平成27年度市政執行方針(平成27年2月)

公開日 2015年02月17日

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   平成27年度市政執行方針(平成27年2月)

 

 平成27年第1回登別市議会定例会にあたり、新年度の市政に臨む基本的な考え方と重点的な施策について申し上げます。

 今、全国の自治体が少子高齢化や人口減少に対応し、活力ある地域をどのように創生していくか、知恵を絞ろうとしています。
 国においては、少子高齢化に対応し、人口減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度な集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目的とした「まち・ひと・しごと創生法案」が可決し、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が示されました。
 市町村においては、本戦略及び北海道の戦略を勘案し、将来人口推計や地域性などを総合的に分析した結果等から「地方人口ビジョン」と各自治体の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定が求められているところであります。

 当市の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」については、平成27年度に策定する総合計画第3期基本計画において、特に少子高齢化及び人口減少への対応について重点を置くこととし、「子どもを生み育てやすいまちへ」、「安心して老いを迎えることができるまちへ」、「各産業が元気に展開されるまちへ」の3つの施策を戦略の柱としてまいります。
 この3つの施策を重点施策として、早い段階で地方版であります「登別市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、国の地方創生の動向を的確に捉えるとともに持続可能な施策を見極め、スピーディーに対応できるよう体制を整えてまいります。
 また、地方版総合戦略の策定に当たっては、この基本計画と連動するよう取り組んでまいります。

 第3期目となる基本計画の策定については、昨年、各方面において精力的に活動されている方や公募の方で構成する市民検討委員会と市の各部局の担当者で構成する庁内検討委員会を立ち上げ、百数十回にわたって熱の入った議論を交わしてきたところであります。
 策定に当たっては、行政が示した案に対して承認をいただくという手法ではなく、これまでの取組や課題等について共通理解を持ったうえで、どういった施策によってまちづくりを進めることができるのか、率直に、時には激しい議論を交わしながら進めているところであります。
 今後については、本年3月を目途に市民検討委員会から第3期基本計画策定に当たっての提言をいただく予定となっておりますので、提言をしっかりと踏まえ、新たな10年計画の策定を進めることとし、内容についても多くの方と意見を交わしながら、12月の市議会定例会への上程を目指して取り組んでまいります。

    【主な重要施策展開の基本的な方向性】

 平成27年度の市政執行における基本的な考えについて、総合計画第2期基本計画の6つの分野での主な重点施策を申し上げます。

 まず、第1に「ぬくもりある地域で共に支えあうまちへ」についてであります。

 全国的な課題である少子化は、当市においても例外ではなく、年少人口は減少の傾向にあります。
 この減少を食い止め、住みたいと思える魅力あるまちとするためには、子どもたちが活き活きと暮らせるまちづくりが必要であり、子育てしやすい地域づくりを進めていくことが、当市の発展につながるものと、思いを強くしているところであります。
 子どもたちの健やかな成長には、親はもちろん、地域ぐるみで愛情を持って育むことが肝要でありますので、今後もしっかりとしたサポート体制の構築を進めてまいります。
 国においては、平成27年度に「子ども・子育て支援新制度」をスタートさせます。
 当市においても、昨年、「登別市子ども・子育て会議」を立ち上げ、「安心して子どもを生み、健やかに育て、明るい未来をつくるまち」を基本理念に「登別市子ども・子育て支援事業計画」を策定するなど、対応を図ってきたところであります。
 新制度への移行にあたっては、質の高い教育・保育を確保するため、関係機関と十分な協議を重ね、保護者に負担していただく保育料等について本年夏を目途にあらためて決定し、見直しを進めてまいります。

 子育てについては、主に家庭が担うことを基本とし、子育て家庭を支援してまいりましたが、今後も子どもが健やかに成長できる環境づくりに向け、行政、家庭、地域、事業者等が、互いの役割を明確にして、社会全体で子どもたちを育てていくことができる強固な連携体制を構築してまいります。
 公立保育所については、多様化する幼児期の子育て支援に適切に対応できるよう民営化を進め、教育・保育両方に対応できる認定こども園への移行を目指して設置に向けた協議を加速させ、当市における認定こども園がどうあるべきなのか、本年夏を目途に方向性をまとめてまいります。
 次に、放課後や長期休暇等における児童の居場所づくりについては、子どもたちが安心して過ごせるよう、児童館や放課後児童クラブ、放課後子ども教室の機能や地域の特色を最大限に活かし、それぞれの施設の一体的な運営について、地域の皆さんのご意見をいただきながら段階的に進めてまいります。
 まずは、第1段階として、放課後児童クラブの保育時間を延長する体制を整え、保護者との連絡体制の充実に努めてまいります。
 児童館の利用については、これまで一度帰宅してからの利用としておりましたが、平成27年度から、青葉小学校区をモデル地区として、放課後、学校からの直接来館を可能とし、1年間の利用状況をもとに、すべての児童館での次年度以降の実施を検討してまいります。
 また、鷲別児童館については、放課後児童クラブ及び子育て支援センターを併設した総合的な運営の拠点施設として、平成28年度完成予定の鷲別小学校校舎に隣接する場所へ、平成29年度中の移設を目指すこととし、統合型児童館として、鷲別小学校を中心とした理想的な子育て環境の構築に向けて邁進してまいります。

 次に、高齢者への取組についてでありますが、国の高齢者施策が見直され、平成27年度から、新たな介護保険制度が開始されます。
 当市におきましては、老いを迎えても安心して暮らせる地域づくりを進めるとともに、関係事業者と十分な協議を行うなど、新しい介護予防・日常生活支援総合事業の開始に向け、国が設定している経過期間が終了する平成29年度を目途に準備を進めてまいります。

 介護保険料については、平成27年度において、第1号被保険者の保険料基準額を月額200円引上げることとし、負担能力に応じた段階設定とするため、9段階の設定を行ってまいります。
 さらに、認知症等の対応については、「登別市高齢者等SOSネットワークシステム事業」において、協力機関の拡大や各種媒体を活用した支援体制の拡充等に取り組んでまいります。

 次に、障がいのある方への取組については、障がい者施策の基本的な事項を定めた「障がい者福祉計画」と「障がい福祉計画」を一体化し、障がいのある方の自立と社会参加、地域生活の継続的な支援などに着目し、将来にわたって安心して暮らすことができる地域づくりを目指す「登別市障がい者支援計画」を平成27年度よりスタートすることとしております。
 本計画には、障がいのある方への就労支援の充実や「(仮称)手話言語条例」の制定に向けた調査・研究、自宅での入浴が困難な重度の障がいのある児童への入浴サービスの実施などを盛り込んだところであります。

 次に、各種計画に基づく市民の健康づくりにつきましては、胃がんを引き起こす原因の一つであるピロリ菌検査を、年齢を定めて実施し、早期発見・早期除菌治療により将来的な胃がんのリスクの抑制を図ってまいります。
 また、関係機関との連携により、胃がん予防市民講演会を開催するほか、「かろやかフェスタ」や11月11日の「介護の日」に合わせたイベントを開催するなど、市制施行45周年を契機として、健康意識をさらに高めていただく新たな取組を実施します。

 国民健康保険については、平成21年度から繰越金や基金を活用し、これまで税率の引き下げなどを行い、被保険者の負担軽減に努めてきたところであります。市は、保険者として医療費の抑制に努めておりますが、医療費自体は依然として増加傾向にあり、単年度収支では平成22年度からこれまで赤字決算が続いているところであります。そのため、平成27年度においては、基金をほぼ取り崩す見込みであるため、賦課限度額の改定に着手してまいります。
 平成28年度以降の税率については、今後の収支状況を見極めたうえで、登別市国民健康保険運営協議会に諮るとともに、税率改定に向けて被保険者の皆さんのご理解とご協力をいただくため、約1年間をかけて周知を図ってまいります。

 次に、いつまでも住み慣れた地域で自分らしく活き活きと安心して生きがいを持って暮らすことは、市民誰もが願うことであり、その実現には地域や福祉関係者が互いに協力して課題の解決に取り組む地域福祉活動を欠かすことはできません。
 地域福祉活動を進めていくためには、行政主体の福祉行政をはじめ、行政とともに福祉の中心的な役割を担う登別市社会福祉協議会が、市民とともにさまざまな福祉事業を展開することが肝要であります。
 特に、ご近所で支えあう地域福祉活動による地域づくりが大切でありますので、「小地域ネットワーク事業」の取組をさらに加速させるため、通称「安心キット」の購入費を市が負担し、登別市社会福祉協議会が小地域ネットワークを全市展開するためのきっかけとなるよう支援してまいります。
 
 第2に「自然と調和し、安全・安心に暮らすことのできるまちへ」についてであります。
 
 近年、我が国では、東日本大震災をはじめ、広島県の大規模土砂災害や御嶽山の噴火などにより、多くの尊い命が犠牲となっております。
 また、当市におきましても、平成24年11月に大規模停電をもたらした暴風雪のほか、昨年は道内で初の大雨特別警報が発表されるなど、異常気象が頻発しています。
 市民がこれからも安全・安心に暮らしていくことができるよう、過去の災害の記憶を風化させることなく、引き続き、災害に強いまちづくりを目指し、防災対策の強化を進めてまいります。
 公助の取組については、被害を最小限に食い止めるため、さまざまな災害事例を想定したシミュレーションを行い、速やかな対応が図れるよう危機管理体制の強化に努めてまいります。
 共助への取組については、平時から災害に備えるための防災に関する情報提供や資機材の確保、地域で行う訓練等への参画促進など、地域の取組への支援を行い、市民と行政が連携した災害への備えをより一層充実させてまいります。
 自助への取組については、自主防災組織等を通じて、各家庭において3日間程度の食糧等を備えるなどの啓発を図っていただくとともに、市も広報紙や防災研修会の場を通して情報提供を行ってまいります。
 また、本年、実施する総合防災訓練については、登別中学校グラウンドを会場に、東日本大震災と同等の規模を想定した訓練を10月に予定しており、多くの方に参加していただき、体験から学んでいただくことが地域防災力の向上につながるものと考えますので、しっかりと周知を図ったうえで、防災関係機関による実動訓練や市民参加による実践型の訓練を実施してまいります。

 次に、消防・救急体制については、社会情勢や人口推移などの変化を踏まえながら、将来にわたり、地域住民の生命及び財産を守るため持続可能な消防力の在り方について、具体的に検討してまいります。
 その一つとして、登別支署と登別温泉支署を再編した統合支署の建設に向け、地域をはじめ、関係団体等と積極的に意見交換を継続し、建設に向けたスケジュールや建設地など、具体的な方向性を定めてまいります。
 また、要支援者が急病等で緊急搬送される際に的確な対応を図れるよう、個人情報が記載された安心キットを活用する救命活動への準備を進めてまいります。
 さらに、老朽化した化学消防ポンプ自動車を更新し、危険物施設や車両火災に迅速に対応してまいります。

 次に、自然環境への取組については、当市の良好な景観と豊かなみどりを守り育て、次世代へ継承していくための基本的な考え方などを盛り込んだ景観と緑化に関する条例の平成27年度内の制定を目指すとともに、条例に先立ち、当市の豊かな自然を次世代へ守り引き継ぐための展開手法などを検討する場を設け、今後の取組の方向性を定めてまいります。
 また、環境省の「日本の重要湿地500」に選定され、特別緑地保全地区に指定しているキウシト湿原は、平成14年度から取り組んできた整備を終えましたので、後世に残すべき当市の宝として、条例制定に先行して平成27年4月からの供用開始を予定しております。
 供用開始後は、湿原を適切に保全するとともに、民間団体と連携して自然観察会や自然体験学習の場等として本格的に活用してまいります。
 
 次に、環境保全への取組については、クリンクルセンターにおいて昨年3月から白老町と共同で燃やせるごみの処理を再開しているところであり、平成26年度に定めた1市1町によるごみ処理を行うための施設の長寿命化計画に基づいた整備を行い、広域的な一般廃棄物の適正な処理に努めてまいります。

 次に、公共下水道整備については、集中豪雨に対する浸水被害の軽減を図るため、中央町地区と若山町地区の浸水対策に引き続き取り組むとともに、常盤町地区の一部において汚水管の改築更新を進め、流下能力不足の解消に努めてまいります。
 今後も、下水道長寿命化計画に基づき、さまざまな施設や設備の更新を進めてまいりますが、厳しい財政状況の中にあっても、将来にわたって安定的な経営を行っていくための方策について、検討を深めてまいります。

 次に、地域や関係機関、事業所等が連携を強化し、地域社会が一体となって暴力団を排除するため、昨年12月に制定した「登別市暴力団の排除の推進に関する条例」については、室蘭市、室蘭警察署、登別市の3者で「暴力団の排除に関する合意書」を締結したところであり、今後も関係機関等と連携しながら市民の安全と平穏を確保できるよう取り組んでまいります。

 第3に「地場産業の躍進によりさまざまな人が集うまちへ」についてであります。
 
 平成28年3月末の北海道新幹線開業は、観光振興など、当市にとって大きなビジネスチャンスとなります。
 日胆地域においては、自治体をはじめ、観光協会や商工会議所などの関係機関が一体となり、各地域の魅力を力強く発信する「北海道新幹線×nittan地域戦略会議」の取組を展開しております。
 新幹線を利用して北海道を訪れる方に、リピーターになっていただくためには、函館圏のみならず北海道全体が一体となって受け入れ態勢を構築し、長期滞在プランや体験型観光等の充実など、満足度を高めていただくことが重要でありますので、登別温泉を含む支笏洞爺国立公園を中心に日胆の魅力を情報発信し、「北海道登別洞爺広域観光圏協議会」や「登別市・白老町観光連絡協議会」などの広域的な観光組織を通じ、東北や関東圏からの誘客に取り組むとともに、学校・旅行会社等への観光プロモーションを継続し、さらなる誘客を図ってまいります。
 海外からの誘客については、引き続き、台湾、香港、中国からの誘客に努めるとともに、航空会社へ新たな道内航路開設などを働きかけるなど、今後も観光需要の増加が期待される東南アジア各国のニーズに応じた誘客にも努めてまいります。

 観光客の受け入れ環境の整備については、観光客が安心して快適に散策できるよう、地獄谷木道や大湯沼の天然足湯への探勝歩道を改修するほか、修学旅行やインバウンド観光によるカルルス温泉サンライバスキー場の活用を図り、滞在型観光を推進してまいります。
 また、これまで以上に多くの方が登別温泉にお越しいただけるよう、駐車場への活用等を目的に旧国立病院跡地の取得を目指すとともに、地元特産品や名産品をはじめ、登別温泉以外の市内の魅力の掘り起しについても努めてまいります。

 次に、当市のまち・ひと・しごと創生総合戦略の重点施策としても位置づけている地方における元気な産業の創出についてでありますが、起業化支援の取組については、これまでの「起業化支援事業補助金制度」がさらに利用しやすい制度となるよう、支援額を変更し、事業要件を大幅に緩和した新たな制度を創設するとともに、各種届出等の手続きに関するアドバイスや市内企業等と連携した土地や建物などの物件情報の紹介、開業後のフォローアップ等、起業を考えられている方が抱える疑問や不安についてしっかりとサポートし、市内における起業を促すことで地域経済の活性化を推進してまいります。
 市内企業の販路拡大に係る支援については、市内企業の優れた製品等を広く域外に発信できるよう、道内外で開催される商談会等への出展に対する支援制度を創設し、新たな市場の開拓を推進してまいります。
 商店街の活性化については、商店街の賑わいを創出するため、「空き店舗活用事業」の支援対象となる業種を拡大するとともに、既存店舗のリフォームに係る支援制度を創設し、活力ある商店街の形成を推進してまいります。

 次に、雇用対策についてでありますが、管内の雇用情勢は、有効求人倍率や新規求人数が、共に高い水準で推移しているものの、業種や職種に偏りがあり、求職者が求める職種等と適合していない状況となっています。
 このため、特に若年層の求職者に幅広い業種や職種に興味を持っていただけるよう、「若年者等キャリアカウンセリング事業」を継続するとともに、市内事業者の業務内容を実体験する「インターンシップ事業」や「高校生就職フォローアップ事業」等を引き続き推進し、市民が安定した仕事を持ち、地域で安心して暮らせるよう取り組んでまいります。
 また、福祉の分野においても、障がいのある方や生活における支援が必要な方への就職促進に取り組んでまいります。

 次に、再生可能エネルギーの導入推進については、北海道の補助制度を活用し、「登別市総合福祉センター」に蓄電池付太陽光発電システム及び太陽熱利用給湯システムのほか、市内企業が開発した地中熱及び施設排熱を利用した融雪システムを導入し、災害発生時における避難所機能の強化とCO2削減を図るなど、再生可能エネルギー活用の先進的なモデルとなる取組を進めてまいります。
 また、これらの施策に加え、水素エネルギーや水力の活用について研究を深めてまいります。
 温泉熱の活用については、当市の地域特性を活かした取組であり、国や北海道などの支援制度の活用も検討しながら、温度や湯量、活用方法などの調査・研究を進めてまいります。

 次に、農林業の振興についてでありますが、当市には、全国に誇れる安全で良質な乳製品や肉牛などがあり、平成27年度はこれらのさらなる質の向上と農業者の経営基盤の強化を目的に草地改良を行うなど、地域特性を最大限に生かした農業の発展に取り組んでまいります。

 有害鳥獣の捕獲数や被害防止対策などの取組を定めている「登別市鳥獣被害防止計画」については、平成27年度までが計画期間となっていることから、有害鳥獣による農林資源や生活環境の被害状況などを的確に把握し、平成28年度以降の取組について関係者との協議を進め、本年秋ごろまでに次期計画を策定してまいります。
 また、新たな地域資源になりうるエゾシカについては、昨年度起業したエゾシカ肉の処理業者などとも連携し、引き続き、市内のイベントなどでの試食PRを実施するなど、多くの方に登別市のエゾシカ肉の認知度を高める取組を展開してまいります。

 次に、水産業についてでありますが、「つくり育てる漁業」として、平成23年度よりエゾアワビの人工種苗を当市海域に放流し、生息漁場の環境や放流後の成長を調査することにより、増殖の可能性について研究を続けているところであります。昨年は試験的に漁獲したアワビを市内ホテルに提供し、良質であると評価いただいたことから、新たな地場特産品としての確立を目指してまいります。

 次に、漁港整備についてでありますが、登別漁港につきましては、北海道開発局の「北海道マリンビジョン21」の改定を受け、登別・白老地域マリンビジョン協議会が策定する登別漁港の災害時避難マニュアルや衛生管理マニュアルの見直しなどに協力してまいります。
 また、鷲別漁港につきましては、今後も安心して漁業活動が行われるよう、関係機関と協力し、漁港の維持管理に努めてまいります。

 第4に「堅固な都市基盤の創造と緑あふれる美しいまちへ」についてであります。

 安全に安心して充実した生活を営むうえで、大切な基盤となる公共施設や道路、上下水道など、生活に欠かすことのできないインフラの多くが老朽化しており、今後も維持するために多額の費用が必要となります。
 老人憩の家や婦人研修の家などの公共施設の在り方については、当市を取り巻く現状をお伝えしながら、市民の皆さんと広く意見交換を行ってきたところであります。
 公共施設は集会施設としての役割だけではなく、地域コミュニティを活性化するための拠点であり、地域の市民活動の核となる施設でありますので、今後も地域の皆さんのご意見をしっかりと受け止めながら、将来に向けた公共施設整備の基本的な考え方と施設配置の在り方を示す「公共施設整備方針」を平成27年度中に策定し、協働のもと、公共施設の維持、管理、運営に努めてまいります。
 また、インフラを含めた公共施設全体の状況を把握し、整備のための財政負担の軽減・平準化や公共施設等の適正配置に向け、「公共施設等総合管理計画」の策定についても併せて着手してまいります。

 市営住宅の整備については、空き部屋の有効活用を図るため、平成27年度から老朽化した市営住宅を修繕する際に若年者世帯向けの改修を行うとともに市営住宅以外として賃貸する目的外使用も視野に入れ、検討してまいります。
 また、市営住宅千代の台団地の建替えに向け、基本設計・実施設計を行ってまいります。

 道路排水については、大雨による被害を軽減するため、引き続き、若草町における雨水排水ポンプの増設工事や新生町の排水路改良工事を進めてまいります。
 また、平時から幹線管渠の定期的な清掃や閉塞箇所の補修を行い、大雨時においても既設排水路の機能が十分発揮できるよう、施設の流下能力不足の解消に努めてまいります。
 橋梁については、安全・安心な通行を確保するため、引き続き補修工事及び定期点検を行い、橋梁の適切な維持管理に努めてまいります。
 
 次に、水道事業についてでありますが、安定した水道事業運営を行っていくためには、施設の老朽化や人口減少社会への対応など、さまざまな課題に適切に対応することが肝要でありますので、水道事業の現状と将来見通しを分析・評価し、目指すべき将来像を描いたうえで、その実現のための方策を示すべく、平成27年度の早い段階で「登別市水道事業ビジョン」の策定を目指します。
 その基本的な方向性に基づき、中期の施設整備及び財政計画を策定するとともに、持続可能な水道事業運営のため、水道料金の在り方について検討を深めてまいります。
 公共施設をはじめとした不特定多数の方が利用される施設の耐震化は、早急に対応すべきであると考えておりますが、市民や観光客など、多くの方が利用する大型宿泊施設等においても、耐震化への取組をしっかりと進めていただく必要があると認識しております。
 しかしながら、ホテル・旅館などの大規模建築物の耐震改修等にかかる費用は、民間事業者の経営の大きな負担となることから、これまでの耐震診断への助成に加え、補強設計費用及び耐震改修費用についても助成制度を創設し、市内大規模建築物の耐震化をさらに推進してまいります。
 また、大型建築物のみならず、一般住宅などについても引き続き耐震化の必要性を啓発するとともに、耐震診断費用について助成し、建築物の耐震化を促してまいります。

 次に、市民の憩いの場である公園については、より一層安心して利用できるよう、公園施設長寿命化計画等に基づき計画的に遊戯施設やトイレなどの改築・修繕を行ってまいります。 
 平成27年度については、新川公園及び若草1号公園等のトイレや遊具の更新を図ってまいります。

 次に、除雪については、北海道の厳しい冬を少しでも快適に安全に暮らすことができるよう、市はきめ細かな除雪に取り組んでいるところであります。
 除雪車がかき分けた後の玄関や車庫前などの堆雪については、市民の皆さんに対応をお願いしているところでありますが、中には高齢などの理由により除雪が困難な方がおり、個々人での対応が難しい場合もあります。
 平成25年度から地域と市が連携した除雪体制について、試行事業を実施しているところでありますが、町内会と共に設置した冬道対策検討会において、市民と行政の連携による事業の実施方法について意見交換を行い、登別市の地域事情にあった新たな除雪体制の構築に向け検討を進めてまいります。

 第5に「地域で学び、地域とともに育てるまちへ」についてであります。

 このまちの子どもたちが持つ無限の可能性を引き出し、社会で活躍するための基礎を、学校はもちろん地域の中で教えることが教育の大きな役割の一つだと認識しております。
 子どもたちが一日の多くの時間を過ごす学校施設の耐震化については、平成26年度をもって地域の避難所としての役割を持つ小・中学校すべての体育館の耐震化が完了します。
 校舎については、平成27年度から青葉小学校校舎の耐震化工事を実施するとともに、平成28年度完成予定の鷲別小学校校舎の全面改築工事に着手し、子どもたちの笑顔を守ってまいります。

 次に、体育施設の整備についてでありますが、体育施設は、市民が気軽に自らの健康増進に取り組む場所として、また、子どもたちが夢を抱きながらスポーツ活動に取り組む場所として重要な施設であります。
 中でも、貴重な植物が生息する湿原を散策しながら自然を楽しむことができるキウシト湿原や、緑化を図り市民の憩いの場となるよう整備を行っている若山浄化センターなど、自然教育や健康、生活に関する施設が集約されているこの地区において、運動を通した健康増進のシンボル的な施設である総合体育館については、施設の延命化を図るため、平成27年7月上旬から平成28年1月末まで、耐震改修工事を含めた大規模改修工事に取り組みながら、当該地区の面による活用について検討してまいります。

 次に、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えた取組についてでありますが、オリンピックやパラリンピックに出場する選手の練習に取り組む真摯な姿を自らの目で見て、感じることは、子どもたちの将来に大きな影響を与える可能性がありますので、今後、当市からオリンピックに参加する選手を育成できるよう、競技スポーツの振興を図ってまいります。
 そのため、この機をとらえて各国の合宿等の誘致に向け、国や北海道、他の自治体などからの情報を収集し、積極的な誘致活動に取り組んでまいります。
 次に、教育制度についてでありますが、法改正により首長は教育委員会で行う教育行政に対し、連帯して責任を負うこととなりましたので、迅速な危機管理体制の構築により、子どもたちが安全で安心に学校生活を送ることができるよう、スピード感を持って対応するとともに、「総合教育会議」の開催や「教育に関する大綱」の策定など、これまで以上に市と教育委員会の連携を強化してまいります。

 第6に「ふれあいと共感による担いあうまちへ」についてであります。

 まちが将来にわたって活力を持ち続けるためには、さまざまなまちと交流し、人と情報が活発に行き交うことが大切であります。
 他市町村との交流についてでありますが、まちとまちの交流は、平時においてはまちづくりへの新たな視点を得ることができ、有事の際は互いのまちの特性を生かして支えあう何物にも代えがたい絆であります。
 当市は、白石市と30年を超える親密な交流を重ねているところであり、海老名市とは白石・海老名・登別で構成するトライアングル交流により、約4年前からさまざまな情報交換や物産交流、スポーツ交流、災害時の応援協力等を行っているところであります。特に、海老名市につきましては、市民団体からも交流をさらに深めるべきとの要請もあり、今後につきましては、産業経済、教育、文化、福祉など、トライアングル交流で育んできた絆を糧としながら、各分野における交流を深め、姉妹都市提携に向け、取組を進めてまいります。
 本年は市制施行45周年を迎える節目の年であり、今、蒔こうとする未来への希望の種が市制施行50周年という大きな節目に花開くことを期待し、市民と行政のさらなる協働の実現に向けたきっかけとなるよう機運の醸成に努めてまいります。
 また、将来への希望の種をしっかりと蒔き続ける一方、このまちの礎となる多くの先達たちの知恵と努力の歴史を後世に引き継ぐことも大切でありますので、市制施行50周年を目途に、現代史を追記した新たな市史の発行に向け、平成27年度から準備組織を立ち上げ、編纂に着手してまいります。
 さらに、市制施行50周年に向け、戦後の地域の歴史や取組、記念物の由来等についても地域のご協力を得ながらしっかりとお聞きし、できうる限り集約して、後世に引き継いでまいります。
 

 平成27年度の市政執行に関する基本的な方針の一端を申し上げましたが、私自身もこのまちの豊かな自然に、そして、ぬくもりある地域の方々の愛情を受けながら育った登別人の一人でございます。
 この素晴らしい登別市がこれまで以上に他の地域に誇れるまちとして将来にわたって発展し、多くの人々の心に残るふるさととして存続するためには、少子高齢化や人口減少といった全国的な大きな波に毅然と立ち向かう気持ちを一人一人が持ち、市民や行政の区別なく取り組んでいく必要があります。
 この大きな波への方策はいまだ未知数の部分が多く、対応は困難を極めるかもしれません。
 しかし、大学などのさまざまな知見を持った方々と情報共有を行うとともに、私たち登別人の英知を結集することで、この課題を必ずや乗り越えられるものと信じております。
 議員の皆さん、市民の皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の市政執行方針といたします。

問い合わせ

総務部 企画調整グループ
TEL:0143-85-1122
FAX:0143-85-1108

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