平成15年度末バランスシート

公開日 2013年03月15日

登別市バランスシート

(平成15年度末)

普通会計バランスシート

連結バランスシート

財政部財政課

一 はじめに

1. 財政情報の共有化

21世紀がスタートし、市民が自らの意志と責任で自らを治める、真の意味での地方自治を確立し、自主・自立を基本に、みんなが安心して暮らせる活力ある地域社会を構築する枠組みづくりが一層求められています。
そのためには、市政に関する情報の開示を推進し、市民とともに情報の共有化を図り、市政への市民参画を得ることが重要です。

事業の選択や決定を行うにあたり、特に重要なのが、財務に関する情報です。
市では、地方自治法に基づき年2回、財政公表を行うとともに、毎年4月には、予算の内容について詳しくお知らせしています。
このたび、平成15年度末の数値をもとに「普通会計バランスシート」、他の特別会計や公営企業会計(水道会計)、登別土地開発公社をも含めた「連結バランスシート」を作成しました。
これも、財政情報を充実し、情報の共有化を図る取り組みの一つです。

2. 地方公共団体のバランスシート

バランスシートは、年度末(決算時点)の資産と負債のバランスを示す表ですが、本来、企業活動に由来するものです。
企業が利益を追求することを目的としているのに対し、地方公共団体は住民福祉の向上を目的としていることや、財政状態が悪化した場合には、企業では解散(清算)もあり得るのに対し、地方公共団体では、清算が予定されていないなど、企業の会計手法をそのまま用いるわけにはいきませんが、企業会計的手法には優れた点も多く、地方公共団体にふさわしい形で導入することで財政情報の充実に役立つと考えられます。
特に、従来の財政指標が単年度の収支(フロー)の状況を表すことに重きを置いていたのに対し、今までに行ってきた投資の積み重ねをストックとして表すことは、新しい試みといえます。

平成15年度末バランスシート

登別市バランスシート

二 登別市のバランスシート(普通会計)

1. 基本的前提

登別市のバランスシートは、総務省が中心となって発足した「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会」(以下「研究会」という。)が平成12年3月公表した報告書に基づき作成したものです。
これは、今後バランスシートを作成する大多数の市町村が、この作成基準に基づくものと予想されることから、他市町村との比較が容易に行えるという利点があるからです。
住民福祉の増進を目的とする地方公共団体が、利益の追求を活動目的とする企業の会計手法を導入するにあたり、研究会はいくつかの工夫をしています。
主な前提は、次のとおりです。
対象会計範囲は、普通会計としています。
作成基準日は会計年度の最終日としています。(出納整理期間分は含めます。)
昭和44年度以降の決算統計データを基礎数値として用いています。
バランスシートの構成は、「資産の部」「負債の部」「正味財産の部」に分かれています。地方公共団体は営利を目的としないため、企業会計における資本は、持分のような誤解を与えないよう「正味財産」という名称を用いています。
有形固定資産については、実際に投下した税等の資金の運用形態を表す観点から、取得原価主義を採用するとともに、地方公営企業法施行規則等を参考に耐用年数を設定し、定額法により減価償却を行っています。

2. 登別市のバランスシートの特徴

登別市のバランスシートは、研究会作成のものをもとに次のような変更を加えています。主な点は次のとおりです。
資産の部
災害など特定目的のために納付している北海道市町村備荒資金組合への普通納付金残高を『投資等』の「特定目的基金」に、使途の自由な同組合への超過納付金残高を『流動資産』の「現金・預金」に各々計上しました。総務省の基準にはありませんが、実質的に市の資産であるからです。
未収金について、研究会の作成基準では収入未済額を全額計上することとしていますが、当市においては、未収金は必ずしも全額入金されるとは限らないという立場から、過去5年間の未収金に占める不納欠損金の平均割合を算出し、平成15年度末決算の未収金に乗じて得た額を不納欠損見込額として示し、その分減額しています。
負債の部
また、この作成基準では、市債残高は、合計額だけの表示しかありませんが、登別市バランスシートでは、各款毎(行政目的毎)の残高に分類したことにより、各行政目的毎の資産と負債の割合がわかりやすくなっているのが特徴です。

3. 登別市バランスシートの分析(普通会計)

(1)全体

平成15年度末登別市バランスシートから、登別市の資産は、現金や公共資産を合わせて約651億円で、そのうち道路や学校などの公共資産が9割を占めています。
一方、負債は約363億円で、そのうち市債は約313億円です。これは、公共資産の残高の約5割となっています。
資産と負債の差額が正味財産で約290億円です。
正味財産は、資産の財源のうち負債によらないものですから、過去の世代が公共施設などの形で残してくれた資産といえます。

(単位:億円)

資産の部 653 負債の部 363
  公共資産

593

  市債 313
投資等 29 退職給与引当金 50
流動資産 31 正味財産の部 290

 (2)資産の部

  • 公共資産の割合

資産のうち約9割が道路や学校などの公共資産が占めています。

款別(行政目的別)では、道路・河川・公園・公営住宅などの土木費の割合が最も大きく約42%となっています。続いて教育費の約23%、クリンクルセンターや最終処分場が含まれる衛生費の約18%などとなっています。

一方で、少子・高齢化対策などが含まれる民生費では資産の割合が約4%と低くなっています。これは、施設整備よりも人的サービスなどが主であることが要因としてあげられます。

14年度と比較して15年度中の資産形成が減価償却を上回った教育費や衛生費が増加し、逆に土木費や総務費は資産額が減少しています。

公共資産の割合

  • 公共資産の耐用年数

公共資産の耐用年数は、施設の種類によって異なります。

例えば、道路は15年、公営住宅は40年、学校は50年など研究会から示された耐用年数を利用しています。

価格は、取得価格から減価償却を差し引いた額(土地は償却しない)になっていますが、各款(行政目的)の償却済年数と償却残年数は、次のとおりとなっています。

償却資産償却済年数及び焼却残年数

耐用年数から償却経過年数を差し引いた償却残年数は、公共施設の余命を表します。

公共施設の平均耐用年数は26年で、経過年数の平均は11年となっており、平均余命は15年ということになります。

衛生費の平均寿命の割合が多いのは、平成9年度から3ヵ年事業で実施したクリンクルセンターや最終処分場建設分のウエイトが大きいためです。

  • 未収金

流動資産に未収金として、平成15年度決算において何らかの理由で収入できなかった市税(地方税)及び公営住宅の家賃収入など(その他)を計上しています。これらについては、平成16年度以降で収入となるよう努力していきますが、どうしても収入できないもの(不良債権)の過去5年間における未収金に占める不納欠損金の平均割合により算出した額を、不納欠損見込額として計上し、決算書の収入未済額から減額することとしました。

(3)負債の部

負債の約86%を市債が占めています。
市債は、長期間利用する公共施設を借入金の返済という形で、世代間の負担の公平化を図ろうとするものです。従って、負担公平を図るためには、資産の利用価値と市債の残高が見合っていることが必要です。
各款毎(行政目的毎)に公共資産の価格と市債の割合は、次のとおりです。

公共資産の市債割合

※市債の「その他」に計上している臨時財政対策債は、計算上除外しています。

公共資産の残高に対する市債の残高は、49. 4%となっています。
衛生費の割合が高いのは、クリンクルセンターや最終処分場の市債の元金償還がまだ始まって間もないためです。
市債残高313億円のうち78. 9%に当たる247億円は普通交付税の基準財政需要額の算入対象となっています。市債の種類によってその算入率が異なり(30%~100%)、実際に算入されるのは、146億円で、この金額が将来、普通交付税として市に交付されることとなります。したがって、146億円については、厳密な意味での負債とはいえませんが、他市町村との比較上、負債に計上しています。

 (4)正味財産の部

資産と負債の差額は、資産の残存価値に相当する財源のうち負債によらないものを表しています。正味の資産として蓄積された財源を示すものです。
つまり、過去の世代が後の世代に対し、建設年度の税負担や耐用年数よりも短い市債償還により、借金ではなく正味財産として残してくれたものといえます。
内訳としては、国庫支出金として入ってきた分が約111億円、道支出金が約9億円、一般財源が約170億円となっています。

平成14年度のバランスシートと比較すると、資産の伸び(20億9,000万円)を負債の伸び(29億4,100万円)が上回っていることが分かります。これは、貸付金に充てるため3,100万円の市債を借り入れたほか、一般財源(正味財産)である地方交付税が減額され、その分、赤字地方債(臨時財政対策債~平成15年度は11億2,750万円借入)に振り代わったため、本来の正味財産の伸びが負債へ移行したことが大きな原因だと考えられます。
正味財産もこの影響で、平成14年度に比べて8億5,100万円減少しています。

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