平成14年度 第4回 ふれあい懇談会開催記録

公開日 2013年03月08日

○開催日時  平成14年11月7日(木)18時30分
会場  市民会館
○対象団体  教育関連団体
○参加人数  ・登別市校長会(11人)
・登別市PTA連合会(1人)
・小、中、高校単位PTA(23人)
・文化協会(2人)
・体育協会(3人)                計40人

□懇談会『市町村合併問題に関する意見交換』の内容

【参加者】
○ 資料に企業会計というのがあり、不足額が登別市は5千万円、室蘭市は205億8千万円となっているが、企業会計という部分では登別市は健全で、室蘭市はこれだけ大変な状況であるというとらえ方でよろしいか。

【市長】
○ 登別市は一般会計から繰り入れて、特別会計の収支を補っているが、室蘭市はそれが出来なくて、借入金で決算をしのいでいるということだと思う。

【参加者】
○ ということは、これだけのお金が合併してもずっと負の資産として残っていくのか。

【市長】
○ もし合併協議会ができれば、それをどうするのか、合併するまでに処理するのかといったことが大きな論議になると思う。今までも、返せなかった訳で、今後短期間に返すということはできないと思うので、おそらく負の資産も一緒に分け合うということになると思う。

【参加者】
○ そういったものがおそらく、住民税に跳ね返ってくるという考えがあってもいいわけですね。

【市長】
○ 借金を返済するために増税をするかどうかということは、それだけ税に頼る状況にあるかどうかの判断が大切であり、今、社会保障制度がこのままでは継続することが出来ない状況にある。つまり、給付を下げてもそれだけでは済まないで、負担を少し増やそうという方向に向かっている。それは、保険料で増やすのか税で増やすのかといった動きにもなってきているから、どちらにしても住民の負担は増えるということを考えておかなければならないわけで、そのほかに今までの借金を返すためだけの税負担を求めていけるかどうかということはなかなか厳しい選択になると思う。

【参加者】
○ 合併した方がいいかどうかというのは、資料にあるようなデータだけでは判断が出来ない。例えば、室蘭市は200億円の多額な借金があるから、それなら白老町と合併した方が借金が少なくて済むといった単純な基準で合併を考えてもいいのか。合併をするしないの基準がわからない。合併をするなら10万人以上の人口になった方がいいという話が出ていたので、それなら室蘭市と数合わせで合併をするのかということがいいのかどうか、基準があるようでないのではっきりとした判断材料を示してほしい。

【市長】
○ 企業会計の赤字はそれぞれ性質が違う。例えば、病院事業で赤字になっているのは市立病院だが、最近は採算が良くなり減る方向にある。これについては、登別市民も利用しているから、これくらいは一部負担してもしょうがないと思うかもしれない。
○ ところが、下水道事業については、補助金のほか市単費が足りない分は起債(借金)で措置するが、登別市は企業会計ではなく特別会計でやっており、その起債の償還額の約半分は地方交付税に上乗せして交付してもらえることになっている。
○ この措置はすべての市町村でやっているが、本来上乗せ分の交付税は一般会計で受け入れているから、一般会計からその部分は繰り出しをして特別会計の不足分を埋めなけれなならないが、一般会計も火の車だとそれが出来なくて、放置していた結果室蘭市はこうなった。だから、この分は運営する方に責任があるので、しっかり自分達で合併する前に整理をしなさいといったような意見が出ることになると思う。
○ 一つひとつそういう議論をしたうえでどうするか、財産の分け前をどうするかというのもあるが、負債の整理をどうするかは一つひとつの合意が必要になってくる。その他に、行政サービスのレベルが違うわけだから、合併するとなれば高い方に合わせる努力をしなければならない。そうすると、遅れているほうの投資がこれから必要になってくる。これは、合併するまでにはある程度国の支援も受けながら特別なスピードアップをしなければならない。
○ つまり合併するまでには事前にこういう話し合いをした上で、合併前の準備段階として整理しなければいけないことが当然出てくることになります。したがって、合併協議会が出来て順調に進めば22か月で合併の手続きが終わる言われているが、そんなに簡単なものではないと思っている。

【市長】
○ 合併を考えるには、経済圏も生活圏も一緒になっている所が、これから何年か先のその地域の利便性を高め、生活に関連することを整えていこうということだと思う。そのためには人まかせではなく、自分達の意見を反映させながらしっかりと分担していこうということで、行政体を一つにして協働してやろうということだから、そういう必要性は出てくると私は考えている。
○ しかしそれまでには、いろいろな課題があるので、それをどうするかを踏まえて行わないと、後でとんでもない、だまされた、こんなはずではなかったということが出てくる。それでは困るということで、資料を示している。

(質問)
○ 合併協議会の設置に必要な署名が集まらなかった場合、合併協議会は設置されないのか。
【市長】
○ そうではない。住民の意思がこういった論議を重ねて合併をした方がいいとなると、合併する相手との折衝を行い、合併できそうだということを確かめたうえで、それぞれのまちの議会に合併協議会を設置するように我々が提案する。
○ これまでなかなか合併が進まなかった要因として、地方自治体の首長や議員に責任があるといわれている。例えば、複数のまちが合併すると首長は一人でいいから、あとの人は首長になれない。議員の数も減らされるので、議員になれない人が出てきて、それはいやだということになる。
○ こういったことから、合併に積極的になれない首長や議員が多いといわれている。私はそうではないと思うが、そういったところがあるのも確かです。国はそう思い込んでいて、議会をあてにせず、住民が合併協議会を直接請求出来る仕組み・住民発議制度を設けようという改正を行った。

【参加者】
○ 青年会議所で室蘭と登別の合併協議会を設置しようということで、署名活動を行っているが、なぜ室蘭、登別という言葉が出ているのかがわからない。室蘭市との合併を前提として合併協議会で議論をしていくのか、それとも、登別市として独自に合併先を考えて合併協議会で話し合いをいていくのか。

【市長】
○ 登別市の長い歴史の中では、室蘭との経済圏、生活圏が一緒で、室蘭で働いている人、かつて働いた人がかなりの割合でいる。それから、年齢によるが、室蘭と登別は高校が同じ学区になっているので、室蘭の高校に通い、卒業した人もたくさんいる。総合病院も室蘭の方にかたよっているから、ほどんどの方が室蘭に通院しており、文化施設、体育施設も室蘭のを使用していることが多いというこのような関わりがあると思う。実際に登別に住んでいても、登別では寝るだけ、日常活動は室蘭の方しか見ていないという人が登別市民の中に見られる。
○ 逆に登別漁港は、白老と登別が一緒に使う漁港として造った経緯があり、白老漁港も出来たので白老漁協はそちらを使っている。それでも、避難するときは登別漁港を使うので、実際には登別の漁協と虎杖浜漁港が中心になってたまには、白老町も使っている。
○ 虎杖浜のほとんどの住民は、昔、登別の学校に来ていたので、生活圏は登別と一緒になっている。そういう意味では、かつて室蘭から合併の申し出があったときに、登別温泉、登別地区は虎杖浜と一緒になって独立しようという話がでたことがある。このような下地もあるので、市民の中には室蘭と合併することに抵抗がない人と、白老と合併した方がいいという人もいる。
○ 合併を考えるなら将来は室蘭、登別、白老と3つの方が、伊達と登別というよりもなじみがいいのではないかという考えもあろうかと思う。したがって、署名が終わって合併協議会の設置要求がくれば、私は自分の意見を付けて議会に提案しなければならないが、その意見をどう書くかは、まだ決めていない。皆さんとの話し合いを重ねたうえで意見を書かなければと思っている。

【参加者】
○ 登別は2年前に市制施行30周年を迎え、市民参加のまちづくりを行ってきた経緯がある。特に、ここ数年はそういった気運が高まってきたと思う。市民参加のまちづくりを進めていこうといったものが昇り調子であるこのときに、合併をしたことによって失われてしまうのではないかという不安があるが、このことについて、どのように考えているのか聞かせてほしい。

【市長】
○ 難しい問題だが、自分達の世代には実現しないかもしれないが、将来のことを考えたら合併を前提にして取り組んでいくべきではなかろうかというような考え方が強くなれば、2年や3年のうちに合併をするというのではなく、5年後、10年後といった準備期間を設けて、合併についての議論をしていくといったことも可能であると思っている。

【参加者】
○ 合併についてのメリット、デメリットがわかりにくい。配布された資料についても現在の財政状況が書かれているが、合併後、10~20年後のスパンでものごとを考えていくのも大切なことだと思う。合併の根底にある地域主権、地方分権の話とともに、合併推進協議会ひとつをとっても文字としては出てくるが、一体何をどうするのかという具体例がなかなか目につかない。
○ 配布された資料も、実際合併が行われることによって、下水道の設備がこのように変化する、白老町と広域で処理しているごみ処理も室蘭と合併することにより、こういったメリット、デメリットがあるといった具体例を示してわかりやすくした方がいいのではないか。
○ 私は、合併ありきではいけないと思う。お互いに自分たちのまちの文化、歴史、感情といったものに大きく左右されているという現状がある。例えば、登別市役所に訪れた人が登別駅で降りてしまった場合、市役所は中央町にあるわけですから、そこからまた移動しなければならない。こういった誤解があるので、登別駅を登別温泉駅、幌別駅を登別駅に変えてはどうかといった意見も数年前、あるいは数十年前に起こったことがあり、名称一つとっても感情論が出た。
○ 私は、合併しなくても出来る広域連携、あるいは広域的な行政の公共投資といったものがインフラ整備を含めて出来ると思う。つまり、感情論というところが大変危惧されるということ、合併に対してのメリット、デメリットについて長期的なスパンで話し合うことが必要であること、現状で認識するための材料が少なくてわかりにくいので、もう少しわかりやすい解説がほしいということ、合併ありきではいけないということ。
○ 合併協議会というのも、合併をするための会議と思われがちだが、そのテーブル上での議論は、合併をするかしないかということよりも市のまちづくり論争をするものと認識しています。

【市長】
○ ただいまの意見はもっともだと思う。ただ、資料に載っている合併におけるメリット、デメリットは、国がターゲットととしている人口が3千人程度などの小さな町村を対象にしている。そういうところは、本来、人口割でいくと極めて少ない交付税しかもらえないものが、何十倍ももらっているからそれが削られると大変なことになるので、合併によってこれから削っていこうとするものを、10年間はこれまでの計算どおりに交付すると、そして最後の5年間はざん減方式で15年間保障されるので、その間になんとかなるのではないかといった期待を持つことができ、そのことをメリットとして取り上げているが、10万を超えているまちと5万人以下のまちが合併しても、そういう意味でのメリットはない。
○ 登別市の場合は、地方交付税総額で約59億円となっているが、そのうち約3億円が上積みされている感じで、合併によって3億だけが維持されてもそれほどのメリットにはならない。
○ まちのエリアとして区域が広がり、人材が増えてきた中でまちづくりを考えるときに、地域の産業を活性化できるかどうかということがまず大きな課題で、それによって、地場産業が活性化し、雇用の場が広がれば若者の流出を防ぎ人口の減少も止められるといったことになれば、自然と勢いがついてくるというようなことがメリットになると思う。そういったことを合併によって行わなければ、合併におけるメリットは出てこない。
○ 出るものを節約するだけではたいしたことはなく、そういうことは広域連携でもできないことではない。例えば、ごみ処理を白老町と広域で行っているが、本当は室蘭や西胆振の人達とも一緒にやりたかった。広域連携で事業を進めようとすると、それぞれのまちが今一番必要なものは何かということで違い、その時期、室蘭は市立病院の建替えが最大の課題だったので、ごみ処理に関しては一緒にできなかった。広域連携でやるといっても、相当前から一緒に課題を検討し、その順番がある程度接近していて、一緒にやるという条件整理をしなければ、なかなか一緒にはできない。
○ 広域で一緒に職員研修や市民の交流事業などをやっているが、これから先消防を一緒にやらないかとよそから申し出はあるが、今消防を一緒にやってもあまりメリットはないと思っており、むしろ水道事業の方が早く出来るかもしれない。そういうことは合併をしなくても広域連携でやれないことはないが、限界はある。やはり合併して一つになった方が効率的にやれることは確か。
○ 経済界も広域的な取り組みでそういうエリアでの産業の活性化を取り組めるかというと、現に合併したまちの中でも商工会議所がそのまま残っているといった所も多く、経済界も一つになっていろいろな取り組みをやろうとすると、難しい面がある。

【市長】
○ 合併したらどういうまちづくりを進めるのか、問題をどう整理するのかといったことは皆さんが知りたいことだと思う。それなら合併してもいいとか、それはとんでもないといったことになると思うが、本音で真剣に論議するには、やはり合併協議会を設置して取り組まないとなかなかできないものだから、青年会議所の方はいっそのこと合併協議会を設置してもらおうじゃないかという行動にでているのだと思う。


【参加者】
○ 市民は、合併することによりサービスの向上がどうなるのかが非常に気になるところだと思う。公共料金、例えば、介護保険料が登別と室蘭では多分金額が違うと思うが、合併することによって一時的には高くはなるけれども、サービスは向上しますよといった具体例を示してもらうといいと思う。
○ 住んでいる人達が行政が破綻するといった地域に住むよりは、サービスが手厚く受けられるようなところに行ってしまうというようなまちづくりではなくて、自分達がどうここでこれから生きていかなければならないのか。自分たちのまちを見つめながら、よそのまちとも一緒にまちづくりをしていこうということが必要だと思う。借金のデータだけでなく、合併に関する具体的なシミュレーションや目で見てわかりやすい資料などがあると、より身近に合併問題に関する意識が生まれてくると思う。

【市長】
○ 合併問題を考えようといっても、文字ばかり書いたものを見せられてもなかなか理解できないというのはもっともな意見だと思う。我々としても、資料をつくる際は、グラフを入れるなど理解しやすいような工夫をしたいと思う。
○ それぞれの自治体がどういう問題を抱え、それをどうしなければいけないのかといったことや、行政のサービスレベルの違いを具体的にもっと表すことも必要だと思う。それを埋めるには、室蘭市や白老町と話し合いをして、合併に関してどのように思っているのかを把握することも大事なことだと思う

【市長】
○ 今日でひと通り一回目の懇談会を終わったので、この結果を整理して広報などを通じて皆さんにお知らせしたい。皆さんの意見、要望などを受け止め、もう少し資料を整理しながら、今後もいろいろなやり方で懇談会を行いたいと思っている。

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