平成30年第5回定例記者会見(2)

公開日 2018年11月26日

場所:第2委員会室

平成30年第5回定例記者会見

2.質疑応答

(室蘭民報社)香港でのプロモーションについて、JNTOの方やEGLツアーズの袁社長などから聞いた、現状の北海道観光に対する香港に住む方々のイメージはどのようなものだったか。

(市長)その点については、行った先々で聞きましたが、香港に住む人は地震についてほとんど忘れているとのことです。ですから、12月以降の旅行商品については心配ないのではないかという心強い言葉をいただきました。ただ、実際に旅行するときの商品、例えば『北海道ふっこう割』といったパッケージによって、大丈夫だと分かっていても、気にする人もいるのではないでしょうかという話をしていました。また、香港のFITのお客様が一番したいことは『車の運転』ということもあり、夏場のリピーターが多くいますが、冬場は車の運転が危険なため、スキーを楽しむお客様が増えても、ドライブを楽しむお客様が減るため、その分、香港からの観光客数が減ったようにみえる可能性があるといった話もしていました。

(北海道新聞)1点目として、復帰後初めての会見になるが、その間にあった大きな案件についてどのように考えているのか。2点目として、このたびの地震によって、短期間ではあるが登別温泉街に閉じ込められた方がいた。改めて、登別温泉街の防災・避難計画などについて、明らかになった問題点があると思うが、今後どのように対応を進めて行くのか。また、避難計画を策定するに当たり、緊急で対応するものはあるか。3点目として、JR登別駅のエレベーターの設置について、先の委員会で、地質調査などの結果、JR北海道が当初想定していたN値『30』よりも低い『26』しかなく、通常、建物を建てるときの『50』程度と比べて、かなり地盤が軟弱であることが報告された。設置に当たって費用がかなり高くなることが想定されるが、高額となった場合、市としてどのように考えているか。

(市長)1点目についてですが、入院中に災害が発生したことが一番心配しました。『平成30年北海道胆振東部地震』だけではなく、台風第20号、第21号、そして局地的大雨もありました。ですが、地震の際には、副市長をトップに災害対策本部を設置し、会議を延べ11回行い、また、これまでの経験や市民、市議会との間に築いてきた信頼関係がありましたので、私はそこについて安心していました。ただ、私の方に直接入る連絡がいくつかありました。気象台については局地的大雨などの際に時間に関わらず、室蘭地方気象台長自ら私に直接連絡をいただくことになっておりますので、病室でも夜中にいつでも連絡がとれるよう事前に病院に伝えておりました。局地的大雨の際には、午前1時ごろにも関わらず、気象台長から直接電話がきましたので、市担当職員にすぐに指示することができました。しかしながら、私自身が現場にいることができなかったことは、やはり一番申し訳なかったと思っています。副市長やいろいろな人から連絡を聞き、現場を想定しての指示ですから、下手をすれば指示ミスがあるのではないかという心配もありました。ですが、市職員のフォローによって、大きな混乱なく済んだことは、結果として安心につながったと思います。2点目の登別温泉に閉じ込められたということについてですが、先日、高橋知事が来られ、第一滝本館など、登別温泉街を見ていかれました。そのときに同席した登別国際観光コンベンション協会会長や登別温泉旅館組合長もおっしゃられていましたが、東日本大震災の時の経験から、今回はホテルが屋外に出ることが危険と判断し、屋内にお客様を留まらせ、おにぎりや味噌汁などを振る舞っていただきました。登別温泉が一体となって、対応できなかったホテルの観光客も違うホテルでサポートし、ときには、さまざまな条件で宿泊された方もいたのではないかと思います。このように観光客を路頭に迷わせないように行ったホテルの対応によって、登別温泉街に留まる時間が長くなったと認識しています。ただ、ホテルを出て、JR登別駅近くまで移動した観光客など、婦人センターなどの自主避難所に避難された方もいたと認識しております。また、室蘭の方が登別で困っている外国人をサポートして、翌日に空港に送ってあげていたということも聞いております。これは、登別だけではなく近隣の皆さんも困っている観光客を助けるという対応ができていた表れだと思います。課題としては、全てのホテルが一時的にでも発電し、サービスを提供できていたかということが問題になっていました。また、暖房に使用する燃料がどのくらいもつか、発電機から供給される電気と電力会社から供給される電気をどうように分配するかなどが、ホテルのオーナー同士で課題になっています。今一度、電力供給について、燃料をどの程度所有していて、その燃料をどのように使用することでサービスを提供することができるのかなどを把握しておく必要があり、市としての課題でもありますが、例えば、携帯電話などの充電はどうような形で行えばより多くの観光客に対し提供できるのかなど、検討していきます。もう一つ、聞いたこととしましては、どの部屋を避難所として提供するのかを決めていなかったため、臨機応変に対応していたホテルがあったということです。その点はもう少し精査をして、観光経済部に詳しい情報を提供いただけるようお願いしたいと思っています。そういった情報を共有するなど、より安全・安心を確保できる体制につながるよう、計画の中に落とし込んでいきたいと思います。3点目については、JR登別駅に関する委員会報告はそのとおりで、今後、どのようなことがあっても設置を進めるかというと、やはり難しい面が出てきたことは否めません。それはコスト面になります。コストがどれほどかかるかによっては、市だけの裁量では難しいと思っています。登別国際観光コンベンション協会や登別温泉旅館組合に、次の可能性について報告することが必要になると思っています。また、登別地区の地区懇談会で、市民の皆さんがエレベーターの設置やJR登別駅前のロータリー、周辺の土地利用や開発行為に期待を寄せていることが分かりました。その中でも行政としては、エレベーター設置が優先順位1番であると考えていますので、どのようにコンセンサスをとっていくか。登別地区の地区懇談会では、懸念材料についても、かなり浮き彫りになったと感じましたので、改めて、JR登別駅に関する全ての情報については、近隣住民、ときには白老町虎杖浜地区の方にも情報提供する可能性を十分に秘めておかなければいけないと思っています。ただ、どの程度のコストとなるかまだ分からないので、可能性は全て視野にいれながら、臨機応変にシフトチェンジしていきたいと思います。絶対設置するということではないということだけはご理解いただければと思います。

(北海道新聞)エレベーターを設置しない可能性もあるということでよろしいか。

(市長)市や市民、関係機関にとって、尋常ではないコストアップだった場合は、その可能性はゼロではありません。コストアップのレベルがあまりにも高い場合であっても、すぐにできないと判断することはできませんし、かといって、どんなに高くても絶対設置するとも言えません。心苦しいところがありますが、そこは、JR北海道から詳細について情報提供されたときに決めることができるように話をしていきたいと思います。

(北海道新聞)これまでのお話しでは、JR北海道と登別市の2者間で協議をして負担割合を決めることになっていたかと思うが、金額が大きくなるなど、場合によっては、登別国際観光コンベンション協会や白老町などに負担を求める可能性はあるのか。

(市長)尋常ではないコストアップとなった場合は、設置できないという判断もあるかもしれません。しかし、2者の費用負担の中で配分が変わった場合、例えばJR北海道が払うとしていた費用のうち、80【機種依存文字】しか出せないので20【機種依存文字】は登別市で負担できないかなどといったさまざまな話がある可能性もあります。そのときは一生懸命考えます。ですが、前提としては設置するという方向です。そのように、負担を求められたときに、近隣自治体や関係する企業に対して負担を求めるという考えは、現時点ではありません。市民に関しては、生活の安定や向上に明らかにつながると考えられる場合は、負担を求める場合があるかと思います。それは、寄付であったり、ふるさと納税のような形だと思いますが、可能性は検討していきたいなと思っています。

(北海道新聞)尋常ではないコストアップについて定義はあるか。

(市長)定義はないですが根拠のようなものはあります。市としては、当初、約1億円以内でできるのではないかと計算していました。バリアフリー化にはいろいろな考え方はあります。利便性を高めるためのバリアフリーや障がいのある方、高齢者といった社会的弱者への対応としてのバリアフリーなどがあり、数的には圧倒的に利便性を求めるニーズの方が多いですが、福祉のまちとしては、マイノリティーであっても、JR北海道との協議で、確実にJR札幌駅などから車いすの方や介助が必要な方が乗車し、JR登別駅で下車するということであれば、エスカレーターではなくエレベーターの設置を検討しなければなりません。そのようなときのエレベーターの強度や大きさ、また、エレベーターだけではなく、エスカレーターも付随した場合をシミュレートすると、1億円以内と想定していたものが簡単に3倍になり、地質調査が決まる1年前には、さらに倍の6億円という話もでています。当初が1億円でしたが、6億円を今後のバリアフリーや観光振興のために資する投資すべきかどうかということになると、今一度、足元をみて初心に戻り、市民、関係者と話し合いをしなければ、市だけでバリアフリーにするからどんな条件であってもやりますということにはならないという段階にきています。

(北海道新聞)非公式で、6億円程度になりそうという話があるのか。

(市長)いいえ。中には、10億円というシミュレーションもありました。3億円は協議中にあった非公式ではありますが公式に近い金額でした。仮の話では、7億円、8億円といった領域もあり、10億円にほぼほぼ近い10億円弱ということであれば、尋常ではない金額のレベルになります。JR北海道から、早ければ年内、遅くても年度内に総額が示されることとなっていますので、その金額によってということです。

(室蘭民報)1億円以内でできるというのは、あくまで市単独での負担額が1億円ということか。

(市長)はい。いろいろとJR登別駅について検討したときがありまして、市で発注した場合にどの程度になるか、エレベーターを設置しているホテルのオーナーに直接金額の話を聞くなどして、算出した金額が1億円です。エレベーターについては、屋外のものや前後に入口がある特殊なもの、車いすに対応する大きさのもの、それ以外の規格などから選定して、そこで初めてJR北海道と交渉していこうかという話が過去のいきさつです。安価なものでは、1機で2~3千万円というシミュレーションもありました。1機であれば3千万円前後、2機の場合は6千万円などというものもありました。

(北海道新聞)6億、10億というのは市単独の額ではないということでよろしいか。

(市長)単独ではなく、また、跨線橋やパンダグラフ、かさ上げも含めた総額です。

(室蘭民報社)明日で大規模停電から6年となりますが、市長が振り返ってみて、2012年の大停電から今年の北海道胆振東部地震までの間で、市として防災という観点から取り組めたこと、まだ課題として残っていること、やらなければいけないことは何か。

(市長)先般の地区懇談会の中で副市長が話した総括と重複することがありますが、今回は地震の影響で停電が発生し、2012年は送電鉄塔の関係で停電が発生しました。災害がさまざまな種類がありますので、同じ停電でもいろいろと考え方が違います。今回の地震の場合は、停電対応が重要となりましたが、まずは地震対応が最初にあり、地震に伴い津波が発生しなかったことがよかったと安心しました。次に、協働の役割分担がうまくできていたということです。6年前になかなかできなかった役割分担が、今回は、町内会の方や議会の方などもスムーズに災害対策本部の中に来ていただき、会議体を構築することができました。6年後の今回、それが非常にうまくできたことです。このことで、今回、我々に責任がありますが、防災行政無線により伝えることができなかった『津波が来ないが、安否を確認してもらいたいこと』、『ごみが搬入できないこと』の情報伝達をしなければならない2点を口伝い、マンパワーでできました。これは、協働という役割分担がなければ、今回のように短時間で情報伝達はできなかったと私は自負しています。課題として残っている点については、行政そのものがどんなときでも、業務を継続するための業務継続計画(BCP)がまだ構築されていないということです。また、自主避難所の対応はできていましたが、自主避難所の中での課題は全てクリアできていたのかということです。例えば、電源の確保やテレビなどの情報伝達の媒体として準備が全部できていたかというと、まだまだ課題であると思います。しかし、課題から生まれた利点もあり、発電機は自分たちで用意しなければならないなどといった町内会側での自主防衛策みたいなものを自ら考えていただけるようになったということがあります。例えば、携帯電話などの充電は、集会所でできるのではないかという声が、地区懇談会の中で非常に多く、住民レベルで携帯電話の充電や炊飯ジャーなどを備えて、集会所でもできるよう、市としても周知を図っていこうと思っています。そのためには、発電機が設置されていない集会所に市が補助するなどといったことを、これから計画として作っていくのも一案だと思っています。その代わり、行政は違うことを行っていくということです。例えば、さらに情報伝達が短い時間で早急に流せるような体制を構築する。防災行政無線を62基から70基に増やす。補助電源が足りなくなるということがないよう違う発電機を購入するなど、役割分担をしてできるようになることがあるのではないかと思っています。地区懇談会でかなりヒントをいただきましたので、改善できる欠点として認識をしました。

(読売新聞)先日、2025年に開催されることが決まった大阪万博は、医療と健康をテーマにされるということですが、健康という面では、温泉地としてのシティーセ-ルスなど、できることがあると思います。まずは、大阪万博についてどのように関心を寄せているか。そして、行いたいと思っていることはあるか。

(市長)世界から人を呼び、地域の活性化を日本全体に波及させていく考えは、私は大賛成です。2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会もそうです。以前に行われた大阪万博は、私が直接行くことができなかった時代ですから、その万博を経験したことがある60歳代や80歳代の元気な方から、現役世代にどのように昔の大阪万博を伝えられるかによって、東京オリパラでできる伝説を新たに作るきっかけのお手伝いができるかもしれないということで、ありがたいと感じていました。ただ、関西、大阪は日本全体の中でも独特な感覚があると思いますので、そこについていけるかどうかというところがあると思います。あとは、健康とか医療の部分のいわゆるヘルスケアが、私たちにとってどこまで身近で、ひっ迫した重要な課題なのかということです。以前の大阪万博では主に明るい話題であったかと思いますが、私としては、今回は重大なテーマとして、世界に発信するということを位置付けていることが含まれているのであれば、観光振興の面では何かしら協力しなければいけないと思っていますので、プラス思考で協力できることはしていきたいと個人的には思っています。

(室蘭民報)発電機について、お金の面で支援をしていきたいということだったが、地区懇談会では発電機を置く場所がないという声もあったがどのように考えているか。

(市長)まず、場所を考える前に、地区によってかなり世帯数が違うということがあります。世帯数によって、容量の違う発電機が必要になります。世帯数の小さい地区と多い地区で、発電機をどのようにするのかということを一度きちんと考えた上で、発電機の補助、そして、保管の仕方を検討していきたいと考えています。その上で、質問のありました発電機などの収納場所について、市販の物置などで対応できるのか、もしくは集会場を少し増改築することで、収納スペースを確保することができるのか、そういうところに話が発展するのではないかと思います。集会場の増改築で対応するという場合であれば、集会場は、現在、年間約700万の予算で順次、補修を行っていますので、その予算の中で上手に考えていく必要があると思います。新たに予算をあてがうかどうかは、まずは既存の可能性を確認してからになります。その上で、不足分の予算や新規に政策としてやらなければならないと判断した場合は、予算化する可能性は十分にあると思います。担当グループによる最初の発案などが関わってきますので、総合的にいろいろな組み合わせによって、臨機応変に変わっていくということはご理解いただきたいと思います。

(読売新聞)補正した緊急誘客特別対策事業費の481万円は、具体的にどのようなことに使用しているのか。

(市長)基本的に、観光振興ですから登別国際観光コンベンション協会への補助がメインです。しかし、誘客に関しては行政側も行いますので、旅費相当分やノベルティの費用といったものに使用しています。現時点で、緊急誘客関係でこれから行う予定のものとしては、第4回市議会定例会が終了した後に、東南アジアのタイに緊急誘客プロモーションをしなければならないと思っています。その前段として、ビジットジャパンキャンペーン(VJ事業)に関連して、北海道運輸局に協力いただいて、11月28日にタイの観光客をお呼びして、登別市をPRします。メディアの人もいますので、発信していただけると思いますが、我々からも登別は安全であるということをPRし、また、来年の事業として、一つや二つ、パッケージものをプロポーザルしていきたいと思っています。今、考えているものは、実践可能かは交渉中ですが、タイの教育旅行を活用し、中学生や高校生をできるだけ長い期間、登別市にステイさせて、その中でいろいろなものを体験させて、安全性と安心性をPRして、戻って口コミをしてもらいたいと考えています。大人の短期間の滞在ではなく、子どもの教育旅行の方が、安全性をPRできる最たるコンテンツであると考えています。それを教育委員会、観光経済部、保健福祉部、市民生活部が横串になってできないかなと、来月に向けて準備をし始めました。間に合うか分かりませんが、緊急なので取り組みたいと思います。

(北海道新聞)タイの教育旅行での体験場所は、カルルス温泉サンライバスキー場やふぉれすと鉱山といったところか。

(市長)タイの場合のサマーバケーションは、7月、8月ではなく、4月よりも少し前になります。そうなると、我々が営業しなければならないのは、年度末の2月、3月になってしまいます。そして、3月、4月と年度がまたがりますので、予算配分としてどうするか、事業を組み立てるときに、いつのタイミングで発案し、予算化させるのかをパイロット事業として早急に組み立てたいと思っています。ただ、早ければ、年度内に試行的なことを実施したいと思っています。それがうまくできれば、どの国に対しても、どの学校に対しても、システム化ができるものと思っています。新規のパッケージは、登別国際観光コンベンション協会側でも考えていますが、我々も魅力づくりの一環として、一つでも二つでも考えていきたいと思っています。

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