公開日 2013年03月19日
登別市訓令第18号
庁中一般
平成19年度予算編成方針を次のとおり定める。
平成17年10月31日
登別市長 上野 晃
平成19年度予算編成方針
平成14年2月から始まった今回の景気拡大期は本年10月で4年9カ月目に入り、戦後最も長かった『いざなぎ景気』に並び、さらに「いざなぎ超え」もほぼ確実と言われています。
先行きについても原油価格の高騰やアメリカ経済の減速などリスク要因はあるものの、今後も民間需要中心の持続的な成長が続いていくものと見込まれることなどから、政府は「企業部門の好調さが家計部門に波及し、国内民間需要に支えられた回復が見込まれる」(10月の月例経済報告)としています。しかし、今回の景気の回復は平均の成長率が実質2.4%と低く、また、地域間、企業規模間のばらつきがあり、実感の乏しさにつながっています。
北海道経済は、昨年は設備投資が増加したものの、雇用・所得環境の改善の動きが相当に緩やかで、家計部門の個人消費や住宅投資については横ばいからマイナスの推移となりました。本年も雇用・所得環境の改善傾向は続いていますが、その動きは遅く、個人消費は持ち直すにとどまっているほか、公共工事は引き続き減少傾向にあり、設備投資や住宅投資も低調に推移するなど、他の地域に比べて景気の改善が遅れています。
国の財政状況は、歳入決算総額に対する公債依存度は依然として高く、国債費が歳出総額の2割を超える見込みであるなど、危機的な財政状態にあります。
本年7月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」では、2007年度(平成19年度)から2010年代初頭までの間を、財政健全化第2期とし、平成19年度予算について「『新たな挑戦の10年』の初年度であり、また、2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を確実に達成していくための発射台」と位置づけています。
地方については、国と歩調を合わせた抑制ペースを基本として歳出削減を行うとし、地方公務員の人件費の削減や地方単独事業の抑制、地方交付税等の制度改革など、財政健全化に向けた強い姿勢を示しています。とりわけ、地方交付税については、国が示した「平成19年度地方財政収支の仮試算」によると対前年度比2.5パーセント減とされ、地方税や地方交付税等の一般財源総額も本年度並みにとどまるなど、地方自治体にとっては、引き続き厳しい財政運営が続くものと予想されます。
登別市は、平成16年度を財政健全化の初年度として、民間委託や組織機構の見直し・職員数の削減など行政改革を推進するとともに、職員給与の独自削減など積極的に歳出の縮減に取り組んできました。しかし、これら取り組みにもかかわらず、市の財政はこれまで以上に厳しさを増して今日に至っています。その大きな要因として、景気低迷による市税収入の減とともに、三位一体の改革による臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税の削減による歳入の落ち込みと、クリンクルセンターや葬斎場、新市民プールの建設、下水道事業など、立ち遅れていた生活環境基盤の整備や施設の老朽化への対応のために借り入れた市債の償還が膨らんだことによる公債費の増加が挙げられます。
さて、平成19年度予算に目を向けると、市税については所得税から市道民税への税源移譲と定率減税の廃止により増収が見込まれますが、所得譲与税が税源移譲により廃止され、定率減税による減収を補てんするため交付されていた地方特例交付金と減税補てん債がそれぞれ縮小、廃止されるなど、歳入の大きな伸びは期待できません。
さらに、本市の場合、団塊の世代といわれる年齢層の市職員が退職期を迎え、退職手当の支払いが増大するとともに、葬斎場と新市民プール建設にかかる市債の元金償還が本格的に始まるなど、さらに厳しい財政運営を強いられることが予想されます。
このようなことから、市の財政は、従来行ってきた事務事業に対し、これまでどおりの財源を充てていくことは困難な状況になるものと思われます。
平成19年度の予算編成にあたっては、新たな市民ニーズに応え、行政の担うべき役割を果たしつつも、財政再建団体に陥りかねないとの危機意識をもち、財政運営の健全化を進めるため、次により編成するものとします。
記
1.事務事業の見直し・効率化・廃止の検討
既存事業については、その費用対効果を改めて点検し、簡素でより効率的な行財政運営に努めるのはもちろんのこと、現下の市民ニーズや行政の担うべき役割に照らして、継続の必要性の有無を検討するものとし、概ね所期の目的を達したと認められるものについては廃止する
2.新たな市民ニーズ、行政課題への対応等
新たな市民ニーズや行政課題への対応などにかかる新規・拡充事業については、事務事業評価を採択の基準とし、これにかかる一般財源の増については、既存の事務事業の見直しによる財源の組み替え等によって対処することを基本とする。
3.行政改革の予算への反映
補助金の見直しや指定管理者制度の導入など「新・登別市行政改革実施計画」のうち平成19年度の実施項目について、的確に予算に反映するものとする。
4.総合予算制度の徹底化
総合的な年間予算の編成を行うので、年度途中の予算補正は、災害等緊急やむを得ないもの及び編成の段階で特に協議し、財源の留保を行っているもののほかは行わない。
5.財源の確保
市財政がかつてない程の厳しい状況下にあり、歳入が確保できてはじめて事業の実施が可能となるという職員一人ひとりの再認識のもと、歳入全般にわたって財源確保に最大限の努力を払って編成する。
1.市税にあっては、税源移譲や定率減税の廃止による影響を分析し、課税客体、課税標準等を的確に把握するとともに、特に徴収率の向上を図り、全道都市平均並みの徴収率の確保に努める。
2.一般会計から繰り入れを行っている特別会計も含め、分担金及び負担金、使用料及び手数料については、住民負担の公平確保の観点と受益者負担の原則に立脚し、減免規定の見直しを含めた額の適正化を積極的に図るとともに、未収金の解消に努める。
3.国庫補助負担金や地方交付税は、本市にとって欠かせない重要な財源である。そのため、国・道補助負担金については、法令や制度等を再精査し、事業の緊急性を勘案のうえ高率補助を、市債については、地方交付税措置のあるもの、条件のより良いものを優先的にとりあげる。
4.創意工夫を図り、新たな収入の創出に努める。
予算要求基準
平成19年度予算の要求にあたっては、以上の方針を踏まえ、次の基準に基づき行うこと。
(1)経常的経費については、法定扶助費等の義務的経費を除き、廃止の検討を行うものとし、なお必要と認めたものは、ゼロベース積上げ方式に積算するものとし、創意工夫に努め、事業費総額は前年度当初予算額を可能な限り下回るものとする。
(2)臨時的経費がある場合は、経常的経費の減額で一般財源を確保して要求することとする。この場合、グループ所管予算で対応できない場合は、同部他グループ所管予算で対応する内容で要求するものとする。
なお、上記の場合においても経常的経費と臨時的経費の合計額は、原則として当該前年度予算額を可能な限り下回るものとする。
付記
平成19年度一般会計予算の展望
~平成19年度予算見込み(10月時点の概算)と平成18年度当初予算との比較~
【歳出】
4.1億円の増
・退職手当 ・・・・・・・・・・・・・ 1.3億円増
・公債費(長期債務の元利償還費)・・・ 2.5億円増
その他、特別会計への繰出金の増、市議会議員選挙費の増などの増減があります。
【歳入】
0.4億円の増
・市税・・・・・・・・・・・・・・・・ 5.6億円増
・所得譲与税・・・・・・・・・・・・・ 4.0億円減
・地方特例交付金・・・・・・・・・・・ 0.7億円減
・臨時財政対策債・減税補てん債・・・・ 0.9億円減
その他、土地の売払収入の減、退職手当基金繰入金の増などの増減があります。
【財源不足】
12億円
※ 平成18年度は8.3億円の財源不足が生じ、財政調整基金と減債基金を繰入れるなどして対応しましたが、これに上記の増減額を単純に加えると、平成19年度はこれを3.7億円の上回る12億円もの財源不足が生じることが予測されます。
参考
◎決算の状況 (普通会計、千円)
区分 |
歳入総額
ア |
歳出総額
イ |
差引額
アーイ ウ |
翌年度へ繰越すべき財源エ |
実質収支
ウーエ オ |
単年度収支
カ |
H16 | 21,668,21 | 21,103,455 | 564,756 | 22,710 | A 542,046 | 77,391 |
H17 | 22,508,351 | 22,042,448 | 465,903 | 0 | B 465,903 | △76,143 |
※H17年度単年度収支額=B-A
◎主要財政指標の推移
区分 | 12年度 | 13年度 | 14年度 | 15年度 | 16年度 | 17年度 |
経常収支比率 | 86.8% | 87.9% | 88.3% | 88.7% | 91.9% | 95.2% |
公債費比率 | 16.6% | 17.2% | 18.7% | 19.4% | 20.0% | 20.5% |
起債制限比率 | 12.4% | 12.7% | 13.2% | 13.7% | 14.0% | 14.3% |
実質公債費比率 | - | - | - | - | - | 15.7% |
財政力指数 | 0.475 | 0.466 | 0.465 | 0.467 | 0.467 | 0.469 |
※経常収支比率は,減税補てん債・臨時財政対策債を経常一般財源とした場合の数値
※財政力指数は3か年平均の数値
○経常収支比率
経常一般財源のうち経常経費に充当された割合を示したもので、財政構造の弾力性を測定する比率として使われます。
○経常一般財源
毎年度連続して経常的に収入される財源のうち、その使途が特定されず自由に使用し得る収入のことをいいます。当市においては、市税と地方交付税で経常一般財源の9割近くを占めています。
○公債費比率
公債費の一般財源に占める割合をいいます。この比率が10%を超さないことが望ましいとされています。
○実質公債費比率
平成18年度から地方債の発行が、許可制から協議制へ移行することに伴い導入された指標で、市場の信頼や透明化等の観点から起債制限比率の算出方法に公営企業の元利償還金への一般会計からの繰出分等(普通交付税措置のないもの)を加算して算出します。地方債協議制度において、この指数が18%以上の団体は、地方債発行に当って、協議制度の対象にならなくなります。
○起債制限比率
地方債の許可制限に係る指標で、20%を超えると一般単独事業債などの借入れに制限を受けることになります。
○財政力指数
地方交付税の基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値をいいます。財政力指数は、1に近くあるいは1を超える(普通交付税の不交付団体)ほど財源に余裕があるものとされています。