平成16年度予算編成方針

公開日 2013年03月15日

登別市訓令第17号

庁中一般

平成16年度予算編成方針を次のとおり定める。

平成15年10月31日

登別市長 上野 晃

平成16年度予算編成方針

 我が国経済は、株価の上昇、企業収益の改善、設備投資が増加傾向にあるなど、一部に景気回復の動きが見られるものの、企業の倒産やリストラ、個人消費の低迷などの影響から、完全失業率が高水準で推移しており、デフレも解消には至らず、依然として厳しい状況が続いています。

 このため、政府は、平成16年度予算編成にあたり、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」を踏まえ、前年度に引き続き歳出改革の推進を図ることとし、歳出を「実質的に前年度以下の水準」に抑制することを目標に、歳出全般にわたる徹底した見直しをすることとしています。

 また、「国と地方」の改革については、国庫補助負担金の廃止・縮減、税源移譲、地方交付税の見直しの「三位一体の改革」が進められることとされ、さらに、臨時財政対策債など、平成13年度に定められた地方財源不足の補てんルールが期限切れとなり、平成16年度からの新たな対応策が、現在検討されています。

 一方、地方財政は、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入の伸び悩み等により、引き続き大幅な財源不足が生じるとともに、数次の景気対策による公共事業の追加や、減税の実施等により、借入金残高が急増しており、その償還が将来の大きな負担となるなど、極めて厳しい状況となっています。

 本市の平成14年度一般会計決算は、実質収支では7億9千万円の黒字を確保したものの、前年度繰越金を除いた単年度収支では、1億5百万円の黒字を確保できたにすぎません。

 平成15年度一般会計予算の状況は、普通交付税が大幅に落ち込んだほか、市税についても当初予算額の確保が難しい状況にあります。また特別交付税についても地震・大雨災害や冷害などにより、他の自治体に優先的に配分される状況にあり、決算段階においても積立金繰入金にある程度頼らざるを得ない見通しとなっています。

 平成16年度の歳入の見通しについては、地方財政計画が策定されていない現在、税制改正など不透明な要素がありますが、経済状況などから歳入の基本となる市税収入の伸びは見込めない状況であり、また、地方交付税についても国の平成16年度予算の概算要求段階において,対前年度比でマイナス3.4%の要求となっていることから、一般財源の確保については極めて厳しい状況にあります。一方、歳出面では、高水準で推移する公債費や増加が著しい扶助費などの義務的経費、また、新火葬場や新市民プール、千歳最終処分場など新しい施設の維持管理費や既存公共施設の補修費の増嵩が見込まれるほか、各特別会計への繰出金の確保等多額の財源を必要としています。

 現在作成中の中期財政見通しによると、今後数年間にわたり、大幅な財源不足が見込まれ、「財政再建団体」に陥る可能性も否定できない状況にあり、単なる節減だけではなく、市民の負担と行政サービスの受給とのバランスを見直していくことが求められています。

 このため、平成16年度予算を「財政健全化の初年度」と位置付け、将来にわたり持続可能な財政構造への転換を図ることを目標に、一層の創意工夫に努め、行政サービスについては、市民に最も近い行政機関として、きめ細かさを重視するとともに、一方で身の丈にあったものとしていくことが必要となります。

 従って、平成16年度の予算編成にあたっては、経常的経費の徹底した節減合理化と、全ての事業について、その必要性・効果等について事業の見直し点検を行い、最少の経費で必要な行政サービスが提供できるよう、次により編成するものとします。

  1. 事務事業の見直しと効率化
    社会経済情勢の変化や市民ニーズを反映した施策展開を図るため、事務事業の見直しを踏まえ、行政の果たすべき役割やその費用対効果を改めて点検し、簡素でより効率的な行財政運営の確保に努める。
  2. 予算の重点的配分
    限られた財源のなか、次の2つの事業への予算の重点的配分を行う。
    そのため、経常的経費、臨時的経費を問わず、例年ある継続的な経費については、一定の要求枠を設ける。
    また、新規・拡充事業に伴う一般財源の増についても、既存の事務事業の見直しによる財源の組み替え等によって対処することを基本とする。
    1. 厳しい財政状況を踏まえ、新火葬場及び新市民プール建設を最後に、当面、新しい施設を建設する余裕はなくなる。このため、既存の施設の利用可能期間の延長を図るためのメンテナンスに重点を移し、既存施設整備について重点的に予算付けを行うこととする。
    2. 「次世代育成支援対策行動計画」を策定し、平成17年度以降、実施していくこととなるが、平成16年度においても「少子化対策」関連分について重点的に予算付けを行うこととする。
  3. 総合予算制度の徹底化
    総合的な年間予算の編成を行うので、年度途中の予算補正は、災害等緊急やむを得ないもの及び編成の段階で特に協議し、財源の留保を行っているもののほかは行わない。
  4. 財源の確保
    現下の厳しい財政状況に鑑み、歳入全般にわたって財源確保に最大限の努力を払って編成する。
    1. 市税にあっては、課税客体、課税標準等を的確に把握するとともに特に徴収率の向上を図り、全道都市平均並みの徴収率の確保に努める。
    2. 一般会計から繰り入れを行っている特別会計も含め、分担金及び負担金、使用料及び手数料については、住民負担の公平確保の観点と受益者負担の原則に立脚し、減免規定の見直しを含めた額の適正化を積極的に図るとともに、未収金の解消に努める。
    3. 現在国において、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討しているところであるが、国から地方への税源移譲が未だ実現していない現段階にあっては、国庫補助負担金や地方交付税は、本市にとって欠かせない重要な財源である。そのため、国・道補助負担金については、事業の緊急性を勘案のうえ高率補助を、市債については、地方交付税措置のあるもの、条件のより良いものを優先的にとりあげる。

予算要求基準

 平成16年度予算の要求にあたっては、以上の方針を踏まえ、次の基準に基づき行うこと。

  1. 経常的経費については、法定扶助費等の義務的経費を除き、一般財源ベースで、前年度の90%の範囲内とする。継続的に実施している投資的経費についても同様とする。
  2. 臨時的経費がある場合は、経常的経費の減額で一般財源を確保して要求することとする。この場合、課所管予算で対応できない場合は、同部他課所管予算で対応する内容で要求するものとする。
  3. 既存施設整備分については、基本情報(建設年度、主な補修歴、利用者数の状況)及び整備必要箇所の現状等を付して要求することとする。
  4. 少子化対策分については、既存施設の整備も含める。

付記

国と地方の関係における予算編成上の留意点

 平成16年度の予算編成に当たっては、その指針となるべき国の予算、地方財政計画等が未確定の段階にあるため現行制度を前提としますが、国・道の予算編成等の動向に細心の注意を払い、的確な把握に努めることとし、制度の創設、改正等について国・道の方針が明らかになったものについては可能な限り当初予算の編成に取り入れることとします。

国の平成16年度予算の概算要求基準及び概算要望の状況等によれば、本市の平成16年度予算編成上の留意点として次のようなものが考えられます。

  1. 総務省の概算要求では地方交付税は、3.4%減(出口ベース)
    一般財源の減少
  2. 地方債は、2.7%減(赤字地方債は昨年同額)
    地方単独事業の抑制
  3. 公共投資は、3%減
    単価節減、諸経費等の見直しに努めて事業量を確保
  4. 国庫補助負担金縮減、税源移譲、地方交付税見直しの「三位一体の改革」において、国庫補助負担金は縮減されるものの税源移譲は先送りの見通し。
    各部課所管の国庫補助負担金の動向について注視されたい。

参考

決算の状況(普通会計、千円)
区分 歳入総額
(ア)
歳出総額
(イ)
差引額
(アーイ)=(ウ)
翌年度へ繰越すべき財源
(エ)
実質収支
(ウーエ)=(オ)
単年度収支
(カ)
H13 21,920,499 21,212,718 707,781 22,844 A 684,937 12,091
H14 22,460,434 21,633,517 826,917 36,663 B 790,254 105,317

※H14年度単年度収支額=B-A

主要財政指標の推移
区分 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度
経常収支比率 83.6% 82.5% 84.6% 86.8% 87.9% 88.3%
公債費比率 15.6% 15.9% 16.2% 16.6% 17.2% 18.7%
起債制限比率 12.2% 12.3% 12.5% 12.4% 12.7% 13.2%
財政力指数 0.526 0.512 0.492 0.475 0.466 0.465

※経常収支比率は,減税補てん債・臨時財政対策債を経常一般財源とした場合の数値

※財政力指数は3か年平均の数値

経常収支比率

経常一般財源のうち経常経費に充当された割合を示したもので、財政構造の弾力性を測定する比率として使われます。

一般的には、75%程度が妥当と考えられています。

経常一般財源

毎年度連続して経常的に収入される財源のうち、その使途が特定されず自由に使用し得る収入のことをいいます。

当市においては、市税と地方交付税で経常一般財源の9割近くを占めています。

公債費比率

公債費の一般財源に占める割合をいいます。この比率が10%を超さないことが望ましいとされています。

起債制限比率

地方債の許可制限に係る指標で、20%を超えると一般単独事業債などの借入れに制限を受けることになります。

財政力指数

地方交付税の基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値をいいます。財政力指数は、1に近くあるいは1を超える(普通交付税の不交付団体)ほど財源に余裕があるものとされています。

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