市道千歳8号線の整備に向け取り組んでまいります。
また、JR線路については、太平洋沿岸部に平行して線路が敷設されている本市において、津波発生時の避難に大きな支障となることが想定されます。
特に積雪時の避難においては、避難速度が遅くなるため、踏切以外の線路横断が必要となります。
線路横断については、本年1月にJR北海道へ線路横断についての協議を進めることについて申し入れたところでありますが、線路横断の前後には、国道や道道の横断も想定されることから、北海道開発局や北海道などの関係機関と連携しながら、市民等の円滑な避難のため、必要と考える線路横断箇所について、本市が率先して、早期の合意を目指してまいります。
消防・救急体制について、現在建設中の消防庁舎は、令和6年度に外構工事を実施し、令和7年4月の供用開始に向けて着実に整備を進めてまいります。また、西胆振圏3消防本部による消防通信指令業務共同運用につきましては、令和8年2月からの運用開始に向け、令和6年度は消防指令システム及び消防救急デジタル無線の整備を実施してまいります。
市役所本庁舎については、「市民の安全安心を守り、市民が集い協働のための庁舎」のコンセプトのもと、防災・子育て・環境等への配慮やインクルーシブ公園の導入等、多くの方々にご利用いただける、利用しやすい庁舎となるよう進めているところであり、令和6年度は1階床までの躯体工事の施工を予定しており、令和7年度末の完成に向けて着実に整備を進めてまいります。
むすび
以上、令和6年度の市政執行に関する基本的な方針の一端を申し上げました。
登別市の50年後を想定してまちのあるべき姿を描いた総合計画基本構想、このあるべき姿の実現に向け、10年間にわたり市が推進していく施策の基本的な方向性を示す基本計画は、現在、第3期基本計画として、令和7年度をもって終期を迎えることとなります。
令和6年度は、令和8年度を始期とする第4期基本計画の策定に向け検討を始める重要な年であり、広く市民の参画のもとに策定を進めてまいります。
私は、今年の漢字一文字は「みのる」と言う意味である「実」にしました。「実」には中身がみのる、みちるといった意味合いだけではなく、嘘や偽りではない本当や誠、まごころという意味も兼ねております。
令和6年度は、これまで市民の皆様とともに「実現」してきたことを踏まえ、「堅実」で「確実」に多くの事業を「実行」しながら、将来の「実り」に繋げてまいります。
「小さくともキラリと光る成熟都市」を目指すべきまちの姿として掲げ、「市民一人ひとりが主役であるまちづくり」に取り組んでまいりました。より「実り」あるものとするためには、市民、議員の皆様をはじめ、本市に関わる全ての方々の更なるご支援・ご協力が必要となりますので、令和6年度も、より一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、私の市政執行方針とします。
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