4.芳枝さんの街角リポート

公開日 2013年02月25日

沢口芳枝さん(45歳)

訪問看護ステーションに看護婦として勤務するかたわらリサイクルセンターの運営委員として活躍。夫(藤夫さん、45歳)長男(勉くん、高校2年)、次男(強くん、中学3年)の4人家族。

芳枝さんのかかわっているリサイクル運動を視察するため神奈川県の主婦グループが登別市を訪れることになりました。ひょんな事から、当日の事例発表者として芳枝さんに白羽の矢が立ちました。

テーマは、「主婦の目から見たリサイクル」だそうです。自信は無かったそうですが、芳枝さんは、日ごろ買い物をしたり、ゴミを出したりする中で感じていることや登別の日常の暮らしのありのままを発表することにしたそうです。
沢口さん一家の日常のひとこまを、芳枝さんのリポートを通して紹介します。

美しい環境を守るためには、2つのことが基本だと芳枝さんはつねづね思っています。それは、環境についての本に書いてあったことでしたが、一つは、人々の生活の仕方そのものが環境と調和していること。二つには、環境を守るシステムが確立していることです。

最初は、なにか難しいそうなことだと感じましたが、日々の暮らしを注意ぶかく見てみると、このまちでは、そのことが知らずしらずのうちに実践されていることが分かりました。

昔、大量生産、大量消費という言葉があって、便利さと言うことが勘違いされていた時代があったそうです。 どんどん物が作られる一方で、どんどん物が消費され、その結果膨大な廃棄物が生じてしまったと何かの本で読んだことがあると言っていました。人々の暮らし方そのものが、環境に大きな負担をかけていたのです。

芳枝さんは、自分の生活の一端を報告することによって、リサイクルや環境と調和したこのまちの姿を紹介しようと思いました。

[芳枝さんのリポート]

(ショッピング(買物))

私たちのまちには、一家に一つ必ずショッピングキャリーがあります。市の消費生活センターから支給されるもので、買い物の時には皆んなこれを使います。

キャスターつきの買い物袋と言ったもので、野菜や鮮魚もそのまま入れることができますし、冷凍食品入れやカード入れ、携帯電話や傘なども入る小物入れも付いていて大変便利です。息子たちも買い物に行く時には、必ずこのバッグを持って行きます。

昔は、買い物のつど、ポリ袋に入れて持ち運んだり、また、野菜やお魚などは、発泡スチロールで包装されていたので、買い物をするたびに膨大なゴミが出たそうです。今は、そういうこともなくなりました。それに、消費者の環境への意識が高いので余計な商品の包装は、かえって店の評判を落としてしまいます。

ジュースの缶やビール瓶は、すべてデポジット制度といって買う時に缶や瓶の代金を店に預けておきます。空缶や空瓶を持って行けばその代金を返してもらえるので誰も缶や瓶を廃棄物として捨てる人はいなくなりました。

商品の表示は、値段や容量のほかに大気汚染物質などの環境影響データも記されています。環境影響負荷商品は、一人の使う量がきまっていて、そのまち全体の許容量が守られています。

野菜や加工食品には農薬や添加物のデータが細かく表示されています。もっとも、わたしたちのまちでは、ファームポート(郊外の酪農地帯の愛称~農園広場)の一角で温泉熱を利用した無農薬の野菜栽培が行われているので、いつでも新鮮で安全な野菜が安く手に入ります。それに誰が作ったか分かるシステムになっていて安心です。

お魚も海洋牧場から直接新鮮なものが店頭に並ぶので安心です。このまちでは、市民も企業も行政も一体となって環境と調和したライフスタイルを送ることを目指しています。

(廃棄物)

家庭からなるべくゴミをださないと言うのが、私たちのまちの基本です。生ごみはすべて家庭用コンポスト(生ごみ堆肥)にします。レストランやホテルなどの事業系の生ごみは市の施設で処理され、堆肥化されてファームポートや公園などで利用されます。

リサイクルが出来るものは、それぞれのシステムに基づいてリサイクルします。収集から運搬、出荷までをリサイクルセンターが統一的に管理しています。

どうしてもゴミとして処理しなければならないものだけを排出します。登別方式の分別排出が徹底していて、処理するのにも効率的です。収集方法は、シューター(圧搾空気を利用したパイプ装置)方式と個別収集の2方式です。

市の計画では、将来的にはすべてシューター方式になるそうです。シューター方式は、都市計画の再整備事業(古いまちなみを新しい地区計画に基づき美しいまちなみにつくりかえる事業)が終了した地区から次々に行われていて、それぞれの家にエアーシューターが設置され、ゴミをそこに入れるとパイプラインで自動的に中継基地まで運ばれる仕組みです。中継基地からは、市の大型収集車で処理センターまで運ぶシステムです。

処理センターでは、リサイクルできるものは、それぞれのシステムに基づいてリサイクルしていますが、雑ビンを利用したガラス細工やステンドグラスを市民が気軽につくることができる設備や自転車や家具などを自分で修理できるスペースがあり、工具などもそろっています。

さらに、新技術を使った焼却システムが稼働しています。昔は、焼却によって発生する化学物質の処理に苦労したそうですが、今は、完全無害化や効率安定化が可能になっています。もちろん、焼却によって生まれるエネルギーは、周辺の地区暖房や発電に利用されています。

この電気を使って、陶芸を楽しむことのできる設備は、陶芸愛好家のお年寄りには、大変な人気です。公共下水は100%普及し、また、農場の家畜ふん尿処理も完璧で、川や海の汚染はなくなりました。工場や建設現場から出る産業廃棄物は、広域的な処理体制が確立しています。関係市町村や国、道なども関与した廃棄物処理公団が、責任ある体制で取組んでいるので安心です。

このように私たちのまちでは、環境を守るシステムが確立しています。

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