公開日 2013年03月24日
登別市訓令第11号
庁中一般
平成20年度予算編成方針を次のとおり定める
平成19年10月29日
登別市長 上野 晃
平成20年度予算編成方針
我が国の経済は、バブル崩壊後の長い低迷から脱却し、平成14年初以降、息の長い景気回復が続いています。本年9月の月例経済報告では、景気の先行きについて「原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある」としつつも、「企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる」としています。
しかし、日銀が今月発表した10月の地域経済報告では、東京を中心に関東甲信越、東海は景気拡大が続く一方、北海道、近畿、九州・沖縄の3地域が生産や個人消費の伸びが鈍ったことなどから、前回(7月)から景気判断を下方修正するなど、景気の地域間格差が顕著に表れた状況となっています。
北海道経済の状況は、公共投資が減少傾向にあるのをはじめ、住宅建設の動きが弱く、個人消費、観光、生産活動がいずれも横ばいで推移しており、燃料・原材料の価格高騰は、製品への価格転嫁が難しい中小企業の比重が高い北海道経済に悪影響を及ぼしています。胆振管内は、今年に入り、景気回復のスピードがやや鈍くなっており、有効求人倍率も低下傾向にあります。
地方財政については、国は「経済財政改革の基本方針2007」(6月閣議決定)の中で、成長力強化と財政健全化を車の両輪として一体的改革に取り組むとの方針を示し、後世代に負担を先送りしないために、財政健全化の一里塚として「基本方針2006」で示した平成23年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化させるなどの歳出・歳入一体改革を確実に実行することが必要であるとしています。
また、平成20年度予算については、歳出改革を軌道に乗せる上で極めて重要な予算であることから、歳出全般にわたって、これまで行ってきた歳出改革の努力を決して緩めることなく、国、地方を通じ、最大限の削減を行うとしています。
こうした中、国の予算概算要求にあたって総務省から示された平成20年度地方財政収支の仮試算では、地方交付税は4.2%減、臨時財政対策債15.5%減(いずれも出口ベース)と試算されており、地方財政はこれまでにも増して厳しくなることが予想されます。
登別市は、これまでも民間委託や組織機構の見直し・職員数の削減など行政改革を推進するとともに、職員給与の独自削減など歳出の縮減に取り組んできましたが、三位一体の改革による臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税の削減による歳入の落ち込みや、立ち遅れていた生活環境基盤の整備や施設の老朽化の対応に充てた市債の償還に係る公債費の増加などにより、財政状況は厳しさを増して今日に至っています。
このような中、市は8月に平成19年度から平成22年度までの「中期財政見通し」を作成・公表しました。この間の収支見通しでは、さらなる財政健全化に向けた取り組みを行わない場合には、景気低迷や生産人口の減少による市税収入の減、公債費がピークを迎え、高止まりの状況が続くこと、団塊世代の市職員が多数退職期を迎えることによる退職手当の急増などにより、既定の集中改革プランを反映し、大型建設事業を抑制するなどしても、約28億2千万円もの累積収支不足額が生じると試算しました。
このため市は、平成22年度までの間を「財政健全化期間」と定め、「財政健全化に向けた取り組み」を確実に実行していくことが重要であり、併せて創意と工夫による歳入の確保と歳出の縮減に向けた積極的な取り組みをもって、市民からの理解と協力を得ながら、この極めて厳しい財政状況を乗り越えていくこととしました。
平成20年度の予算編成にあたっては、多様化する市民ニーズに応え、行政の担うべき役割を果たしつつ、財政健全化に向け、その取り組みをさらに加速し、着実に遂行することを旨として、次により編成するものとします。
記
- 「財政健全化に向けた取り組み」の確実な実行と予算への反映
「中期財政見通し」の収支見通しでは、平成19年度から平成22年度までの累積収支不足額は約28億2千万円に達すると試算していることから、緊縮財政に徹し、「財政健全化に向けた取り組み」について、平成20年度の実施項目を定め、確実に実行するとともに、その効果を的確に見積もり、予算に反映するものとする。 - 新たな市民ニーズ、行政課題への対応等
新たな市民ニーズや行政課題への対応などにかかる最低限の新規・拡充事業については、事務事業評価を採択の基準とし、これにかかる一般財源の増については、既存の事務事業の見直しによる財源の組み替え等によって対処することを基本とする。 - 既存施設の整備
厳しい財政状況を踏まえ、当面、新たな施設を建設する余裕はなくなる。このことから、既存施設の利用可能期間の延長を図るための補修については、可能な限り予算付けを行うこととする。 - 財源の確保
市財政がかつてない程の厳しい状況下にあり、歳入が確保できてはじめて事業の実施が可能となるという職員一人ひとりの再認識のもと、歳入全般にわたって財源確保に最大限の努力を払って編成する。
(1)市税にあっては、課税客体、課税標準等を的確に把握するとともに、特に徴収率の向上を図る。
(2)一般会計から繰り入れを行っている特別会計も含め、分担金及び負担金、使用料及び手数料については、住民負担の公平確保の観点と受益者負担の原則に立脚し、見直しを含め、検討を行うとともに、未収金の縮小に努める。
(3)国庫補助負担金や地方交付税は、本市にとって欠かせない重要な財源である。
そのため、国・道補助負担金については、法令や制度等を再精査し、事業の緊急性を勘案のうえ高率補助を、市債については、地方交付税措置のあるもの、条件のより良いものを活用する。
(4)市が保有する土地の中で利用計画のないものについては、積極的に売却する。
(5)創意工夫を図り、新たな収入の創出に努める。 - 予算要求にあたって
市民サービスを維持しつつ、行政経費を大幅に縮減するためには、各グループの創意工夫が不可欠である。平成20年度予算の要求にあたっては、以上の方針を踏まえ、次により行うこととする。
(1)経常的経費は、法定扶助費等の義務的経費を除き、当該事業のあり方について再度検討を行うものとし、なお必要と認めたものは、ゼロベース積上げ方式で積算し、要求するものとする。
(2)各グループは、歳入の確保に最大限の努力を払うとともに、「財政健全化に向けた取り組み」に定めた項目はもとより、その他の事務事業や事務・管理経費についても聖域を設けることなく縮減に取り組むこととし、予算にその効果を反映して要求するものとする。
付記
1.中期財政見通し(平成19年度~平成22年度)
年度 | 歳入 | 歳出 | 歳入歳出差引 |
平成19年度 | 19,173百万円 | 19,488百万円 | ▲315百万円 |
平成20年度 | 17,943百万円 | 18,818百万円 | ▲875百万円 |
平成21年度 | 17,771百万円 | 18,498百万円 | ▲727百万円 |
平成22年度 | 17,854百万円 | 18,758百万円 | ▲904百万円 |
収支不足額の累計 | ▲2,821百万円 |
2.財政健全化に向けた取り組み
(1)行政経費の縮減 (財政効果見込み 7.3億円程度)
- 少数精鋭を基本とした職員態勢の構築
- 嘱託員・臨時職員の縮減
- 給与の独自削減
- 事務経費・管理経費の縮減
- 高利率市債の繰上償還
(2)事務事業の見直し(財政効果見込み 1.7億円程度)
- 普通建設事業の見直し
- 事務事業の見直し
(3)歳入の確保(財政効果見込み 4.9億円程度)
- 市税徴収率の向上
- 遊休不動産の売却
- 受益者負担の適正化
- 退職手当債の活用
(4)基金の計画的運用と適切な活用(財政効果見込み 14.3億円程度)
基金等名 | 平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 |
登別市財政調整基金 | 777,312 | 777,874 | 866,176 | 866,960 |
登別市減債基金 | 563,867 | 347,795 | 305,178 | 328,418 |
備荒資金組合納付金 | 531,816 | 536,442 | 541,571 | 586,717 |
合計 | 1,872,995 | 1,662,111 | 1,712,925 | 1,782,095 |
特定目的基金 | 1,737,081 | 1,526,075 | 1,485,840 | 1,361,297 |
※各年度の年度末残高による。
参考
区分 |
歳入総額 (ア) |
歳出総額 (イ) |
差引額 (ウ)=(アーイ) |
翌年度へ繰越すべき財源 (エ) |
実質収支 オ(ウーエ) |
単年度収支 (カ) |
平成17年度 | 22,726,486 | 22,260,583 | 465,903 | 0 | A 465,903 | △76,143 |
平成18年度 | 19,503,627 | 18,736,949 | 766,678 | 0 | B 766,678 | 300,775 |
※平成18年度単年度収支額=B-A
区分 | 13年度 | 14年度 | 15年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 |
経常収支比率 | 87. 90% | 88.30% | 88.70% | 91.90% | 95.20% | 95.30% |
公債費比率 | 17.20% | 18.70% | 19.40% | 20.00% | 20.50% | 22.10% |
起債制限比率 | 12.70% | 13.20% | 13.70% | 14.00% | 14.30% | 15.10% |
実質公債費比率 | - | - | - | - | 15.70% | 17.00% |
財政力指数 | 0.466 | 0.465 | 0.467 | 0.467 | 0.469 | 0.473 |
※経常収支比率は,減税補てん債・臨時財政対策債を経常一般財源とした場合の数値
※財政力指数は3カ年平均の数値
- 経常収支比率
経常一般財源のうち経常経費に充当された割合を示したもので、財政構造の弾力性を測定する比率として使われます。 - 経常一般財源
毎年度連続して経常的に収入される財源のうち、その使途が特定されず自由に使用し得る収入のことをいいます。当市においては、市税と地方交付税で経常一般財源の9割近くを占めています。 - 公債費比率
公債費の一般財源に占める割合をいいます。この比率が10%を超さないことが望ましいとされています。 - 実質公債費比率
平成18年度から地方債の発行が、許可制から協議制へ移行することに伴い導入された指標で、市場の信頼や透明化等の観点から起債制限比率の算出方法に公営企業の元利償還金への一般会計からの繰出分等普通交付税措置のないもの)を加算して算出します。地方債協議制度において、この指数が18%以上の団体は、地方債発行に当って、協議制度の対象にならなくなります。 - 起債制限比率
地方債の許可制限に係る指標で、20%を超えると一般単独事業債などの借入れに制限を受けることになります。 - 財政力指数
地方交付税の基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値をいいます。財政力指数は、1に近くあるいは1を超える(普通交付税の不交付団体)ほど財源に余裕があるものとされています。