公開日 2014年02月18日
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平成26年度市政執行方針(平成26年2月)
平成26年第1回登別市議会定例会にあたり、新年度の市政に臨む基本的な考え方と施策の重点について申し上げます。
昨年は、多くの市民が参加し、開催50回という記念すべき節目の年を祝った「登別地獄まつり」を3日間にわたり実施したほか、平成23年の東日本大震災や平成24年の大規模停電の際、まさに兄弟姉妹のように支えあった宮城県白石市と姉妹都市の絆を結んでから30周年を迎え、さらには、市民の安全を支える消防組織が結成100周年を迎えるなど、先人たちの長きにわたる努力を再認識した年でありました。
また、当市の財政状況においては、クリンクルセンター建設に代表される大型事業の実施に伴い、10年以上も続いた公債費の高止まりの状態から脱却できる見通しがたち、これまでの厳しい財政状況から実施を先送りしてきた課題に取り組む転機を迎えようとしています。
今後、将来にわたって積極的なまちづくりに取り組むためには、大きな負担となっている負債を未来に残さず、しっかりと整理することが何よりも肝要ですので、まずは、かつて3つ子の赤字といわれた「国民健康保険特別会計の累積赤字」、「登別振興公社」、「登別市土地開発公社」のうち、残されていた「登別市土地開発公社」について、国の第三セクター等改革推進債を活用して本年3月での解散の目処をつけました。
さらに、市民が安全に安心して生活するうえで必要と考えられる公共施設の更新や防災関連事業などの大型事業を計画的に実施するため、「大型事業推進プラン」を策定し、平成25年度から平成32年度までの8年間に実施を予定する事業及びその実施予定年度を明らかにしました。
また、登別市の将来について、市民とともに思い描く理想のまちの実現に向け、市民が主体的にまちづくりに取り組んでいただけるよう、平成23年度の地区懇談会から、将来の地域がどうあるべきかを共に考えるきっかけとして『地域とともに描くまちづくり』をテーマに活発な意見交換を展開してまいりました。
私たちが暮らすこのふるさと「のぼりべつ」を「生まれた時から人生を終えるまでの一生涯にわたって、安心して暮らすことができるまち、ずっと住み続けたいと思えるまち、親も子もあらゆる世代の人々がともに手を携えて暮らしていけるまち」とするため、次の10年間のまちづくりの設計図となる総合計画第3期基本計画の策定に向けた準備を議員の皆さん、市民の皆さんのお力添えをいただきながら進めてまいります。
この大切な年の市政執行にあたり、あらためてその責任の重さを再認識し、これまで以上に市民の皆さんと熱く議論を交わしながら、決意を新たにしっかりと市政に取り組んでまいります。
【主な重要施策展開の基本的な方向性】
平成26年度の市政執行における基本的な考えについて、総合計画第2期基本計画の6つの分野での主な重点施策を申し上げます。
まず、第1に「未来を担う子どもたちを育み、活き活きと暮らせるまちづくり」についてであります。
少子高齢社会が到来し、当市においても14歳以下の年少人口が減少傾向にありますが、子どもたちは登別市の将来を担う宝であり、地域全体で大切に育む必要があります。地域における子育て支援として、今後も、地域子育て支援拠点事業や放課後児童クラブ事業などの施策を継続し、子育て世代が希望の持てるまちづくりを地域の協力をいただきながら推進してまいります。
平成27年4月から始まる国の子ども・子育て支援新制度については、その動向を注視しつつ積極的なアプローチを図るため、子ども・子育て支援法に基づく「登別市子ども・子育て会議」を立ち上げるとともに、「登別市子ども・子育て支援事業計画」の策定に着手するなど、子育て世代や関係機関と子育て支援の在り方について意見を交わし、新制度移行への準備を進めてまいります。
保育所の在り方については、保育需要に対応した子育て支援を充実させるため、今後も関係機関と連携しながら、民間の技術や手法を取り入れ、子どもが健やかに成長し学べる子育て環境の構築に向けて柔軟に対応してまいります。
次に、年齢や障がいの有無にかかわらず、すべての人が地域において活き活きとした生活が送れるようにするためには、地域住民が互いに支えあう地域福祉社会の実現が必要です。
高齢者への取組については、高齢者が要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを安心して続けることができるよう、関係機関と連携しながら、住まい、医療、介護、予防、生活支援を日常生活の場で一体的に提供できる「地域包括ケアシステム」の構築を推進してまいります。
障がいのある方への取組については、「登別市障がい者福祉計画」及び「第3期登別市障がい福祉計画」が平成26年度をもって終了することから、これらを1本化し、平成27年度を初年度とする「(仮称)登別市障がい者支援プラン」の策定に取り組み、障がいのある方がより一層安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。
また、「児童デイサービスセンターのぞみ園」の運営については、障がいや発達に心配のある児童への療育を一層充実したものとするため、豊富な療育実績と知識を有する民間団体に委託し、これまで以上に児童の発達支援等に重点をおいた取組を展開してまいります。
第2に「自然と共生し、安全・安心に暮らすまちづくり」についてであります。
東日本大震災をはじめ、暴風雪に伴う大規模停電など、過去の災害の記憶を風化させることなく、市民が安全に安心して暮らすことのできるまちづくりを促進してまいります。
防災の取組については、市民一人一人が日ごろから家族で避難場所を確認しあい、災害発生時には速やかに避難行動をとる「自助」、隣近所での日ごろからの声かけや平時において行政と連携し地域ぐるみで避難訓練を行い、いざというときには地域で助け合う「共助」が災害から多くの命を守るために肝要でありますが、行政が災害の被害を最小限に食い止めるための防災に関する情報発信や地域防災組織への支援を行う「公助」にも引き続きしっかりと取り組み、公民が連携した災害への備えを更に充実させてまいります。
防災への公助の取組については、大雨や津波、土砂災害などの自然災害に対し、季節別、災害発生時間別に市の初動体制をシミュレーションし、速やかに対応できるよう危機管理体制の強化に努めてまいります。
災害弱者については、登別市社会福祉協議会が進めている小地域ネットワーク等を活用し、災害時において手助けが必要な人を地域で支える体制構築を関係機関と連携して進めてまいります。
また、災害時の周知の力を高めるため、避難勧告等の情報を伝えるスピーカーを更新するとともにその数を増やし、海岸線沿いには大音量で広範囲にサイレン音を鳴らすモーターサイレンを併設してまいります。さらに、スピーカーへ回転灯を併設し、避難に導く情報について「耳」と「目」で知らせるシステムづくりに取り組んでまいります。
消防・救急体制については、将来にわたって市民の生命及び財産を守り続けることのできる持続可能な消防力の在り方について検討してまいります。特に、消防力の向上に向け、必要となる将来の消防署の機能や在り方について、早急に方向性を導き出してまいります。
また、消防力を維持するため、「消防緊急通信指令装置」を火災や急病人発生時の第一報で場所を特定し、現場到着までの時間短縮につながる機能を加えたものにするとともに、「高規格救急自動車」を更新してまいります。
次に、環境への取組については、白老町からの燃やせるごみの搬入について、広域的にごみ処理を行うことで効率的な処理が図られることから、平成26年度から再び、1市1町の燃やせるごみの処理を白老町と連携して取り組んでまいります。
また、環境への負荷の少ないまちづくりについては、ごみ処理について廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく「一般廃棄物処理基本計画」の見直しを図るとともに、クリンクルセンターの長寿命化を図るための中間改修を引き続き実施し、一般廃棄物の適正な処理に努めてまいります。
さらに、温室効果ガス削減等の環境に配慮した取組の1つとして、市民や観光客等が活用できる電気自動車の急速充電施設の設置について、引き続き民間事業者に呼びかけるとともに、公共施設への急速充電施設の設置及び公用車として電気自動車の導入について検討してまいります。
下水道事業については、公共下水道事業及び個別排水処理施設事業を安定して継続させるために、本年4月から地方公営企業法を適用し、経営状況の明確化を図るとともに、経営課題の把握や分析等を行い、市民の理解をいただきながら経営の健全化に取り組んでまいります。
浸水対策を目的とした雨水施設の整備については、引き続き中央町地区において取り組むとともに、新たに若山町地区についても着手し、大雨時における災害対策を図ってまいります。
包括的民間委託により効率的に運用している若山浄化センターについては、「下水道長寿命化計画」に基づき、老朽化した既存施設等について延命化及び更新を引き続き進めるとともに、場内の緑化を図るなど、市民が憩える場となるよう環境改善に努めてまいります。
次に、環境省が指定する絶滅危惧種をはじめ、多様な動植物が生息し、当市の原風景を残す貴重なキウシト湿原を保全し、市内外の多くの方に豊かな自然を体験していただくため、現地調査や施設整備等を行ってまいりましたが、平成26年度にはキウシト湿原での自然体験や野外学習など、来訪者の学習や休憩の場等として管理棟を整備し、平成27年度からの供用開始に向けた準備を進めてまいります。
第3に「活気あふれる産業活動が展開されるまちづくり」についてであります。
道民の悲願である北海道新幹線の札幌延伸は、交通利便性の向上だけではなく、本州方面との交流の拡大、観光客の増加など、地域間の連携強化により、北海道における様々な分野へ波及効果をもたらすものと期待されます。
平成27年度には、北海道新幹線の「(仮称)新函館駅」の開業が予定されており、年間約280万人の観光客が訪れ、登別温泉を軸に観光を基幹産業としている当市にとって、大きなビジネスチャンスと捉えております。
そのため、「北海道登別洞爺広域観光圏協議会」などの広域的な観光組織と連携して東北・北関東を中心とした道外誘客を推進することとし、新幹線を活用した旅行プランの検討や学校・旅行会社等への観光プロモーションを行い、修学旅行誘致を含めた誘客促進を図ってまいります。
また、自治体をはじめ、観光協会や商工会議所など、胆振・日高地方の関係機関が一体となり、各地域の魅力を力強く発信する「北海道新幹線×nittan地域戦略会議」においては、まずは情報発信を重点的に行うこととし、独自のホームページの開設や観光事業者へのPRを行う予定であり、当市においても戦略会議の一員として、また、日本有数の観光都市として積極的に活動を展開してまいります。
昨年、国内において訪日外国人旅行者数が1千万人を超え、増加傾向にある訪日外国人観光客の誘客については、東アジアや東南アジア諸国の観光客を中心に今後も増加するものと受け止めておりますので、友好都市である中国広州市をはじめ、登別観光協会と姉妹観光協会となっている台湾台中市のほか、香港等へのトップセールスを行うとともに、北海道観光振興機構等と連携しながら観光プロモーションなど海外誘客事業の取組を推進してまいります。
さらに、滞在交流型観光の取組として、市内で2泊3日以上宿泊していただけるよう魅力ある滞在プログラムの企画から販売等まで、ワンストップ窓口としての機能を担う観光プラットフォームの構築に努めてまいります。
商工業の振興に関する取組については、地域コミュニティの場として地域社会の発展に重要な役割を担ってきた商店街の活性化を図るため、引き続き「空き店舗活用事業」や「商店街活性化支援事業」を実施してまいります。
また、極楽通り商店街にある空き店舗を活用して、市が招へいするアーティストへ作品創作と展示の場を提供し、アートイベント等を実施することにより、商店街の賑わい創出と新たな観光資源として登別の魅力創造を図る「登別アーティスト イン レジデンス」に取り組んでまいります。
昨年7月に施行した「登別市中小企業地域経済振興基本条例」に基づき、市民、中小企業者、行政等がそれぞれの役割分担のもと、協働して地域経済の活性化を図るため、この条例の理念を広く啓発するとともに、「登別市中小企業地域経済振興協議会」を設置し、地域経済の振興に係る総合的ビジョン及び中小企業振興に必要な施策の研究が円滑に行われるよう取り組んでまいります。
労働施策については、景気の持ち直しに伴い、管内の雇用情勢は有効求人倍率、新規求人数ともに改善されているものの、若年者の離職率が依然として高いことが課題として残されています。
このため、引き続き、就職を希望する若年者等が抱える就職活動での不安や悩みなどを解消し、自分の職業適性を把握したうえで、自主的・積極的な就職活動ができるよう「若年者等キャリアカウンセリング事業」や「高校生就職フォローアップ事業」等に取り組んでまいります。
高齢者については、定年退職後の高年齢者の希望と能力に応じた就業機会の確保や生きがいの充実、また、能力を生かした活力ある地域社会づくりに取り組む登別市シルバー人材センターにおいて、今後の運営及び事業展開の基本方針となる「基本計画」を策定する予定となっておりますので、さらなる連携を深め、高年齢者雇用の安定等に向けた取組を推進してまいります。
再生可能エネルギーについては、導入に向けた市民への普及啓発を進めるため、引き続き西いぶり定住自立圏形成推進協議会と連携して講演会を開催するほか、小水力発電の事業化に向けた水量等の民間事業者による調査を支援するとともに、地熱エネルギーについては、泉源の温度や湯量、未利用温泉の有無、市内事業者の技術の活用などの基礎的調査を行い、地熱や温泉熱の利活用に向けた調査・研究を進めてまいります。
次に、農林業については、昨今、エゾシカの農林業被害が問題となっており、また、交通事故などの原因となることも懸念されることから、関係機関と連携して被害防止対策の強化を図り、農林業の振興と市民が安全・安心に暮らせる環境づくりを推進してまいります。
また、エゾシカを地域の有益な資源と考え、駆除業務で捕獲したエゾシカを食肉用等に処理し、市内の事業者と連携して安全・安心でおいしく食べられる新たな地場特産物となるよう取り組んでまいります。
次に、水産業については、「つくり育てる漁業」を推進するため、平成23年度より試験的にエゾアワビの人工種苗を当市海域に放流し、平成26年度から漁獲が開始される予定であることから、これを機にエゾアワビの地産地消の推進とブランド化に向けた機運の醸成に取り組んでまいります。
また、登別漁港については、新規の「特定漁港漁場整備事業計画」に基づき、今後、老朽化が著しい旧港区の岸壁などの整備が進められますので、引き続き関係機関との連携を密にし、より良い漁港づくりを目指してまいります。
第4に「安心して暮らし続けることのできる都市機能と支えあうまちづくり」についてであります。
市民が安心して暮らすことができる環境づくりを整えるため、様々な目的に応じた公共施設の在り方を見直すことが肝要であります。
公共施設の在り方については、本格的な少子高齢社会や人口減少社会の到来、社会経済情勢の変化、公共施設の老朽化などを踏まえ、将来にわたって登別市にどのような施設が必要なのか、広い視野のもと、十分に意見を交わす必要があります。
市民の生活の充実や活動の活性化を図り、災害時には市民の命を守る役割を果たす公共施設の目的や目標を明確にし、必要な機能をはじめ、適正な設置数、規模等について、利用状況や財政状況を踏まえたうえでしっかりと検討を行い、施設の統廃合や新設など、時には厳しい決断を選択しながら、将来に向けた公共施設整備の基本的な考え方や施設配置の在り方を示す「公共施設整備方針(案)」を平成26年度に作成し、平成27年度での策定を目指してまいります。
また、公営住宅の整備については、「市営住宅等長寿命化計画」に基づき、「市営柏木団地」などの老朽化した市営住宅の修繕等を継続して行うとともに、「市営千代の台団地」の建替に向け、基本構想、測量調査及び地質調査を行ってまいります。
次に、心豊かに自然とともに暮らせる都市空間を整えるためには、登別市の良好な景観と豊かなみどりを守り育て、将来の登別市民に継承していくことが大切です。
そのため、未来に託すかけがえのないふるさとの姿を残すための基本的な考えと約束事の条例化に向け、「(仮称)登別市景観・緑化条例検討市民会議」において検討いただいております。
本年の早い段階において、これまでの検討をまとめた提言が市民会議から提出される見込みでありますので、提言をしっかりと踏まえ、平成26年度での条例化に向けて取り組むとともに、条例施行後はその目的を達成するための具体的な計画づくりに速やかに取り組んでまいります。
次に、安全・安心な生活を送るためのまちづくりの要素の1つである都市基盤整備に向けた大型事業については、昨年定めた「大型事業推進プラン」に基づく実施を基本に、道路排水等の都市基盤整備については、市道の改良整備を引き続き行うとともに、新生町の排水路改良工事や若草町における雨水排水ポンプの増設工事を順次進めるほか、幹線管渠の定期的な清掃や閉塞箇所の補修を継続的に行い、大雨時における道路冠水の軽減を図ってまいります。
橋梁については、車両や歩行者の安全な通行を確保するため昨年定めた「橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、補修工事及び定期点検を行い、橋梁の適切な維持管理に努めるとともに、対応状況等について周知を図ってまいります。
水道事業については、今後も減少が見込まれる給水人口や給水量を踏まえ、施設の老朽化や災害等への対策など、水道事業が抱える様々な課題に取り組む必要があります。そのため、水道水の安全・確実な給水及び持続可能な供給体制の確保を図るため、「登別市水道ビジョン」を策定し、将来を見据えた水道の理想像を「安全」、「強靭」、「持続」の観点から、今後取り組むべき方向性と重点的な実現方策を定めてまいります。
次に、大規模な地震の発生に備えて建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進することを目的に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が昨年5月に改正され、大規模な建築物の所有者には平成27年12月末までに耐震診断を行い、その結果を都道府県等に報告する義務が課されたところであります。
大型宿泊施設を有し、全国有数の観光地である当市が、これからも観光客等が安心して宿泊できる安全な観光地であり続けるため、大規模建築物の耐震化を促進する耐震診断費用を助成するとともに、一般住宅においても耐震化の必要性について啓発し、耐震診断費用を助成してまいります。
今後、大規模建築物の耐震改修の費用については、民間事業者の経営の大きな負担となることから、国や道の支援制度を注視しながら、支援の在り方について検討してまいります。
次に、公民連携の新しい除雪体制の推進については、町内会の皆さんと連携し、平成25年度から始めた「凍結防止剤等散布ボランティア支援事業」を継続するとともに、本年3月を目途に連合町内会と市で構成する「(仮称)冬道対策検討会」を立ち上げ、登別市の地域事情にあった公民連携による新しい除雪体制の構築に向け、検討してまいります。
第5に「安全・安心に学び、地域と創るまちづくり」についてであります。
近年、地震や津波、異常気象などの自然災害や痛ましい事件、事故が発生しており、子どもたちが安心して学び、また、地域の方々も安心して暮らせる環境づくりを進めることが急務であります。
登下校のための通学路の安全対策については、警察、道路管理者、教育委員会、学校などで構成する「通学路交通安全推進協議会」を立ち上げ、継続的に点検、改善を行うための推進プログラムを策定し、道路の安全施設整備、交通規制、交通安全指導などに取り組んでまいります。
学校施設の耐震化については、昨年度、登別小学校と富岸小学校体育館の耐震化工事が終了し、これにより鷲別小学校体育館を除き、本年1月で小・中学校すべての体育館を耐震化しました。今後は、実施設計を終えた鷲別小学校体育館の改築工事を実施するとともに、鷲別中学校校舎の耐震化事業とこれまで未実施の小・中学校3校の耐震診断を実施してまいります。
さらに、文化、体育の拠点である市民会館や総合体育館については、老朽化が進んでおりますので、順次、設備を改修してまいります。
情報発信拠点でもある図書館機能の充実については、これまで、「登別中央ショッピングセンター」内に設置していた「地域情報センター」を新たに「図書館分館」へと改編し、インターネット環境や視聴覚設備を活用したデジタル資料の提供を行うとともに、バリアフリー環境のもと、高齢者や障がいのある方の図書館利用の促進を積極的に図ってまいります。
次に、学校と保護者と地域がともに知恵を出し合い一体となって取り組む「地域とともにある学校づくり」については、地域の子どもたちの健やかな成長について話し合いを深めるコミュニティスクールの活動を支援してまいります。
さらに、子ども達の人間力や学ぶ力を高めるため、様々な学習媒体を用いた学習の在り方についての研究を支援するとともに、その成果を反映できるよう努めてまいります。
第6に「役割を担い、共に取り組むまちづくり」についてであります。
まちづくりを進めるに当たっては、将来にわたって暮らし続けるまちの姿がどうあるべきか、理想のまちの姿を描きながら計画的に取り組んでいく必要があります。
現在、平成28年度を初年度とする今後10年間のまちづくりを推進する施策の基本的な方向性を示す「総合計画第3期基本計画」の策定に向けて準備を進めていますが、第2期基本計画の計画期間の終了が2年後となる平成26年度は、第2期基本計画を検証し、次の第3期基本計画策定につなげる大切な期間であります。
第3期基本計画の策定に当たりましては、第2期基本計画で掲げた施策について市民のご意見を伺うために平成24年度から2年間にわたって実施した「まちづくり意識調査」の結果をはじめ、公共施設の更新や防災関連事業といった大型事業を着実に実施するために策定した「大型事業推進プラン」、平成26年度に作成予定の「公共施設整備方針(案)」、地域の皆さんが描くまちの基礎となる「地域とともに描くまちづくり」を踏まえながら、多くの市民で構成する「総合計画第3期基本計画市民検討委員会」と市が連携し、安全・安心なまちの実現に向け、知恵を出し合い、情熱をもって取り組んでまいります。
「地域とともに描くまちづくり」については、毎年秋に各地区連合町内会をはじめ、地域の皆さんを対象に開催している「地区懇談会」において、市民と市が互いに責任をもち、将来に向けたまちづくりへの思いを共有できるよう平成25年度までの3年間、登別をより良いまちにするという共通の目標に向け、地域の皆さんと意見交換を進めてまいりました。
平成25年度の「地区懇談会」においては、地域からいただいた喫緊の課題の議論と並行し、地区別将来構想案に関する多様な可能性の1つとしてアイデア資料を提示し、更なる意見交換を行ってまいりました。
このアイデア資料については、市長就任以来、議員の皆さん、市民の皆さんから寄せられたまちづくりの熱い思いや庁内の意見を基に検討を重ねたアイデアの一部であり、地域での議論をより一層加速させ、進めるためのものでありますので、実現には解決すべき検討課題への対応など、相当の期間が必要なものも含んでおり、事業化する場合には優先順位を検討する必要があります。
今後は、地区別将来構想案と併せ、政策別に構想案を分類し、地域内でイメージを共有していただき、場合によっては再協議をしながら、その結果を第3期基本計画の策定に向け、市民検討委員会や庁内検討委員会における参考資料として活用してまいります。
次に、都市間交流等の推進については、本年10月に白石市と海老名市が姉妹都市提携20周年を迎えることから、海老名市で開催される予定の記念式典に市民訪問団が参加するとともに、白石市及び海老名市とのこれからの交流の在り方を検討し、トライアングル交流の更なる推進を図ってまいります。
また、昭和45年に市制施行し、「人口3万都市」実現に貢献した東京都福生市、滋賀県守山市、登別市の3市において、これまでは議会や行政間で交流してきましたが、各市の魅力と特性を生かした市民間における交流を促進する新たな展開として、青少年のスポーツ交流を通じ、相互理解を一層深めるため、「少年サッカー交流事業」を実施し、3市の市民相互交流を推進してまいります。
次に、行財政改革については、社会経済情勢の変化に対応した簡素で効率的な行政システムの確立と推進を図るため、行財政改革基本方針及び実施計画について不断の見直しを行っているところでありますが、健全でより強固な行財政基盤の確立や質の高い行政サービス水準を確保するため、後継の基本方針及び実施計画の策定に取り組んでまいります。
平成26年度の市政執行に関する基本的な方針の一端を申し上げましたが、まちづくりのあるべき姿は、行政のみがまちづくりに取り組むのではなく、そのまちの在り方を真剣に考え、主体的にまちづくりに関わる市民と行政が互いに努力し、合意形成に向けて活発に議論を進めることが真のまちづくりであると信じています。
市民がまちづくりの問題提起を行い、行政が多くの市民の考えを合意形成のもとに整理・統合しながら、登別市を形づくることが重要であり、その手法は多岐にわたって行われるべきものと考えますので、登別市の将来を真剣に思う市民の皆さんとともに、熱意あふれるまちづくりに挑み、私たちの描いた夢が市民の希望となる市政運営に取り組んでまいります。
議員の皆さん、市民の皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の市政執行方針といたします。
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