公開日 2021年02月22日
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市政執行方針(令和3年度)
令和3年第1回登別市議会定例会にあたり、市政執行に関する私の基本的な考えを申し上げ、市民の皆様並びに市議会議員の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
はじめに、新型コロナウイルスがまん延するなか、命を守り生活を守るため、最前線で対応されている医療、介護、保育に従事する皆様をはじめ、全ての関係する方々に、厚く御礼を申し上げます。
引き続き、新型コロナウイルス感染症への対応を最優先にしながら、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図っていき、更に市民に寄り添う行政を目指し最善を尽くしてまいります。
私は、令和2年8月の市長選挙において、4期目の市政を担うこととなり、改めてその職責の重さを感じるとともに、今一度、初心にかえり覚悟を持って、50年後を見据えた健全で持続可能な「小さくともキラリと光る成熟都市」を目指し取り組んでまいります。
国は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、3密の回避やソーシャルディスタンスの確保、テレワークの実施などによる社会生活や社会システムの変容を契機に、社会のデジタル化等を一気に進めることで、あらゆる分野において未来を見据えた改革を進めていくこととしております。
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の感染拡大のなか、昨年本市は、市制施行50周年という大きな節目を迎えました。改めて、今日の登別市を築いてこられた先達のご労苦に対し、心より敬意と謝意を表しますとともに、今年度市制施行50周年記念事業等に関わっていただいた皆様に深く感謝いたします。記念事業では、市制施行50周年記念式典を中止するなど、多くの関連イベントを中止または延期せざるを得なくなりましたが、幸いにも高校生を中心に若い世代がビースマイルプロジェクトで活躍する姿をみることができました。学校行事や部活動などが制限され、例年にはないことが多くありましたが、それにも負けず、おとな達とともに、同世代や更に小さな子ども達を、元気に、笑顔にしようと、イベントを企画から作り上げていったことは、将来の大きな財産になったのではないでしょうか。
しかし、新型コロナウイルス感染症は、観光客の減少や外出を控えることでの需要の減少等によって地域経済活動の停滞や市税収入の減少など、さまざまな影響をもたらしました。
「ウィズコロナ」においては、新型コロナワクチンにより、新規感染者が抑制され、少しずつ経済が回復していくと見込まれますが、引き続き情報収集と対策を講じてまいります。
現在、本市では、ワクチンをできるだけ早期に市民の皆様に接種していただけるよう準備を進めており、65歳以上の高齢者に対して新型コロナワクチンの接種券を本年3月中旬以降に郵送するとともに、その他の方に対してはワクチンの供給状況に応じて、順次郵送できるよう、準備を進めております。
「アフターコロナ」を見据え、希望に満ちた新しいまちづくりを推進していくため、北海道が誇る登別観光の復活を軸に、ウィズコロナに対応した「登別の新たなかたち」の構築を進めてまいります。
また、人口減少や少子高齢社会の進展等の現状を踏まえ、本市では、各種事業にSDGsの理念を取り入れて実施するほか、行政、市民、企業等がSDGsの理念を共有し理解を深めていく活動に取り組んでいくなど、持続可能なまちづくりを推進してまいります。
令和3年度は、これからも多くの皆様が登別市に住み続けたい、住んでみたいと思える魅力あるまちに向けた飛躍の年にできるよう、以下3つの重点施策を柱に、市政執行にあたってまいります。
重点施策1点目「未来を見据えて、着実に前進するまちづくり」についてであります。
第1に、まちづくりについては、人口減少や少子高齢社会が更に進み、近い将来、地域産業の停滞や市街地の低密度化による生活利便性の低下等が予想されます。将来にわたり市民の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることのできる、持続可能でコンパクトなまちを構築するため、居住地の集約や生活に必要な都市機能の集約の考え方を示すとともに、公共交通の確保に向けた取組を推進してまいります。
平成30年度から見直しを進めている「登別市都市計画マスタープラン」は、現在、改訂市民会議や改訂委員会等を開催し、原案の作成を進めております。
最終年度である令和3年度は、この原案を基に、都市計画審議会の開催やパブリックコメントなどを実施して、同プランを改訂し、20年後のまちの将来像とその実現に向けたまちづくりの方針を示してまいります。
また、持続可能でコンパクトなまちの実現に向け、その可能性を示す「登別市立地適正化計画」については、現在、都市の現状分析や課題抽出などを行い、策定協議会などを開催し、多くのご意見をいただきながら原案の作成を進めております。
令和3年度は、市内で公共交通や商業施設等が集積している利便性の高いエリアを抽出し、居住誘導区域の設定を行うほか、居住誘導区域内に商業施設等を誘導する都市機能誘導区域の設定を行い、その内容について住民説明会の開催やパブリックコメントを実施するなど、同計画の策定に向け取り組んでまいります。
次に、公共交通は、交通弱者や運転免許証自主返納者などにとって重要性が増しており、公共交通機関の利用促進等を進めて、持続可能な公共交通の在り方を示す必要があることから、令和3年度に「登別市地域公共交通計画」の策定を進めてまいります。
本市では、行政だけでは対応が難しい課題に対して、市民 の皆様とともに解決に取り組む協働のまちづくりを推進するとともに、各種団体と迅速かつ円滑に市民生活に必要不可欠な情報が共有できるようICTの活用を進めてまいります。
第2に、防災については、近年、頻発する大規模自然災害において、各関係団体と役割分担を明確にし、連絡体制の強化・整備を図るとともに、感染対策を講じた避難所運営のほか、消防庁舎の整備を進め、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
大規模自然災害による甚大な被害を回避するため、本年3月に「登別市強靱化計画」を策定します。また、感染対策を講じた避難所運営・管理体制の整備のほか、隔年で実施している総合防災訓練の実施、防災マップ更新に加えウェブ版作成など、災害発生時の対応の充実・強化を進めてまいります。
次に、消防本部・消防署と鷲別支署を統合した消防本部新庁舎建設については、令和3年度に造成工事を実施し、令和7年度の供用開始に向けて着実に進めてまいります。
また、市役所本庁舎の建替については、北海道が令和3年度の早い時期に新たな津波浸水想定を公表する見込みであることから、その内容を精査のうえ、早急に「登別市本庁舎建設基本計画」等の再検証を行い、市役所新庁舎の建替位置等を決定してまいります。
第3に、環境については、気候変動問題を始めとする地球環境の危機が深刻化しているなか、国は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言しました。本市としましても、脱炭素を環境問題の身近な課題として捉え、環境に優しいまちづくりの取組を進めてまいります。
クリンクルセンターは、令和11年度まで稼働させる計画となっており、令和12年度以降の施設の在り方については、白老町と足並みを揃えて、令和4年度中に方針を決定するため、現在、白老町と具体的な協議を進めております。
令和3年度は、現施設の機能診断により、施設の更なる延命化の可能性を探るとともに、新施設建設の場合の処理方法やごみ分別区分の検討等を行いながら、令和4年度の方針策定に向けて、延命化と新設の比較検討を丁寧に行ってまいります。
本年4月からのごみ関連手数料の改定を機に、皆様には改めてごみ減量化に取り組んでいただくことで、次の施設を建設する際は施設規模の縮小が期待され、ひいては二酸化炭素の排出抑制につながりますので、市民そして事業者の皆様には、ごみ減量化へのご協力をお願いします。
第4に、行政改革については、持続可能な行政経営を推進するため、納税等の利便性の向上を図るとともに、公共施設の統廃合による適正配置・総量削減や行政事務等のデジタル化に努めてまいります。
現在、コロナ禍で外出が困難な場面が増えていることから、外に出かけることなく自宅で市税等の納付が可能なスマートフォン決済アプリによる納付を本年4月1日より導入し、更なる利便性の向上を図ってまいります。
小中学校の統廃合については、児童生徒数の減少が続くなか、児童生徒の教育的観点を最優先に、人口減少の影響や財政的な観点を踏まえ、早急に今後を見据えた小中学校の適正配置を検討し統廃合に向けた取組を推進してまいります。
また、公共施設全般については「登別市公共施設等個別施設計画」を基に、公共施設マネジメントに努め、今ある公共施設を長く、大切に活用しながら、利用実態、人口動態に基づく公共施設の適正配置や将来の統廃合を検討するなど、令和3年度に「登別市公共施設等総合管理計画」を見直してまいります。
その他、行政サービスの利便性の向上を図るとともに、職員の働き方改革や組織の活性化を図るため、各種申請や内部事務のデジタル化、テレワーク環境の構築等、スマートな行政経営を実現するため、令和3年度に「情報化推進計画」を策定するほか、新しい働き方を推進するなど、市が率先してデジタル化と働きやすい職場環境の整備を推進してまいります。
重点施策2点目は「未来につながる、誰もが充実した生活を送られるまちづくり」についてであります。
第1に、子育てについては、未来を担う子ども達の健やかな成長のため、妊娠、出産、子育て期にわたる切れ目のない支援を進めることで、誰もが安心して産み・育てられる環境の充実を図ってまいります。不育症に関する検査や治療を受けている方々の経済的負担を軽減するため、北海道の事業に上乗せして助成を行うほか、北海道の制度では所得要件により対象とならない夫婦に対しても市が助成することで、不育症治療を受けやすい環境を整えてまいります。
また、産後うつの予防や母体の健康維持を図るため、現行の産後2週間の産婦健康診査に加え、新たに産後1か月の産婦健康診査に係る費用を助成することにより、産後の初期段階における母子への支援を強化し、授乳状況や精神状態の把握等に努めてまいります。
さらに、新生児の聴覚検査に要する費用を助成し、経済的負担の軽減を図るとともに、3歳児健康診査等において「視機能検査機器」を導入するほか、尿検査の迅速化や精度の向上を図るため「尿自動分析装置」を導入し、病気等の早期発見・早期治療につながる施策を一体的に進めてまいります。
一時保育事業は、これまで登別保育所のみで実施しておりましたが、令和3年度より、栄町保育所と幌別東保育所においても実施することとし、子育てのしやすい環境の整備に取り組んでまいります。
国民健康保険については、安定的な運営を行うための中期的な方向性や被保険者の負担の軽減等を総合的に検討した結果、令和3年度より3か年かけて段階的に保険税を引き下げ、全道の市平均を目指してまいります。
第2に、教育については、児童生徒等のより良い学習環境を整備するため、デジタル化を進めるなど、次世代を担う子ども達を育む環境整備を支援してまいります。
国のGIGAスクール構想に基づいた児童生徒1人1台パソコン端末の本格的な活用が始まる令和3年度は、これまでの教育実践の蓄積に加え、ICT機器の活用により教育が充実するよう支援してまいります。
また、新たにモデル事業として中学校に学校司書を配置し、これまでの小学校児童に加え中学校生徒に対しても読書環境が充実するよう支援するほか、小中学校に校務支援システムを導入し、働き方改革の推進を後押ししてまいります。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のホストタウン等の取組については、デンマーク王国の選手等を招き交流を行うなど、子ども達に一生に一度の感動体験の機会を提供し、夢と希望を与えるきっかけにしてまいります。
第3に、福祉については、高齢者や障がい者など、誰もが住み慣れた地域でいきいきと元気に暮らしていけるよう、地域を支える多くの市民や団体等との協力・連携を図るとともに、地域共生社会の実現を目指し、包括的な支援体制の整備等の構築に向けた取組を進めてまいります。
地域福祉については、地域全体で支えあう協働のまちづくりを目指し、登別市社会福祉協議会が策定する「第4期登別市地域福祉実践計画」と連携した新たな「第3期登別市地域福祉計画」の策定に取り組んでまいります。
令和3年度から令和5年度を計画期間とする「第3期登別市障がい者支援計画」では、登別市総合相談支援センターenや登別市児童デイサービスセンターのぞみ園を中心に関係機関と連携し生活支援体制・相談支援体制の充実を図るとともに、障がいについての理解を深めて、ちょっとした手助けを行う「あいサポート運動」の促進など、障がいのある人もない人もお互いに人格と個性を尊重し、支え合いながら生活できる地域社会の実現を目指してまいります。
令和3年度から令和5年度を計画期間とする「第8期登別市高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」では、自立支援、介護予防・重度化防止の推進、認知症施策の推進を大きな柱とし、地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた取組を進めてまいります。
特に、後期高齢者を中心に実施するフレイル対策や重症化予防の取組については、新たなグループを設置し重点的に取り組んでまいります。新グループにおいては、高齢者の保健事業と介護予防を一体的に取り組み、糖尿病性腎症重症化予防や低栄養防止、通いの場等におけるフレイル予防の普及啓発や健康相談を実施してまいります。
重点施策3点目は「未来を切り開き、活気にあふれ賑わいのあるまちづくり」についてであります。
第1に、観光振興については、観光の復活に向け、感染対策を徹底しながら、国内近隣地域の誘客を改めて見直すことから始め、アフターコロナを見据えて、新たな旅行スタイルに対応した観光客の受入体制の整備や誘客を進めてまいります。
本市は、北海道内でも有数の観光地として、これまでも先進的な取組を実施してきており、北海道観光をけん引する気概を持って、観光の復活に向けて新たな旅行スタイルに対応した取組を進めてまいります。
そのため、登別国際観光コンベンション協会と連携し、タブレット端末等を活用した非対面型の観光案内・観光情報の発信の運用を開始いたします。
また、国の「地域活性化起業人」の制度を活用し、民間企業から人材を派遣していただき、今後の航空路線の就航状況や北海道新幹線の札幌延伸などを踏まえ、広域観光団体と連携しながら、ICT活用によるサービスやオンラインによるプロモーション、リモートワーカー等の新たな層の受入環境整備などを実施してまいります。
次に、JR登別駅のエレベーター等の設置については、本市を訪れる観光客等の利便性の向上を図るため、引き続き、北海道旅客鉄道株式会社と工程や供用開始時期を含め、より具体的な協議を行い、早期実現に向け、事業を進めてまいります。
その他、登別温泉地区の交通課題を解決するため、トヨタ・モビリティ基金の助成を受け、令和3年度にグリーンスローモビリティの実証実験を実施し、極楽通り商店街の交通渋滞の抑制、観光客の周遊性の向上等を図ってまいります。
第2に、アイヌ施策については、市内のアイヌの人々のニーズを把握し、「登別市アイヌ施策推進地域計画」に基づき様々な事業に取り組むことにより、アイヌ文化の振興を図るほか、地域活性化を推進してまいります。
令和3年度は、アイヌ文化関連の史跡などが多い登別地区を中心とした周遊マップを作成し、JR登別駅前周辺の案内看板や誘導看板などを整備してまいります。
また、(仮称)登別市情報発信拠点施設については、アイヌの文様を施し、地域と調和のとれた建物をイメージしながら、アイヌ文化等の情報発信機能のほか、観光インフォメーション機能の強化や地域交流の場を整備するため、令和4年度中のオープンを目指し、鋭意準備を進めており、令和3年度は建築工事に着手してまいります。
第3に、経済対策については、感染拡大による市内経済への影響を緩和し、雇用維持や事業継続、生活を下支えするため、事業者等に対する経営支援や消費喚起などを、切れ目なく実施するとともに、食の魅力の向上や発信を推進してまいります。
先の臨時会で議決された「経営等エール給付金給付事業」を迅速に実施するとともに、「湯之国登別クーポン発行事業」を着実に実施することで、落ち込んだ市内経済の復活に向けた足掛かりにしてまいります。
加えて、登別商工会議所と連携しながら、市内消費の喚起により、市内経済の回復が図られるよう経済対策を実施してまいります。
また、商店会等が行う各商店街の活性化に資する事業を後押しするほか、市内事業者による販路拡大を図るための商談会等への出展に対し支援するとともに、登別ブランド推進協議会を中心としながら、豊かな地域資源を活用した食の魅力向上やICTを活用した販売戦略等の推進を図ってまいります。
創業支援については、コロナ禍においても、創業に対する一定のニーズがあることを踏まえ、引き続き、創業スクール等の実施により創業支援対象者の掘り起こしを図るとともに、市内において新たに事業活動を行う事業者に対し、事業所開設費補助金等により支援を行うなど、創業による地域経済の活性化を図ってまいります。
本市のふるさと納税については、更なる魅力向上を図るため、多くの方に応援していただける企画を検討するほか、新たな返礼品の企画開発を、事業者等と協力しながら取り組んでまいります。
以上、令和3年度の市政執行に関する基本的な方針の一端を申し上げました。
社会構造の転換期を迎え、パラダイムシフトによる価値観の転換が求められる今、前例にとらわれることなく挑戦し続ける姿勢こそが、この困難な時代を乗り越える原動力になると確信しています。
50年後を見据え、子ども達や孫たちに、魅力ある登別を残していけるよう、市民、団体、企業等と緊密な連携を取りながら、これまで以上に魅力あるまちに向けた取組を進めてまいります。
私の本年の漢字一文字は「敬」にいたしました。現在、ソーシャルディスタンスによる物理的な距離は広がりましたが、敬愛と思いやりの心を持つことで心の距離は縮まるものと信じています。人を敬い、謙虚な姿勢を持ち、慎んで行動することで、様々な局面において市民の皆様とともに乗り越えていきたいと決意を新たにしております。
子ども達が希望を持つことができ、幅広い世代間で共に見守り支え合いながら自分らしく暮らせる、「誰ひとり取り残さない社会」となるよう、全職員と力を合わせ、一枚岩となって取り組んでまいります。
市民の皆様、市議会議員の皆様のより一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、私の市政執行方針とします。
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