公開日 2019年02月22日
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市政執行方針(平成31年2月)
平成31年第1回登別市議会定例会にあたり、新年度の市政執行に臨む基本的な考え方と施策の重点について申し上げます。
平成30年9月6日。
かつてない大きな揺れが、この北海道を激しく揺さぶりました。
私たちのまち、登別市にも、これまで経験したことのない震度5弱という大地震が襲いかかってきました。
その直後、電気を一切使用できないブラックアウトが私たちを覆い、多くの市民が不安という暗闇を感じたのではないでしょうか。
地震による直接的な被害は少なかった当市においても、停電による影響は大きく、市民生活に大きな支障をきたしましたが、地域住民の町内会をはじめとするさまざまな市民活動団体や事業所に加え、自衛隊などの公的機関、そして、人情味あふれる多くの登別市民のご理解とご協力のもと、大きな混乱もなく、無事乗り切ることができました。7年前の大規模停電を経験した私たちだからこそ、その教訓を活かすことができたものとは思いますが、災害に備える市民の皆さんの不断の取組、なにか事があれば力を合わせ、助け合うことができる市内団体の強い団結力と、関係機関との強固な連携が今回の素晴らしい結果を生んだものと、私は心からの尊敬と感謝の意を表するとともに、誇りに思っているところであります。
今回の災害を通じ、人と人とのつながりの大切さと、絶えることのない備えの重要さを強く再認識したところであり、これからのまちづくりにおいても、さまざまな機を活用しながら市民の皆さんと防災に関する多種多様な取組を展開してまいります。
将来にわたって「のぼりべつ」が住みよいまちであり続けるためには、多くの諸課題解決への取組が必要であります。特に、進行する人口減少・少子高齢化への対応は最も重要であり、人口減少の大きな要因は、主に出生数の減少によるものが大きく、当市においても同様の状況にあります。多岐にわたる影響としては、労働力人口の減少や市内消費の縮小による市内経済の活力の低下、当市が推し進める協働のまちづくりに取り組む人材の不足、さらに、高齢化による社会保障費の増加や公共施設の老朽、市財政への影響など、私たちが暮らすまちの未来や市民生活に大きな影響を与える可能性があります。まちを揺さぶる人口減少・少子高齢化の大きな揺れは、簡単に食い止めることのできないものではありますが、これまで当市で育まれた協働のまちづくりの精神のもと、市民と行政と各種事業者・団体等が役割分担をしながら「のぼりべつ」が将来にわたって住み続けたいと思われるまちとなるよう、まちづくりに関わり続ける必要があると認識をしていますので、まちづくりに新たなパワーが注がれ、活性化につながるよう、さまざまな機をしっかりと活用して明日の「のぼりべつ」に備えてまいります。
来年、2020年は私たちのまち「のぼりべつ」が市となってから50周年を迎える大きな節目となる年であり、近隣においては白老町に民族共生象徴空間が開設され、国内においては、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される記念すべき年であります。
その前年となる今、私たちはこの大きな機を一つのきっかけとし、将来につながるまちづくりに取り組んでいかなければなりません。本年は、その機をしっかりと活用し、備える年として、「暮らしの安全を守り、安心を実感できるまちづくり~災害への備え~」、「年齢や性別を超え、誰もが健やかに暮らし、未来が輝くまちづくり~未来の福祉への備え~」、「ふるさとの資源を活用した、活力と賑わいあふれる魅力あるまちづくり~経済活性・外貨獲得への備え~」の3つの柱を軸に、議員の皆さん、市民の皆さんの一層のご理解とご協力をいただきながら、市政に取り組んでまいります。
1点目は、「暮らしの安全を守り、安心を実感できるまちづくり~災害への備え~」についてであります。
市民が災害時に安全に避難することができ、日々の生活に不安を抱くことなく、安心して登別市に暮らし続けることができるよう、北海道胆振東部地震などの経験を教訓に、自助・共助・公助の連携を基本としながら、災害時の指揮拠点となり避難所ともなる公共施設の耐震化や市民の安全安心を守る消防体制の充実強化などに努め、これまで以上に実効性のある災害に強いまちづくりに取り組む必要があります。
また、道路や水道、ごみ処理施設など、暮らしに欠かせない都市インフラについては、少子高齢社会を見据え、将来にわたって継続できるよう計画的に長寿命化等の整備を進めていく必要がありますので、適宜、計画などの見直しを行うなど、市民の皆さんのご理解とご協力をいただきながら、安全安心な暮らしの環境づくりに取り組んでまいります。
災害に的確かつ迅速に対応するためには、日ごろからの備えが重要であります。
近年多発する記録的大雨や台風、地震などの大規模な災害時において、避難所の運営や物資の供給、災害対策本部の設置、人員体制の確保など、最低限、維持しなければならない行政機能を確保するため、災害対応業務や優先度の高い通常業務などの非常時優先業務をはじめ、代替庁舎や職員の参集などについて定めた「業務継続計画(BCP)」を平成31年3月末までに策定し、発災時に市民生活を守る市役所機能を堅持できるよう、職員へ図上訓練や研修などを通しながら、災害時に適切に運用できるよう備えてまいります。
また、被災者の命をつなぐ拠り所となる避難所の迅速な開設や運営、避難者との情報共有体制の整備など、避難者が安全に安心して避難所生活を送ることができるよう、平成31年3月末までに「避難所運営マニュアル」を策定し、総合防災訓練をはじめとしたさまざまな機を通して訓練を行い、適宜マニュアルを見直すなど、実効性を高めてまいります。
さらに、当市が大規模な災害に見舞われた場合を想定し、必要な職員体制や物資などの管理、防災関係機関との連携やボランティア団体等の受け入れ体制、受援の担当部署の設置など、迅速に効果的な支援を受けることができるよう、平成31年度を目途に「災害時受援計画」を策定してまいります。
これに加え、近隣自治体等が被災した場合の救出・救助や被災者の受入、救援物資の集配などの応援体制を示す「後方支援計画」の策定に向け、平成31年度は、噴火後約19年を数える有珠山噴火への対応を中心に関係自治体と協議を行うとともに、当市の後方支援のあり方などについて検討してまいります。
大規模災害時においては、災害廃棄物が大量に発生し、その処理が大きな問題となることから、災害発生時に災害廃棄物を適正かつ円滑・迅速に処理することができるよう、平成31年度を目途に「災害廃棄物処理計画」を策定してまいります。
隔年で開催している総合防災訓練については、本年7月20日を開催日とし、鷲別地区において実施してまいります。会場となる鷲別小学校は、津波避難ビルに指定しているとともに、災害時においても、必要最低限の電気を確保できる発電機や非常用食料等を備蓄するための防災備蓄庫を最上階に設置するなど、防災機能を備えた施設でありますので、訓練では、津波を想定した避難訓練や防災行政無線などによる情報伝達訓練のほか、避難所を開設し、運営にあたる訓練や非常用発電機の起動を体験する防災体験ブースなどを設け、幅広い世代が参加し、学び、実際に体験できる取組としてまいります。
また、近年の外国人観光客の増加に伴い、災害時において避難所での対応が必要となることから、外国人避難者との会話が困難な場合であっても、必要最低限の意思疎通ができるよう、職員を対象に、外国人向け避難所会話セットやスマートフォン用の多言語音声翻訳アプリなどを活用した訓練を行うなど、外国人避難者への対応を強化してまいります。
消防支署の建て替えについては、登別支署と登別温泉支署を統合した新支署の来年10月の供用開始を目指すとともに、消防本部・本署の建て替えについては、将来を見据えた消防力の強化や効率化、災害時の消防救急体制の強化を図るため、平成30年11月に策定した「幌別地区と鷲別地区の消防体制について」に基づき、建て替えに向けたさまざまな事務を進めてまいります。
また、近年、外国語での119番通報を受信するケースが多く発生していることから、外国人観光客からの119番通報時や救急現場における、迅速かつ的確な対応ができるよう、24時間体制で15カ国語に対応可能な通訳を交えた3者間同時多言語通話の導入を進めてまいります。
次に、市民の皆さんがさまざまな手続きを行う窓口として、また、市民活動の場として活用される公共施設の設置のあり方については、人口減少社会の到来による影響や施設の耐用年数、利用度、運営コストなど、幅広い視野のもと、市民の理解をいただきながら検討する必要があります。
当市の公共施設は、多くの市民が地域活動や健康づくりの場として、また、まちづくりに取り組む活動拠点として活用されていますが、その公共施設の多くは昭和30年代後半から50年代に建築されたものが多く、老朽化が進んでおり、今後、大規模な修繕や建て替えが必要となります。施設の更新・統廃合・長寿命化などについては、長期的な視点のもと、引き続き、市民の活動の場として活用されるよう、財政負担の軽減や平準化を図り、適正に配置する必要があります。そのため、平成31年度は、各公共施設の現況調査を行い、「個別施設計画」の原案策定に着手し、翌年度中の完成を目指すとともに、「登別市公共施設等総合管理計画」へ反映し、計画に基づき、施設の更新や統廃合、長寿命化に向けた取組を進めてまいります。
市役所本庁舎の建て替えについては、多くの市民やさまざまな団体からのご意見を伺い、「登別市本庁舎建設基本構想」を策定したところであります。基本構想でお示しした新庁舎の役割については、災害時の防災拠点となる「市民の安全安心を支える庁舎」、市民交流の場となる「市民が集い、活用できる憩いの場となる庁舎」、職員の業務効率向上に資する「使いやすく効率的な庁舎」、バリアフリーの充実や省エネルギーを実現する「誰もが利用しやすく、人や環境にやさしい庁舎」などを目指しているところであり、その具体的な機能や建て替えの手法などを定める基本計画の策定を平成31年度を目途に、市民の皆様や多くの団体からご意見を伺い、事務を進めてまいります。
学校施設の耐震化については、児童・生徒の安全で安心な教育環境を最優先に確保するため、平成20年度に耐震化の優先度調査を行ったのち、順次、校舎等の耐震化に向けた実施設計・耐震改修工事を進めているところであり、12年目となる平成31年度については、幌別西小学校及び登別小学校校舎の耐震改修工事を実施してまいります。最後の2校である幌別東小学校及び幌別中学校校舎については、平成31年度に耐震改修工事の実施設計に取り組み、その翌年度の耐震改修工事をもって、これまで長期にわたって取り組んできた市内小・中学校全ての校舎等の耐震化を終えてまいります。
鷲別支所若草分室及び登別温泉支所については、人口減少等に伴い利用が減少しており、両施設を廃止した場合にあっても、住民票など各種証明書の交付を受けることができるコンビニ交付システムを導入することで、利便性を維持できることから、このシステムを平成31年度に導入することとし、鷲別支所若草分室については、平成31年度末を目途に廃止することとします。また、登別温泉支所については、その翌年度末を目途に廃止することとし、準備を進めてまいります。
市営住宅については、先般実施した基礎調査による今後の需要見通しなどをふまえ、将来の目標管理戸数や事業手法等を定める「登別市営住宅等長寿命化計画」を平成31年度中に改定してまいります。
また、現在建設中の千代の台団地につきましては、1号棟56戸のうち32戸について、平成31年度末までの供用開始を目指してまいります。
廃棄物処理については、白老町と当市において、クリンクルセンターの維持管理や再延命化、新たな施設への更新等に要する経費の精査、更新時期などについて、具体的な検討を始めるとともに、広域処理のあり方について現時点における課題等を整理し、共通認識のもと、しっかりと協議を行ってまいります。さらに、ごみ量の減少や負担の公平性などをふまえ、ごみ処理手数料やごみ処分手数料の改定も含めた検討を進めてまいります。
また、クリンクルセンターの高速堆肥化処理施設については、生ごみの再資源化による循環型社会の形成に資する施設として運用してまいりましたが、施設の老朽化に加え、生ごみの再資源化処理の効率性が低く、さらには、施設整備に係る費用等の増大が見込まれることから、施設の廃止に向けた検討を進めてまいります。
水道事業については、給水人口や水需要の減少が見込まれており、安全安心な水を供給し続けることができるよう、中長期的な視点のもと、平成31年4月に水道料金を改定することとしたところであります。今後においても、経営状況を的確に把握し、徹底した経営の効率化や施設管理の見直しを進め、経営健全化に取り組んでまいります。
また、水道施設整備については、老朽化した登別温泉浄水場の建て替えを引き続き進めるとともに、若草第1配水池の耐震化及びこれに伴う送配水管の更新を進めてまいります。
簡易水道事業については、平成31年4月から公営企業会計へ移行するため、先般策定した「登別市簡易水道事業経営戦略」により明らかとなった経営状況や課題をふまえ、老朽化した施設の改修や更新に必要となる財源の確保に向け、料金改定について検討してまいります。
長期的視点に立った都市の将来像を明確にし、実現への道筋を示す都市計画マスタープランについては、「市民アンケート調査」や「子育て世代親子アンケート調査」などの結果をふまえ、市民会議や策定委員会など、多くの市民の参画をいただきながら検討を重ね、地域の特性や実情をふまえた、将来あるべきまちの姿をつくる方針となるよう、2021年度末を目途に見直し案の策定を進めてまいります。
また、居住機能や医療、福祉、商業、公共施設、公共交通などのさまざまな都市機能の誘導や将来の人口構成を見据えた市街地の集約化を図る「立地適正化計画」については、多様性を有し、個性が活きるまちを目指し、都市計画マスタープランの市民会議において、立地適正化計画の目的や目標、必要性など、市民の皆さんと協議を進め、都市計画マスタープランの策定とあわせ、検討してまいります。
2点目は、「年齢や性別を超え、誰もが健やかに暮らし、未来が輝くまちづくり~未来の福祉への備え~」についてであります。
当市の人口は、2045年には31,170人と1983年のピーク時の約52%程度にまで減少する一方、高齢化率は約48%と約2人に1人が65歳以上の高齢者になると推計されています。
人口減少や本格化する超高齢社会の中、男女の別なく、子どもたちが未来に夢を描きながら健やかに育ち、また、現代社会の基礎を築いてきた高齢者が「ふるさと登別」で充実した人生を過ごすなど、住み慣れた地域で誰もが健康で活き活きとした生活を送ることができるよう、市民の健康づくりに積極的に取り組む必要があります。
そのため、特色ある介護予防活動や支援を必要とする高齢者へ地域が一体となった支え合い活動の推進を図るなど、高齢者が活躍できる将来を見据えた地域社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
また、未来を担う子どもたちが、公民を問わず地域が一体となって支える子育て環境で成長することができるよう、母親が妊娠・出産し、子どもから社会人となるまでの成長過程に応じた切れ目のない支援は、持続的に発展するまちづくりに欠かせないものであり、子どもの人間形成の基礎を培う幼児期の保育・教育は、子どもたちの将来に影響を与える極めて重要なものであります。
公立保育所においてこれまで培われた「保育」に加え、民間の技術や手法を取り入れた「幼児教育」の一体的な提供を図るとともに、多様化する保育需要への柔軟な対応や地域の子育て支援を充実させるため、これまで以上に質の高い保育サービスの提供を基本として、民間の力を活用しながら新たな保育環境を構築してまいります。
保育所については、子どもたちをより良い環境で育むことができるよう、すでに実施している登別保育所の民間委託に加え、栄町保育所及び幌別東保育所についても2020年度以降の民間委託を目指し、事務を進めてまいります。
特に、栄町保育所については、民間委託後、民間による運営の素地を作りながら、2024年度を目途に、千代の台団地の敷地内への設置による民間移譲に向けた検討を進めてまいります。
現在、子ども・子育て支援新制度に移行した幼稚園や認定こども園において、長期休業日等に3歳以上の児童を一時的に預かる「一時預かり事業」を実施しておりましたが、保護者の就労形態の多様化をふまえ、保育を必要とする2歳児の一時預かりについても平成31年度から新たに幼稚園に委託し、実施してまいります。
子どもたちが健やかに成長することのできる環境の構築を目指し、平成31年度までの子育て支援サービス等を定めた「子ども・子育て支援事業計画」の計画期間が終了することから、市民の子育てに関するニーズ調査などを実施するとともに、子ども・子育て会議等でのご意見をふまえ、平成31年度末までに計画を改定してまいります。
こどもショートステイについては、昨今の多種多様な問題を抱える家庭の需要に柔軟に対応するため、これまでの児童養護施設に加え、里親による養育の体制を整えてまいります。
次に、産後うつの予防や新生児への虐待予防を図るため、平成31年4月から、産後2週間前後の産婦で、産後うつを発症する可能性のある方を対象に、産婦健康診査に係る経費を新たに助成するとともに、育児や体調面で不安などのある産後4カ月未満の産婦に対して心身のケアや育児等のサポートを行う産後ケア事業を実施してまいります。
さらに、保護者や児童等を対象とした保健師などによる問診や集団遊びなどの5歳児相談を新たに実施し、妊娠期から就学まで切れ目のない支援体制の整備を進めてまいります。
次に、障がいの種類や程度によるニーズの多様化や障がいのある方を支える家族等の高齢化が進む中、高度で専門的な相談支援体制を整備するため、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、平成31年4月から「登別市総合相談支援センターen」を基幹相談支援センターに移行し、障がいのある方が住み慣れた地域で安心して生活できる地域の支援体制を整備してまいります。
また、障がいやその心配のある児童が将来自立し、地域で暮らしていくための力の向上を図るためには、早期の療育や支援が重要であり、地域の保健・医療・福祉・教育関係者によるさらなる連携のもと、一貫した支援を行う必要があることから、平成31年4月から、発達支援の中核的な役割を担う「児童デイサービスセンターのぞみ園」の体制を拡充し、障害児通所支援事業及びこども発達支援事業の充実を図ってまいります。さらに、障がいのある児童が地域で安心して生活することができるようサービス利用計画の作成など相談支援を行う「障害児相談支援事業所」をのぞみ園内に開設し、障がいのある児童が抱える課題の解決などに向けた支援に取り組んでまいります。
次に、生活保護については、平成31年度から、被保護者の健康状態や受診状況を把握することを目的とした診療報酬明細書の分析やデータ作成等に着手し、「被保護者健康管理支援事業」の実施に向けた準備を進めてまいります。
次に、自殺対策については、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、平成31年度を初年度とする「登別市自殺対策行動計画」に基づき、自殺に関する正しい知識の普及やゲートキーパー研修、自殺の現状や背景について考えるフォーラム等を実施するなど、自殺対策の普及・啓発のさらなる推進を図ってまいります。
次に、地域包括ケアシステムの構築についてでありますが、一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯、認知症高齢者の増加が予想されており、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることのできる地域づくりを早急に進める必要があります。そのため、これまでの介護保険サービスに加え、地域における民間事業所等との連携を図るとともに、地域の住民同士による感謝と思いやりのある支え合いの仕組みを構築する必要があります。
平成31年度は、地域の住民を主体に、民間事業所及び行政が連携して検討する場を活用し、高齢者が安心して在宅での生活を送ることができるよう地域づくりを進めてまいります。
また、高齢者が年齢を重ねても、はつらつと暮らし続けることができるよう、平成31年度からリハビリテーションに関する専門的知見を有する方を活用した介護予防の取組を推進してまいります。
さらに、慢性疾患等により常時注意が必要な一人暮らしの高齢者等に貸与してきた緊急通報機器については、高齢者単身世帯・夫婦世帯の増加に伴い、需要の増加が見込まれることや民間事業者による同様のサービスが充実してきたことなどから、市が一定の補助を行った上で、利用者が民間サービスを活用する仕組みへ転換を図ってまいります。平成31年度は、現利用者や民生委員児童委員等に新制度についての説明をしっかりと行い、翌年度の移行を目指してまいります。
次に、将来的な胃がんのリスクの抑制を図るため、50歳から65歳までの方と中学2年生を対象としたピロリ菌検査への助成について、その対象を40歳から65歳までに拡大するとともに、引き続き中学2年生を対象として実施してまいります。
3点目は、「ふるさとの資源を活用した、活力と賑わいあふれる魅力あるまちづくり~経済活性・外貨獲得への備え~」についてであります。
訪日外国人観光客については、平成30年に国内において初めて3,000万人を超え、当市において平成31年度は、これまで戦略的に行ってきた海外プロモーションなどにより、温泉やテーマパーク等を中心に訪れる外国人観光客のさらなる増加を期待しているところであります。
一方、人口減少や高齢化が進展し、経済規模の縮小が見込まれる当市において、将来にわたって活力と賑わいあふれる市内産業を創造していくためには、地域資源など強みを活かした外貨の獲得が重要であり、当市を訪れる年間約400万人もの観光客、特に、外国人観光客がもたらす消費などの経済効果を農業や漁業・飲食サービス業・小売業など、市内のさまざまな産業に循環・波及させることが肝要であります。
近年、JR登別駅を利用する外国人観光客が大きく増加しており、大きなバッグを持った観光客が階段の昇降に大変苦慮している状況にありますが、JR登別駅は、まちの印象を大きく左右する観光の玄関口であることから、駅構内へエレベーターを設置するなど、観光客をはじめ、障がいのある方や高齢の方も安全に安心して登別観光を楽しんでいただけるよう、観光客等に優しい観光地づくりを推進する必要があります。先般、市に対し、駅構内の地質調査や現況測量、基本設計の結果をもとにした工事費の概算総額が、北海道旅客鉄道株式会社から示されたことから、今後、設置時期や市の負担額等について協議を進めてまいります。
JR登別駅のエレベーター等の設置や観光客の受入環境の整備などについては、大きな財政負担が見込まれることから、財源確保の可能性について、登別商工会議所や登別国際観光コンベンション協会、登別温泉旅館組合、カルルス温泉旅館組合、市内商店会などの関係団体等と協議を進めてまいります。
また、多くの観光客が利用するJR登別駅前広場については、歩行者や自転車、自家用車、バス、タクシーなどが輻輳するなどの交通安全上の課題があることから、複数の交通手段の出入りや乗り換え、乗り継ぎ機能の充実をはじめ、観光客が当市での観光や胆振地区の観光に期待感をもっていただけるよう、観光地の玄関口としてふさわしい魅力あふれる駅前広場とするため、地域の方のご意見をいただきながら、関係機関との協議を進めるとともに、平成31年度中の都市計画変更に向けて事務を進め、早期の完成を目指してまいります。
JR登別駅周辺の商店街等の活性化については、引き続き、空き店舗活用に対する支援や事業所を開設する際の補助上限額の引き上げなどにより、起業や事業所の誘致に取り組んでまいります。また、観光インフォメーション機能や物販機能、観光客と地域住民がふれあえる空間など、登別観光の玄関口にふさわしい観光拠点施設の整備に向けて、地域の方や関係機関等と施設のあり方や活用方法について、しっかりと協議を進めてまいります。さらに、登別地区において、自主的な市民活動が引き続き展開できるよう、婦人センターをはじめとした周辺公共施設のあり方について検討してまいります。
JCHO登別病院については、車いすを利用する方や高齢者など、さまざまな方の利用が見込まれますので、歩道をバリアフリー化するなど、病院につながる道路整備については、2020年4月予定の開院に支障がないよう進めてまいります。
民族共生象徴空間の開設については、登別白老観光連絡協議会や北海道登別洞爺広域観光圏協議会などと連携し、民族共生象徴空間を胆振全体の貴重な地域資源としてとらえ、国が掲げる来場者100万人の目標達成に向けて誘客促進に努めるとともに、民族共生象徴空間と登別温泉を結ぶ鉄道やバスなどの公共交通の利便性向上や観光客の受入環境整備、アイヌ文化の振興を図るため、国等の有利な支援制度の活用に向けた検討や関係機関との協議を進めてまいります。
次に、本年はカルルス温泉が開湯し、120年という記念すべき年を迎えます。
カルルス温泉は、昭和32年に北海道初の国民保養温泉地に指定され、登別温泉とは風情の異なる閑静なたたずまいの温泉地として歩みを続けているほか、昭和38年に開設された現在のカルルス温泉サンライバスキー場は、冬季の登別観光の魅力の一つとなっております。
しかし、同スキー場は、リフトなどの設備の老朽化が著しく、更新などに多額の費用を要することから、将来にわたって安定的に経営するため、平成31年度末までに経営戦略を策定してまいります。
平成31年度の市政執行にあたっての基本的な方針の一端を申し上げましたが、本年は、平成という一つの時代が終わり、新時代の幕開けとなる大きな節目の年であります。
そして、その翌年には、市制施行50周年という当市にとってまちづくりを加速させる、またとない機が到来します。市制施行50周年に向けた取り組みでは、まちの発展とさらなる飛躍への決意のもと、市制を施行した先達の思いをしっかりと受け止め、これから待ち受ける困難に市民の力を結集し、乗り越えるため、まちの魅力や資源を再認識し、市民・企業・団体等、全ての関係者が主体的に協働することが肝要であります。
私たちのまち「のぼりべつ」が、新たな元号の時代を力強く駆け抜けるためには、人口減少・少子高齢社会の進展や頻発する災害の発生に対応しながら、走り続けるための足場を構築するための備えをしていく必要があります。
平成から新元号へと時代が動くこの時にあって、万感と感謝の思いを抱きながら、明日に向け、さまざまな主体が自己の果たすべき役割分担のもと、今できる、今から取り組むべき備えを市民の皆さんと取り組んでまいりますので、議員の皆さん、市民の皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の市政執行方針といたします。
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