公開日 2013年03月25日
平成15年11月 登別市
ここで示した数値は、平成15年度9月末現在の補正後の数値を基礎にして、すでに決定した数値(前年度繰越金など)を調整した実行予算をベースに、現在把握できる数値を用いて、今後における収支の見込みを一定の増減率を設定するなどの仮定条件の下に見通しを立てたものであるため、将来の予算編成を拘束するものではありません。
また、国や北海道の予算、財政構造改革の動向、社会経済状況の変化などにより変動するものです。
1. 財政を取り巻く環境
我が国の財政状況は、景気低迷の長期化を背景とする大幅な税収減、度重なる経済対策による歳出増や大幅な減税により急速に悪化しています。
バブル期には60兆円を超えていた国税収入は、平成15年度予算では42兆円を割り込み、歳入の44. 6%を国債にたよらざるをえなくなっています。
また、地方財政も地方税や地方交付税の原資となる国税収入が落ち込む一方で、景気対策による公共事業の追加により地方債残高が膨らむなど極めて厳しい状況にあり、国及び地方の長期債務残高は平成15年度末で686兆円と、GDPの1. 4倍近くに膨らむ見込みです。
当市においても市税収入の伸びが期待できない状況にあるとともに地方交付税制度の見直しにより11億円を超える赤字地方債の借り入れを余儀なくされています。
国は、厳しい財政の現状を克服するために財政構造改革を推し進めようとしています。その大きな柱となっているのがいわゆる「三位一体の改革」と言われているものです。その内容は、
(1) 国庫補助負担金の概ね4兆円程度を目途にした廃止、縮減等の改革を行うこと
(2) 地方交付税制度の改革
(3) 税源移譲を含む税源配分の見直し
とされています。具体的な内容はまだ明らかにされておりませんが、もともと税源の弱い当市にとって、(1)及び(2)による影響額が(3)で十分に補てんされるのか、改革の動向を注視するとともに北海道市長会等を通じて、地方に著しく不利にならないよう主張していきたいと考えております。
当市の財政をとりまく環境変化のなかで、少子高齢化の影響は重くのしかかってきます。
1900年に4,385万人だった我が国の人口は、2000年には
1億2,693万人に増加しました。しかし、出生率の低下により、2006年にピークに達した後、以後長期の人口減少過程に入り、2100年には4,645万人にまで減少するのではないかという推計もなされております。(「国立社会保障・人口問題研究所」が平成14年1月に発表した「日本の将来推計人口」の低位推計)
当市においては、すでに平成7年をピークに人口減少過程に入っているものと思われます。(社会増減は平成6年度から、自然増減は平成12年度から減少に転じています。~住民基本台帳による。)
当市の人口・年齢構成の推移と今後の推計は次のとおりです。
◎国勢調査の数値及び(財)日本統計協会による推計値 (人、%)
区分 | 人口 | 0~14歳 | 15~64歳 | 65歳以上 | |||
1985年 | 58,370 | 12,365 | 21.2 | 40,308 | 69 | 5,697 | 9.8 |
1990年 | 55,571 | 9,598 | 17.3 | 38,670 | 69.6 | 7,293 | 13.1 |
1995年 | 56,892 | 8,349 | 14.7 | 39,394 | 69.2 | 9,149 | 16.1 |
2000年 | 54,761 | 7,291 | 13.3 | 36,369 | 66.4 | 11,097 | 20.3 |
2005年 | 52,326 | 6,465 | 12.4 | 33,093 | 63.2 | 12,768 | 24.4 |
2010年 | 49,528 | 5,785 | 11.7 | 29,599 | 59.8 | 14,144 | 28.5 |
2010年(平成22年)と2000年(平成12年)の年齢別人口を比較すると、年少人口が1,500人以上の減、高齢者人口が3,000人以上の増、生産年齢人口は3万人を割り込む推計内容となっています。
少子高齢化の財政への影響は、担税力が弱まったり、医療費補助を含む高齢者福祉費や障害者福祉費などの扶助費の増加が考えられます。
市税については景気動向等にも左右されますが、医療扶助費は例えば適度な運動の継続や定期的な健康診断の実施などである程度伸びを抑えられるとしても、制度改正や医療費の削減がない限り増加するものと思われます。
一方、年少人口は減少するものの、母子・児童福祉については、女性の社会進出等により保育所の需要はなお大きく、母子家庭も増加傾向にあることから、児童扶養手当なども減少が見込めない状況にあります。
このように少子高齢化は、中長期的に行政サービスの需要増と税収入の減少という形で、財政に負荷を与えることになります。
※児童扶養手当~児童を扶養している母子家庭の母親等に支給される手当です。
当市においては、さらに「団塊の世代」の職員がまもなく定年を迎えることとなり、退職金総額も従前より多額になることが見込まれています。
◎市職員の定年退職者数見込み
15年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | 20年度 |
15人 | 15人 | 13人 | 19人 | 24人 | 33人 |
2. 作成の目的
地方自治を維持するためには、財政における自治の確保が前提となります。そのためには、まず「財政再建団体」にならないことが最低条件です。
「財政再建団体」とは、毎年度の赤字累計額(実質収支額)が標準財政規模の一定割合(市町村の場合20%)を超えたときに、総務省が地方財政再建促進特別措置法に基づいて指定する団体のことをいいます。
具体的には、超過課税の実施や使用料など受益者負担の引き上げ、市単独事業や各種団体への補助金の廃止などにより、市民の受益と負担のバランスが大きく変化することとなります。さらに毎年度の予算編成において、国・道の厳しいチェックを受けることとなり、財政における自治が事実上失われることとなります。
※標準財政規模 経常的に収入される一般財源の標準的な額
近年の当市の財政状況は、次のとおりです。
◎実質収支の推移(普通会計)(千円)
区分 | H10年度 | H11年度 | H12年度 | H13年度 | H14年度 |
実質収支額 | 432,328 | 494,145 | 672,846 | 684,937 | 790,254 |
標準財政規模 | 10,906,135 | 11,069,097 | 11,176,726 | 10,822,524 | 10,602,640 |
実質収支比率 | 4.00% | 4.50% | 6.00% | 6.30% | 7.50% |
実質収支額(繰越金)が比較的大きくなっていますが、前年度の繰越金を支消しないで推移している状況といえます。また、分母となる標準財政規模が縮小傾向にあります。
実質収支から見ると健全財政を維持していますが、他の財政指標は悪化しており、財政の弾力性が失われつつあることを示しています。
◎主な財政指標の推移
区分 | H10年度 | H11年度 | H12年度 | H13年度 | H14年度 |
経常収支比率 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
財政力指数 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
公債費比率 | 15.90% | 16.20% | 16.60% | 17.20% | 18.70% |
起債制限比率 | 12.30% | 12.50% | 12.40% | 12.70% | 13.20% |
このほか、公債費の増大や老朽化した公共施設の整備に加え、新市民プールや新火葬場の運営経費、老人保健制度における市町村負担割合の増嵩など、財政需要の増加が見込まれます。
このような中で、自治体として不可欠な財政上の自治を確保していけるのか、確保していくためには、行政として何が必要なのか、その目標を金額的に示す必要があると考えました。
地方分権制度においては、市民が自らの意志と責任で自らを治める、真の意味での地方自治を確立して、みんなが安心して暮らせる活力ある地域社会を構築する枠組みづくりが求められています。
市政への市民参画を得るためには、市政に関する情報を市民とともに共有することが前提となります。
また、財政上の自治を確保していくために、市民の「受益と負担」を見直すことも必要となってきます。
そのために、「財政の中期見通し」を作成、公表することにより、市民と行政がともに「登別市の財政」を考えていく資料としていただきたいと思います。
※経常収支比率
財政構造の弾力性(余裕)を示すものです。支出のうち人件費や公債費など、毎年必ず支払う経費を「経常的経費」といいます。また市税や地方交付税など毎年常に入ってくる財源を「経常財源」といい、使い道が自由な経常一般財源から経常的経費に充てられる割合が経常収支比率となります。比率が低い方が自由に使える資金が多いことになります。
※財政力指数
地方公共団体の財政力を示す指数で、1.000に近く、あるいは1.000を超えるほど、財政に余裕があるとされています。
※公債費比率
公債費は借金の返済金であり、これが一般財源に占める割合を「公債費比率」といいます。この指標は毎年の償還金が市の財政を圧迫していないかを示すものです。
※起債制限比率
「標準財政規模」に対する公債費の割合のことをいいます。この数値が20%を超えると、市債の借り入れが制限されます。
3. 試算の前提条件
(1) 歳入
市税
(単位:億円)
区分 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | H20 |
個人市民税 | 14 | 13 | 14 | 14 | 14 | 13.7 |
法人市民税 | 300.00% | 300.00% | 300.00% | 300.00% | 300.00% | 3 |
固定資産税 | 2230.00% | 2190.00% | 2220.00% | 2090.00% | 2100.00% | 21.2 |
都市計画税 | 4.3 | 4.3 | 4.4 | 4.1 | 4.1 | 4.2 |
入湯税 | 2.3 | 2.4 | 2.4 | 2.4 | 2.4 | 2.4 |
市たばこ税ほか | 4.7 | 4.9 | 4.9 | 4.8 | 4.8 | 4.8 |
計 | 50.4 | 49.9 | 51 | 49.2 | 49.1 | 49.3 |
個人市民税は、平成16~17年度は2%、平成18年度以降は1%の減で推計しています。また、配偶者特別控除制度の改正を見込んでいます。
固定資産税・都市計画税については、評価替に伴う既存家屋の減価率を考慮しています。
市税収入は、地方交付税算定において基準財政収入額の基礎となります。したがって、市税が減少すると基準財政収入額も減少し、基準財政需要額との差額である地方交付税が増加する要因となりますが、基準財政需要額は縮減傾向にあるもののその内容が不明のため、この財政見通しにおいては、あえて地方交付税とは分離しています。
地方交付税
(単位:億円)
区分 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | H20 |
普通交付税 | 46 | 46 | 45 | 46 | 46 | 46.5 |
普通交付税通常分 | 2970.00% | 2910.00% | 2800.00% | 2740.00% | 2680.00% | 26.2 |
事業費補正分 | 1220.00% | 1250.00% | 1290.00% | 1370.00% | 1400.00% | 14 |
公債費分 | 4.4 | 4.5 | 4.2 | 4.8 | 5.6 | 6.3 |
特別交付税 | 5.9 | 5.5 | 5.4 | 5.3 | 5.2 | 5.1 |
臨時財政対策債 | 11.3 | 11.3 | 11.3 | 11.3 | 11.3 | 11.3 |
計 | 63.5 | 62.9 | 61.8 | 62.5 | 62.9 | 62.9 |
普通交付税
今後の交付税制度の見直しが不透明であることから、通常分については、年2%の減で推計しています。これに地域総合整備事業債や公共下水道事業債などの市債償還額が算入される「事業費補正」と災害復旧債や臨時財政対策債(赤字地方債)などの償還額が算入される「公債費」を別途推計するとともに登別温泉中学校の統合や市立幼稚園の廃止による減額調整を行っています。
特別交付税
平成15年度分は予算額に特殊財政需要分として30,000千円上乗せしています。平成16年度以降は、この上乗せ分を除いた数値を基礎に2%の減少率で計算しています。
臨時財政対策債
地方交付税特別会計で行っていた借入金の地方振替分である臨時財政対策債も制度が存続することとして計上しています。金額は、平成15年度の決定額と同額としています。
譲与税・交付金
平成15年度の決算見込みをもとに、ほぼ同額で推移していくものとして推計しています。
国・道支出金
性質別充当区分により、歳出にあわせて試算しました。
三位一体の改革における国庫補助負担金の廃止・縮減の影響は、未だ内容が不透明なため、考慮していません。
市債
平成16年度以降、臨時財政対策債及び減税補てん債を平成15年度決算見込み額と同額にしたほか,普通建設事業費の推計にあわせて計上しました。
繰入金
職員退職手当積立金繰入金については、毎年給料の当初予算計上額の8%及び積立利息分を積み立て、退職金の3分の2の額を繰り入れることとして推計しています。この結果、退職手当積立金は平成20年度で残高がなくなります。
(2) 歳出
人件費
職員数のこれまでの推移は次のとおりです。(人)
区分 | H8 | H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | H14 |
職員数 | 583 | 581 | 584 | 585 | 579 | 566 | 553 |
H12年度の介護保険制度導入に向け、一時的に増加した後は、減少しています。
職員数の今後の推移については下表の通り見込みました。(人)
区分 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | H20 |
普通会計 | 480 | 466 | 463 | 461 | 455 | 448 |
特別会計 | 49 | 48 | 47 | 46 | 44 | 43 |
企業会計 | 19 | 19 | 19 | 19 | 19 | 19 |
合計 | 548 | 533 | 529 | 526 | 518 | 510 |
特別会計では、公共下水道事業特別会計の人員減を見込んでいます。
給与改定は見込まず,共済費については短期分について0.5%の伸びを見込みました。
扶助費
老人福祉・障害者福祉のなかの主なものについて年2.1%の増加を見込みました。これは、平成17年度~平成22年度の5年間の推計高齢者人口の平均伸率にあわせたものです。
児童扶養手当・生活保護費については、1.0%の増加を見込んでいます。
公債費
平成14年度までに借入れた市債の償還額については、既定条件で計算しました。
平成15年度以降の借入れ分については,各々の年度の歳入として見込んでいる市債の翌年度以降の償還見込み額を計上しました。
利率等については,1.5%。15年償還(3年間元金償還据置)の条件で計算しています。
平成16年度で減税補てん債の借り換え(868,500千円)を行いますが、歳入歳出同額のため総額から除いています。ただし、これに係る翌年度以降の償還額は計上しています。
(単位:億円)
区分 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | H20 |
人件費 | 47.4 | 46 | 45.1 | 46 | 47.3 | 48.8 |
扶助費 | 34.8 | 35 | 35.4 | 35.8 | 36.3 | 36.7 |
公債費 | 28.8 | 29.5 | 30.4 | 31.1 | 33.9 | 34.3 |
計 | 111 | 110.5 | 110.9 | 113 | 117.4 | 119.9 |
普通建設事業費
公営住宅建設事業については「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき計上しました。他に、若草小学校大規模改修事業(第2期)を予定しています。大型事業が平成16年度で終了することから、平成17年度以降は大幅に縮減する見通しで推計しています。
土地開発公社からの土地買取り分は、毎年度3,000万円を見込みました。
物件費
新市民プールや新火葬場の運営費を見込んだほか、幼稚園や温泉中学校の維持管理費分を減額調整しています。
そのほか、少子化・幼児教育対策分として、平成16年度以降2,000万円上乗せしています。
維持補修費
基本的には平成15年度予算と同額とし,クリンクルセンターのダイオキシン類除去設備の定期的な整備を見込んでいます。
平成16年度以降、既存公共施設の有効活用を図っていくための整備費として3,000万円を上乗せしています。
繰出金
老人保健特別会計については、市費負担割合の増加を見込んでいます。
公共下水道事業特別会計については、平成16年度から実施を予定している個別排水処理事業に係る繰出金を見込んでいます。
介護保険特別会計については、第2期介護保険事業計画を参考にして算出しています。
(単位:億円)
区分 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | 20年度 |
単年度不足額 | ▲5.7 | ▲5.8 | ▲8.5 | ▲12.1 | ▲13.1 |
不足累計額 | ▲5.7 | ▲11.5 | ▲20.0 | ▲32.1 | ▲45.2 |
基金等充当後 | 0 | ▲1.3 | ▲9.7 | ▲21.8 | ▲35.0 |
単年度の収支不足額は、平成16年度、17年度は5億円台ですが、平成18年度以降、急速に拡大し、平成20年度では13億円を超える見込みです。
この単年度収支不足の累計額は、平成20年度では45億円に達します。
平成15年度末現在で、財政調整基金が7億7,700万円、備荒資金組合超過納付金が2億5,100万円に達する見込みであり、この10億2,800万円により平成16年度~17年度の収支不足額を補てんするとしても、平成20年度末の累積収支不足額は35億円に上ります。
平成14年度の標準財政規模(106億2百万円)を基準にしても、平成19年度には収支不足の累計額が19.9%にのぼり、標準財政規模が縮小傾向にあることを考えれば、財政再建団体に陥る可能性が高い、厳しい見通しとなっています。
これを避けるためには、市民と行政が協働して、財政健全化に取り組んでいかなければなりません。ともに「知恵」を出し合うことが求められます。
その協働のなかで、登別市の自治を守り、育んでいくことが肝要だと考えています。
5. 財政健全化に向けた基本的な取り組み
当市は、これまでも計画的な定員削減を行うなど効率的な行財政運営を推進するために、行政改革を実施してきました。
平成15年度だけでも管理職手当、退職手当そして特別職の期末手当の削減を実施したほか、旅費支給における日当の縮減、長寿祝金の見直しなどを実施してまいりましたが、「中期財政見通し」は、なお一層の歳出削減・歳入確保の努力が求められる結果となっています。
(1)歳入の安定確保
1 市税徴収率の向上
当市の市税徴収率は、平成14年度で86.7%であり、平成13年度(86.2%)では、全道34都市のなかで31位となっています。
平成14年度決算における収入未済額は7億5千万円を超えており、貴重な一般財源が失われています。仮に、平成13年度の全道都市平均である91.9%まで引き上げることができれば、3億円を超える増収となり、財政健全化に大きく寄与することとなります。
これまでも、収納対策本部を設置し、徴収率の向上に努めてまいりましたが、財政の逼迫が予想される当市においては、一層の工夫や努力が求められるとともに、税負担の公平という観点からも、徴収率の向上が必要です。
併せて期限内納付の向上を図り、督促状の作成・発送など事務費の削減につなげたいと考えています。
2 使用料、手数料等受益者負担の適正化
減免規定の見直しを含め、受益者負担の見直しが必要です。
現行の施設使用料等は、基本的に光熱水費などの実費を算定基礎にしていますが、これに公債費などの施設整備分などのコストを加えていくことが必要となります。
さらに、減免規定を見直し、運営補助金を支給している団体の使用料等の減免についても、文化やスポーツ振興施策の総合的な見直しのなかで検討していく必要があります。
特別会計である公共下水道事業についても、今後、市債償還費の増嵩が予想され、繰出金(市税)だけでは対応しきれなくなっていくことから、使用料の見直しが必要となります。
(2) 事務事業の見直し
行政評価システムの導入や事務事業の見直し、それに基づくスクラップアンドビルドを徹底していく必要があります。
現在、行政が行っている事務事業等についても、行政でなければできないもののほかは、民間の力を活用したり、市民に協力を求めていくものが出てくると考えています。
特に増嵩が予想される扶助費については、基幹的なものは国や道の施策に委ね、市町村は住民に最も身近な行政機関として「きめ細かさ」が求められるものや「制度の間隙」にある行政需要に対応するものとし、いわゆる「ばらまき」的なものは廃止していかなければなりません。
行政が行うべきサービスを見極め、市民と行政の役割分担を明確にしたうえで、市民のみなさんや民間の力を積極的に活用していきたいと考えています。
(3)行政経費の徹底縮減
1 簡素で効率の良い市役所組織・機構の編成
地方分権や規制緩和、高度情報化、国際化、少子・高齢化等20世紀後半から強まってきた潮流は、21世紀において社会を構成する中心的な要素となることが予測されます。
まちづくりの総合センターたる市役所は、これらの潮流を的確に捉まえ、また、市民ニーズを最先端で受け止め、いち早く課題を分析し、速やかに行政に反映させる活動的で軽快な機能が求められています。
今後想定される行政需要の動向を的確に把握し、「横断組織機能の強化」「行政情報化の推進」などを進め、市民に分かりやすく機動的でスリムな市役所組織の編成に努めます。
2 少数精鋭を基本とした職員態勢の構築
「中期財政見通し」においては、平成20年度=510人体制をもとに試算していますが、多額の収支不足が生じる見通しを踏まえ、職員の削減を前倒しして実施していく必要があります。このためには、職員に一層の努力が求められるとともに、業務の民間委託や単独事業の見直しも視野に入れていかなければなりません。
3 給与制度の適正化
当市のラスパイレス指数は、平成14年度で96.4となっており、ますが財政状況を踏まえ、更に見直しを進めていかなければなりません。
※ラスパイレス指数~国家公務員の給与を100とした場合の給与水準を示す指数
4 事務経費・管理経費の徹底縮減
各年度の予算編成にあたっては、「ゼロからの見直し」を徹底するとともに、事務経費・管理経費の徹底縮減などコストを重視した効率的な執行に努めます。
(4)基金の適正運用と計画的活用
基金の適正運用と各種基金の計画的な活用を図ります。
(5)遊休不動産の売却
廃止される市立幼稚園や保育所の敷地など、市が保有する土地を売却して、短期的に収支不足を補てんする必要があります。
以上のような取組みを行い、毎年度、5億円程度の歳出削減を図っていくとともに、「三位一体改革」を柱とする地方財政制度の見直しや景気変動に伴う国・地方財政の動向をみながら、財政健全化のために必要な対応をしてまいります。