平成28年度市政執行方針(平成28年2月)

公開日 2016年02月16日

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   平成28年度市政執行方針(平成28年2月)

 平成28年第1回登別市議会定例会にあたり、新年度の市政に臨む基本的な考え方と重点的な施策について申し上げます。

 私はこれまで、市民の皆さんからの負託を受け、多くの方や多くの団体からご理解とご協力をいただきながら、2期、約7年間、まちづくりに携わってまいりました。
 私が市長としてまちづくりを進めるにあたり、何よりも大切にしてきたのは、市民の皆さんと情報を共有し、市民と行政が互いの力を活かしながら、より良いまちづくりを進める協働のまちづくりという考え方であります。
 登別市総合計画第3期基本計画の策定にあたっては、まちづくりに率先して取り組む市民による市民検討委員会を立ち上げ、市民と行政が、ふるさと登別をより良いまちにしたい、いつまでも住みつづけたいと思えるまちにしたいという共通の思いのもと、時間をかけて話し合い、互いに理解を深めながら取り組んでまいりました。
 委員の皆さんからは、これまでにない、とても充実した協働の取組になったというお言葉をいただいたところであり、この取組が今後の協働のまちづくりを進めるにあたっての基盤になるものと考えております。

 一方、我が国の経済は、緩やかな回復基調にあるものの、いまだ個人消費の回復に地域間でのばらつきがみられ、私たちのまちを取り巻く環境においても、厳しい状況にあると言わざるを得ません。
 また、全国的な人口減少や少子高齢化については、当市はもちろん、各地においてもさまざまな取組を展開しているものと認識しておりますが、地方での就労先の確保が難しいなどの理由から、都市への若い世代の流出が続いています。
 このままでは高齢者を支えるはずの若者が減少し、結果として公共サービスが維持できなくなるという危機感を多くの方が感じているものと思います。
 当市においても、平成27年度に実施した国勢調査における市内人口が、昭和45年以来、45年ぶりに5万人を割り込み、今後も続く人口減少、特に生産年齢人口の減少により、市税などの歳入確保がさらに難しくなることが予想されます。
 この厳しい現状を乗り越えるためには、市民力を結集し、知恵を出し合って、人口減少のスピードを緩める取組を進めていかなければなりません。
 平成28年度は、第3期基本計画の初年度にあたることから、今後10年間のまちづくりを見据え、登別市の将来が夢と希望に満ちた輝くものとなるよう市民とともに取り組んでまいります。

【主な重要施策展開の基本的な方向性】
平成28年度の市政執行における基本的な考えについて、六つの分野に分け、主な重点施策を申し上げます。

 まず、第一に「誰もが健やかに安心して暮らせるまちづくり」についてであります。

 生涯を通じて誰もが健やかに安心して暮らしていくためには、市民一人ひとりが生きがいをもって互いを尊重し、ともに支え合うことが大切です。
全国的な人口減少や少子高齢化の中にあって、さまざまな生活課題が顕在化してきた現在、子どもたちや高齢者、障がいのある方などすべての市民が活躍し、輝き、生きがいを感じることができる地域社会の実現には、市、市民、各種団体等がそれぞれの役割に応じて、さまざまな分野で連携し、地域全体でこれらの課題を解決していく仕組みづくりが重要であります。
 すべての市民が安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指すため、平成28年度から5年間を計画期間とする「登別市地域福祉計画」の策定に取り組んでいるところであり、登別市社会福祉協議会が策定する「登別市地域福祉実践計画(きずな)」と連動し、地域福祉を推進してまいります。

 高齢者への取組については、単身高齢者や認知症高齢者等の増加が予想されるなか、介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、日常生活圏域の中で、介護に加え、医療や予防、生活支援、住まいを一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築に向け、取り組んでまいります。
 また、認知症高齢者とその家族を地域全体で支える仕組みを強化するため、医療や介護などの専門職が認知症の方やその家族を訪問し、症状の把握や家族等への初期支援を集中的に行う認知症初期集中支援チームを設置するとともに、認知症の方の家族が地域とつながりを持ち、互いの情報交換や専門職の助言を聞く場として、認知症カフェを開設する介護事業所等に助成するなど、介護負担の軽減を図る取組を支援してまいります。

 次に、障がいのある方への取組については、障がいのある方もない方もともに暮らしやすい地域社会の実現を目指す必要があります。
 そのために、啓発活動や研修会などを通して、誰もが障がいのさまざまな特性や障がいのある方の困っていること、配慮すべきことなどを理解し、手助けや配慮などを実践することができるよう、取り組んでまいります。
 また、言語である手話の使いやすい環境をつくり、誰もが安心して暮らせるぬくもりある登別市を目指す「登別市ぬくもりある手話条例」を平成28年4月1日に施行することから、初心者手話講習会や国のカリキュラムを活用し、手話推進支援員を養成するとともに、市民の手話への理解の促進や手話の普及を図り、手話を用いた交流が積極的に図られるよう、手話施策推進方針の策定に取り組んでまいります。

 認知症や障がいなどで判断能力が不十分な方への取組については、西いぶり定住自立圏の協定に基づき、室蘭市社会福祉協議会が設置する成年後見支援センターを広域で運営し、成年後見申立手続の支援や市民後見人の育成を行い、安心して生活できる環境づくりを推進してまいります。

 子育てについては、安心して子どもを生み育てることができ、子ども一人ひとりが健やかに成長することができるよう、子育て支援策の充実に取り組む必要があります。
現在、幼児期の教育・保育の質的向上を図るため、当市の幼児教育の基本方向や目標、具体的な施策等を示す「(仮称)2016登別市幼児教育・保育アクションプログラム」の策定について、市内の幼稚園とともに取り組んでいるところであります。

 子育て環境の整備については、次代を担う子どもたちに良質な教育や保育を提供するため、保護者の就労状況に関わりなく、子どもたちが継続して同じ教育や保育を受けることができるよう、認定こども園の推進について、子育て負担のあり方や民間の役割などもあわせて検討してまいります。
 また、平成29年度を目途に移転改築する鷲別児童館については、子育て支援センター及び放課後児童クラブを併設した複合型児童館として整備することとし、平成28年度は実施設計を進めるとともに、これと並行して運営委員会を立ち上げ、地域の関係者や利用者とともに地域における子育て支援の中核となるような運営方法の検討も進めてまいります。
 また、子育て世帯にとって、子育てに必要な住環境の確保は重要でありますので、子育て世帯を対象に市営住宅の空き部屋を改修し、若年子育て世帯の支援策の一つとして活用してまいります。

 次に、市民の健康づくりについては、第2期となる「登別市健康増進計画『健康のぼりべつ21』」に基づき、引き続き、生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底、健康に関する生活習慣の改善など、市民の健康増進を総合的に支援してまいります。
 平成27年度より胃がんのリスク検診として、50歳以上の節目年齢に導入したピロリ菌検査の対象を、若年層である中学生にも広げ、学校健診と同時に実施することにより、将来的に胃がんになるリスクの抑制に取り組んでまいります。
 また、各種がん検診の中でも、若い女性のがん発見が目立つ子宮頸がん検診や乳がん検診については、広く検診の勧奨通知を個別に送付するなど、受診率の向上に取り組んでまいります。
 さらに、日本脳炎予防接種を定期予防接種として実施することとし、従前の定期予防接種とあわせ、感染症の予防に努めてまいります。

 国民健康保険事業については、これまで前年度からの繰越金や国民健康保険給付費等準備基金を活用し、保険税率を据え置いて被保険者の負担軽減に努めてまいりました。
 当市は医療費の抑制のため、特定健康診査をはじめとした健康増進の取組を行っておりますが、医療費が依然として高水準で推移しています。
 このことから、今後の国民健康保険制度の安定的な運営を図るため、北海道平均に満たない当市の保険税率の一部を平均値まで引上げるとともに、課税限度額を改正したところでありますので、平成28年4月1日より適用してまいります。

 JCHO登別病院については、市民はもとより近隣市町の多くの患者の多様なニーズに応え、安全安心な医療を提供している重要な医療機関であり、市民が安心して生活を営むうえで、今後も地域になくてはならない病院であると認識しております。
 そのため、当市での存続に向け、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)と協議を重ねてきたところ、この度、市内での移転・新築の方向で合意に至りました。
今後においては、地域のニーズにあった移転候補地区や病院の機能などについて、引き続き協議を進めてまいります。

 第二に「自然と調和した安全安心なまちづくり」についてであります。

 東日本大震災が発生してから今年で5年が経とうとしております。
 東北地方の復興はいまだ道半ばであり、今もまだ多くの方が苦しまれている現状から目をそむけず、私たち一人ひとりが災害に立ち向かう気概が必要であります。
 自然災害においては、昨年も全国各地で大雨による水害など、さまざまな自然災害が発生しており、当市においても海や山、川といった豊かな自然とともに市民が暮らしていくためには、防災・減災の視点により、都市基盤の整備を進めることに加え、市民一人ひとりが必要な備えを行うことはもとより、地域全体が主体的に情報収集や避難計画を作成するなど、地域防災力の向上を図ることが必要となります。
 このため、津波への対応として、研修会や避難訓練を通じて引き続き啓発に努めるほか、高台避難誘導看板の設置や地域が主体となった避難計画の作成を進めるとともに、土砂災害への対応については、地域との協議により警戒避難体制を整備してまいります。
 また、当市は、火口想定域近くに観光施設があるなど、監視・観測体制の充実等が必要な火山として、火山噴火予知連絡会から選定された倶多楽火山を有していることから、北海道、白老町及び当市が共同設置する(仮称)倶多楽火山防災協議会において、具体的な避難計画の作成を進めてまいります。

 災害時に避難支援が必要な方への対応については、町内会等のつながりをもとに行われる日頃からの見守りの延長線上として、避難支援ができる仕組みが重要となりますので、引き続き登別市社会福祉協議会が進める小地域ネットワーク活動を支援してまいります。

 消防・救急体制については、登別支署と登別温泉支署を再編した統合支署の建設に向け、地域や関係団体等の意見を踏まえた建設地の取得を目指してまいります。
 さらに、老朽化した多目的支援車の更新、消防資機材の計画的な更新を行うことにより、将来にわたり、市民の生命と財産を守るため、持続可能でより効率的な消防体制の確立に努めてまいります。

 都市基盤の整備については、車両や歩行者の安全な通行を確保するために策定した「橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、定期点検や補修工事を行うなど、橋梁の適切な維持管理に努めるとともに、市道の改良整備を行い、交通インフラの強化・充実を図ってまいります。
 また、現在、北海道が進めている東通街路事業の早期完成について、引き続き、強く要望してまいります。

 道路排水対策事業については、大雨時における道路冠水の軽減を図るため、若草町における雨水排水ポンプの増設工事や新生町の排水路改良工事を進めるとともに、引き続き、幹線管渠の定期的な清掃や閉塞箇所の補修を行い、既設排水路の機能の確保に努めてまいります。
 また、昨今の予期せぬ集中豪雨への対策として、道路冠水等を防ぐため、公共下水道による雨水対策事業と連動し、道路排水路の改良などの整備を進めてまいります。

 次に、キウシト湿原については、平成27年4月に供用を開始して以来、自然体験学習などの場として、市内外から5千人を超える多くの方にお越しいただいております。
 平成28年度は、専門家や市民団体と協力し、キウシト湿原の自然環境の保全と再生を図るための方法を検討するとともに、引き続き、自然観察会や子どもを対象とした自然体験イベントの充実を図り、市民が楽しみながら、自然保護の大切さを学べる場として活用してまいります。

 空家対策については、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の全面施行を受け、市内の空家等の状況を把握するため、その所在地、建物の危険度及び建物外観の撮影などの実態調査を行い、データベース化を進めております。
 今後は、市民の生活環境の保全や安全安心に暮らすことができるまちづくりの推進を目的とした「空家等対策計画」の策定に着手し、市内の空家等の発生抑制や適正管理、利活用の推進を図ってまいります。

 第三に「各産業が元気に展開されるまちづくり」についてであります。

 当市は国際観光レクリエーション都市として、毎年多くの観光客にお越しいただいており、平成26年度には、年間350万人を超え、外国人約37万人を含む121万人の方に宿泊していただきました。
 近年、国内観光客の減少やインバウンドの増加など、当市への観光客の傾向に変化が見られ、旅行形態も団体旅行から個人旅行に変わりつつある中、観光目的や観光地に求めるニーズも多様化してきております。
 さまざまな観光客のニーズに的確に対応するためには、観光名所や宿泊施設、テーマパークといったこれまでの観光情報に加え、一次産品や加工食品、ご当地グルメなどの食の魅力、自然体験など、まちの新たな魅力の発信が必要でありますので、登別温泉街における観光案内にとどまらず、胆振全体の情報を発信することができる拠点の設置やあり方について調査・研究を進めてまいります。
 また、これまで以上に多くの観光客にお越しいただけるよう、引き続き北海道登別洞爺広域観光圏協議会などの広域連携のもと、国内外に向けた情報発信を進めるとともに、北海道新幹線開業により北海道観光の新たな窓口となる函館エリアと新千歳空港を含む札幌エリアとの連携を深め、北海道観光のゴールデンルートとして国内外に広くPRし、認知度を高める取組に着手してまいります。

 市内経済の活性化に向けた取組については、商店街活性化支援事業補助金により商店会等の活動を支援するほか、店舗リフォーム補助金により集客力やサービス向上を図るための店舗等の改修を支援するとともに、商談会等出展補助金により販路拡大の取組を支援してまいります。
 また、起業などによる地域経済の活性化も重要となりますので、登別商工会議所や金融機関との連携を図り、行政を含めた関係機関が一体となって起業者へのきめ細やかな支援を行う「創業支援事業計画」の策定に向け、取り組んでまいります。
再生可能エネルギーの普及促進については、再生可能エネルギーに対する理解の促進のため、登別市ネイチャーセンター敷地内の水路に学習用の小水力発電装置を設置し、市内外から訪れる方を対象に環境学習を実施してまいります。
 また、温泉熱等の利活用について、平成27年度に国の補助制度を活用して実施した温泉の温度や湯量等の基礎調査の結果を踏まえ、有効活用の可能性について調査・研究を進めてまいります。

 登別ブランドの取組については、引き続き、高品質な加工食品の認定やご当地グルメである登別閻魔やきそばのPRを行うとともに、新たに、市民や観光客が薦める登別の商品や製品等の掘り起こしを目指す閻魔大王おすすめの逸品事業に取り組む登別ブランド推進協議会を支援し、産業の活性化やまちのイメージ向上に取り組んでまいります。
 さらに、地域資源を活用した商品等を応援し、地域ブランドの創出を目指す中小企業地域資源活用促進法に基づくふるさと名物応援宣言に取り組んでまいります。
 市内には、道内でもトップクラスの乳質を誇る生乳をはじめ、登別牛やホエーで育てたのぼりべつ豚などが生産されているほか、漁港からはサケや毛ガニ、ホッキ貝など、年間を通じて新鮮な海の幸が水揚げされています。
 また、有害鳥獣として捕獲されるエゾシカが、食肉として有効活用されるなど、恵まれた自然を背景とした良質な一次産品が生み出されております。
 この良質な資源を地域内で流通させるとともに消費の促進を図るため、市内で実施されるイベントなどの機会を捉え、生産者などと協力してPRに努めるとともに、市内の宿泊施設や飲食店での利用促進を図るなど、地域の食材としての認知度を高め、一次産品の価値が高まるよう普及に努めてまいります。
 産業を担う人材の育成については、昭和57年の開校以来、市内唯一の専門学校として、多くの優秀な人材を輩出するとともに、教員や在校生が、まちづくりやイベントへ積極的に参画し、当市のまちづくり活動の一端を担っていただいております日本工学院北海道専門学校が行う魅力を高める取組を支援してまいります。
 また、日本工学院北海道専門学校と幅広い分野で綿密な連携関係を築き、学校が持つノウハウや企画力、学生が持つスキルや行動力を活かしたまちづくりに取り組んでまいります。

 第四に「豊かなみどりと都市機能が調和したまちづくり」についてであります。

 人口減少社会において、市街地の拡大は都市機能の拡散を招き、都市整備の効率性と市民生活の利便性の低下につながりかねません。
 これまでも適正な土地利用のもと、合理的でバランスの取れた都市施設の配置について努めてまいりましたが、今後はさらにまとまりのあるコンパクトなまちづくりが求められます。
 そのため、第3期基本計画の推進においては、市内の各地域の特性を再認識し、地域の魅力を前面に出したまちづくりが必要となります。
 そこで、まずは、市の中心地にどのような機能が求められるのか、行政機関や商業施設など中心地が持つべき機能などについて、市民や各種団体等の意見をお聞きしながら整理し、中心地を含めた各地域の将来あるべき姿を明確にしたうえで、必要な整備に向け準備を進めてまいります。
 また、市内の各地域は、地域の歴史や自然環境などを背景に、特色ある文化や景観などの特性を有していることから、当市の良好な景観と豊かなみどりを守り、育て、つくり、これらを次の世代へ継承していくことを目的とした「登別市景観とみどりの条例(案)」を本定例会に提案したところであります。
 今後は、景観・みどり推進会議を設置し、登別景観・みどり遺産などの指定等に向けた取組を行うほか、専門家の活用や北海道などの関係機関と連携し、景観の向上に努めるなど、市民とともに、良好な景観と豊かなみどりづくりを推進してまいります。

 除雪体制については、市民や各種団体、企業等の理解と協力のもと、町内会等に凍結防止剤散布にご協力いただき、高齢などの理由により除雪が困難な方も安心して冬を過ごすことができるよう努めているところであります。
 平成28年度においても、地域の皆さんとしっかり対話し、課題を洗い出したうえで、町内会等とともに、当市の地域事情にあった公民連携による新しい除雪体制の構築に取り組んでまいります。

 安定した水道供給については、今後も進展する人口減少などによる水需要の減少を前提としながら、老朽化した水道施設の適切な更新など、さまざまな対応を図るため、平成28年度から平成37年度を計画期間とした「登別市水道事業ビジョン」を策定したところであります。
 平成28年度においては、その基本的な方向性に基づき策定する施設整備計画と財政状況を踏まえ、持続可能な水道事業運営のため、適正な水道料金について検討を進めてまいります。

 簡易水道事業については、財務諸表を整備したうえで、自らの経営・資産等を正確に把握し、効率的な事業運営にあたることが必要なことから、公営企業会計への移行に向けた取組を行ってまいります。

 下水道事業については、計画的な経営を推進し、経営健全化の取組を進めるため、地方公営企業法の財務規定等の適用により得られた経営情報や今後の人口推移などを踏まえ、経営戦略の策定に取り組んでまいります。

 公共下水道の整備については、雨水事業では、集中豪雨に対する浸水被害の軽減を図るため、中央町地区と若山町地区の浸水対策を、汚水事業では、常盤町地区の汚水管や若山浄化センターの施設・設備の改築更新を引き続き進めてまいります。

 安心して登別の観光を楽しんでいただくために、多くの市民や観光客が利用する大型宿泊施設等の耐震化を進めることは、大変重要な取組であると認識しております。
 このため、引き続き耐震改修費用の助成等を行い、ホテル・旅館等の大規模建築物の耐震化をさらに推進してまいります。一般住宅などについても、耐震化の必要性を啓発するとともに、耐震診断費用の助成を行い、建築物の耐震化を促してまいります。

 市営住宅千代の台団地の建替えについては、建設地の土壌汚染について調査を行う必要があることから、しっかりと調査を進め、北海道と調整を図ってまいります。

 第五に「地域とともに豊かな個性と人間性を育むまちづくり」についてであります。

 市民一人ひとりが社会の変化に対応しながら、生きがいをもって充実して暮らしていくためには、常に新たな知識や技能を習得するなど、学習を通して自己を豊かにしていくことが大切です。
 特に、次代を担う子どもたちについては、確かな学力の定着を進めることはもとより、たくましく生きるための体力づくり、道徳教育などを通した豊かな心の育成、良好な教育環境の確保が重要となります。
 そのため、子どもたちの学びの場である小・中学校の校舎については、平成29年4月の供用開始を予定している鷲別小学校の建替えや青葉小学校校舎の耐震補強工事を引き続き実施するとともに、登別中学校校舎の耐震改修工事における実施設計を行い、児童・生徒の安全安心な教育環境を確保してまいります。
 また、総合教育会議において、当市の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の推進を図るための方針となる「教育大綱」を定め、時代の変化に対応した総合的な教育施策に取り組んでまいります。

 次に、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、各国が日本に注目していることを好機と捉え、当市の強みである登別温泉などの観光資源や熊舞などの郷土芸能を世界に発信し、新たな誘客を図るとともに、子どもたちがさまざまな競技に興味をもち、夢を育むことができるよう、各競技団体や障がい者団体など関係団体の意見や協力を得ながら、オリンピック選手をはじめとした関係者を招き、講演や競技の技術指導をしていただく機会をつくってまいります。
 さらに、白老町において予定されている国立アイヌ文化博物館の開設を見据え、白老町及び市内関係団体と連携を深めるとともに、今まで積み重ねてきたアイヌ民族の文化に関する調査・研究を整理し、その成果に基づいた市民講座の開催や小・中学校への情報提供を重ね、アイヌ民族の文化への理解と振興に努めてまいります。

 市民が自分のまちに愛着や誇りをもつためには、多くの先人が築き上げてきたまちの歴史を学び、まちの魅力を再確認することが重要であります。
 市史編さんについては、市制施行50周年を迎える平成32年度の刊行に向け、登別市史編さん委員会を立ち上げ、今後の編さん方針や執筆要領について協議を進めてまいります。
 また、市内外の機関や個人、事業者、団体等の協力を得て、郷土・登別に関する有形無形の歴史資料を収集し、市内の各地域で営まれてきた日々の暮らしや遊びを記録するなど、広く市民に親しまれ今後の魅力あるまちづくりに資するよう地域の歴史をまとめてまいります。

 第六に「住みつづけたい、住んでみたいと思える魅力あるまちづくり」についてであります。

 まちの活性化には、市民が住みつづけたいと思い、まちにお越しいただいた皆さんが住んでみたいと思えるような魅力あるまちづくりを進めることが必要であります。
 姉妹都市をはじめとした国内の交流はもとより、諸外国との幅広い交流は、交流人口の確保につながるとともに、当市のみでは得がたい知識や情報を吸収し、広い視野のもと、まちづくりに取り組むことが可能となります。
 これまで、宮城県白石市及び神奈川県海老名市とは、トライアングル交流宣言を行い、交流を深めてきたところであり、昨年、海老名市と姉妹都市提携の盟約を締結したことにより、これまでの交流で培ってきた絆がより強固なものになるものと確信しております。
 今後においても、行政間の交流だけでなく、引き続き物産販売による経済交流を継続するとともに、子どもたちのスポーツ交流を実施するなど、民間交流を継続してまいります。
 また、東京都福生市及び滋賀県守山市との交流については、引き続き四五都市連絡協議会の職員交流派遣を継続するとともに、平成28年度には小学生のスポーツ交流として、当市を会場に剣道大会を開催するなど、3市の交流がより強固となるよう努めてまいります。

 移住・定住施策については、人口減少社会に適切に対応するため、登別市まち・ひと・しごと創生総合戦略においても基本目標の一つとして位置付けたところであります。
 今後については、移住に関するパンフレットや動画、ホームページでの周知のほか、移住・定住イベントではこれまで参加していた大阪会場に加え、平成28年度は東京会場にも参加するなど、さまざまな機会を捉えて、登別での暮らしの魅力を発信してまいります。
 また、移住を希望される方に対し、それぞれの希望に合ったツアーを提案するなど、迅速で有益な情報提供に努めるとともに、移住体験施設の拡充を図るなど、当市の特色である観光の振興も視野に入れながら、定住人口や交流人口の増加に努めてまいります。

 定住自立圏の取組については、室蘭市を中心市とし、周辺の関係市町が結ぶ協定に基づく定住自立圏共生ビジョンが、平成27年度をもって終了することから、首都圏をはじめとする地域の高齢者がわがまちに移住し、健康でアクティブな生活を送るとともに、必要に応じて医療や介護を受けることができる「生涯活躍のまち構想」の実現に向けた取組など、新たな視点を取り入れながら、今後5年間の共生ビジョンを策定し、定住のための暮らしに必要な諸機能を確保するとともに、地域資源を活用した経済の活性化など、魅力あふれる圏域の形成をさらに進めてまいります。

 ふるさとまちづくり応援寄附金については、ふるさとの発展と活性化を願う方が、わがまちの応援団として寄附しやすくなるよう、クレジットカード決済を導入するなど、寄附環境の整備を進めるとともに、寄附者への返戻品として、新鮮な魚介類やのぼりべつ豚などの一次産品を追加するなど、当市の魅力向上や地域活性化につながる取組を進め、寄附額の倍増に努めてまいります。

 これまで以上に魅力あるまちづくりを進めるためには、都市インフラの整備など物的な豊かさに加え、国内外の優れた理念を活用し、道徳心の向上を図るなど、心の豊かさによるまちづくりに取り組むことが重要であります。
 そのため、先人の知恵の啓発を目的としたセミナーを開催するほか、社会教育事業など、さまざまな機会を活用した道徳心の向上に努めてまいります。
 また、市民が郷土を愛し、まちをより良くしていくための心構えを定めた「市民憲章」の趣旨をより多くの方と共有し、再認識していただくため、市民憲章掲示板を整備するとともに、イベントなどのさまざまな機会において、市民憲章を唱和いただくなど、さらなる啓発活動に取り組み、次代に継承できる道徳心豊かなまちづくりに努めてまいります。

 平成28年度の市政執行に関する基本的な方針の一端を申し上げましたが、第3期基本計画策定に向けた市民と行政による検討の取組は、市民と行政がともにより良いまちづくりを目指すという大きな流れができたものと考えております。
 私が市長として、まちづくりに携わってきた約7年間は、まさにこのような協働のまちづくりを目指し、歩んできた道であります。
 私は、まちづくりは人づくりだと信じております。
 まちづくりをもって人が育ち、その人の力によってまちが育まれていくものと改めて実感したところであります。
 私が目指す協働のまちづくりには、まだ多くの課題が残されていますが、行政や市民、企業といった垣根を越え、それぞれが知恵を出し合い、創意工夫をもって課題解決に取り組むことにより、市民一人ひとりが誇りを持てるような輝くまちになるものと確信しております。
 平成28年度は、第3期基本計画の初年度にあたり、未来に夢をつなぐ重要な年であり、職員とともに心の通ったまちづくりに取り組んでまいりますので、議員の皆さん、市民の皆さんのより一層のご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の市政執行方針といたします。

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TEL:0143-85-1122
FAX:0143-85-1108

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