3.利用区分別土地利用計画


1.生活創造域

[基本的な考え方]

 生活創造域の土地利用にあっては、良好な都市環境を確保するため快適な都市基盤の整備等をすすめ、土地の有効利用に努めるとともに、高度で機能的な都市環境の創造を目指して、商工業等の業務機能や住居機能あるいは文教施設、公園緑地、厚生福祉施設、交通施設等の公共機能等を集中して整備することを基本とします。

 住宅地については、今後予想される人口及び世帯数の変動や高齢化、少子化などの進展に伴う生活様式や居住様式の変化などに対応するため、ゆとりある居住環境の整備に必要な土地の確保に努めます。

 また、地域の自然的特性や歴史的特性を活かした市街地再開発や市街化区域内未利用地などの有効利用をすすめ個性的で文化的な快適環境づくりをすすめます。

 商業用地については、多様化し増大する消費ニーズに対応できる商業機能の集積を図るため、賑わいや楽しさ、交流の場としての機能的で魅力ある商業地域の形成に必要な用地の確保をすすめるとともに、道路整備事業と連携して電線類の地中化、幅の広い歩道の整備、美しい景観の創造など快適な商業空間の形成に必要な用地の確保を図ります。

 また、経済のソフト化サービス化の進展等に対応し、物流機能を活かした流通産業や新しいサービス産業の形成に必要な用地の確保に努めます。さらに、高度情報化社会に対応でき得る商業・流通業・サービス業の形成に向け、高度情報基盤の整備に必要な用地の確保を図ります。

 工業用地については、室蘭圏域の技術集積や物流機能の優位性を活かした工業の振興や先端技術産業など拡大する工業生産のための用地の確保をすすめます。また、工業用地の確保にあたっては、自然環境や生活環境の保全に十分配慮するとともに幹線道路網、工業用水等の産業基盤や居住環境の整備をすすめるなど総合的な立地環境づくりに努めます。

 道路については、市内の土地の一体的な利用及び市民の良好な生活・産業基盤の整備をすすめるため、増大する道路 交通需要や市内各地域の発展方向に配慮しつつ、他圏域へのアクセス強化を図る道路及び市内各地区の連携強化に資す る道路網の整備に必要な用地の確保に努めます。

 また、多様化し増大する観光レクリエーション需要に対応するため、広域観光ネットワークを形成する道路に必要な 用地の確保に努めるとともに、観光レクリエーション都市にふさわしい道路環境の整備に努めます。その他文教施設、 公園緑地、厚生福祉施設、交通施設等の公共施設等市民福祉の増進やゆとりある都市環境の形成に必要な用地について は、市民ニーズの変化を踏まえ、環境の保全と防災対策に十分配慮して必要な用地を確保するとともに、既存施設用地 を含めた土地の有効利用を図ります。



[施策の基本方向]

(1)住宅地

・ゆとりある居住環境の整備をすすめるため、富岸町、若山町、緑町、片倉町、柏木町、常盤町、千歳町、幸町、富浦町、登別東町、中登別町における市街化調整区域の一部について市街化区域への編入を検討し、住居系の土地利用を促進します。


・住宅地の整備にあっては、各地域の特性を活かしつつ適正な建築や開発を誘導して良好な街並みづくりに努めるとともに、公営住宅の新設や建て替え、民間による良好な宅地分譲・宅地供給を促進し、市民のライフステージに応じた多様な住まいづくりに必要な用地の確保に努めます。


・小規模宅地の密集した地域や生活道路などの整備が不十分な住宅地においては、道路整備や共同建て替えを促進するとともに、緑地やオープンスペースの確保に努めるなど良好な住環境の改善を図ります。


・すでに良好な住環境が形成、あるいは形成されつつある住宅地においては、適切な制度の活用を図り、宅地の細分化や環境水準の低下を防ぐとともに、ゆとりとうるおいのあるまちづくりに努めます。


・新たに宅地として整備される地域については、土地区画整理事業の実施や地区計画の策定などに努め、良好な住環境の形成を図ります。



(2)商業・業務用地

・日常生活に密着した近隣商業機能を充実するため、土地の高度利用及び共同利用を促進するとともに、各地区の特性を活かした商業空間を形成するため、優良建築物等整備事業、市街地再開発事業などの導入に努めるなど、地区商業核の形成に必要な用地の確保をすすめます。
また、沿道型商業施設の立地に必要な用地の確保に努めるとともに、良好な住宅地環境を保全するため地区計画の策定や用途地域の変更を検討します。


・経済のソフト化、サービス化等の進展に伴い増大する新たなサービス業や流通産業に必要な用地の確保に努めます。


・高速道路インターチェンジに近接した地区については、物流機能のより一層の充実を図るため物流基地形成に必要な用地の確保に努めます。


・情報産業、先端技術産業の立地に必要な用地の確保に努めるとともに、良好な自然環境を必要とする知識集約型産業の立地を促すため、必要な用地の確保に努めます。


・観光レクリエーション利用域における商業・業務地にあっては、コンベンション施設、宿泊施設、レクリエーション施設の整備や訪れる人に魅力ある商業・業務機能の集積を図るため、高度な土地利用を促進します。



(3)工業用地

・室蘭圏域の技術集積や札幌、新千歳空港への至近性などの優位性を活かして、先端技術産業等新たに拡大する工業生産のために必要な用地の確保を図り、総合的な立地環境づくりを促進します。


・幸町における市街化調整区域の一部について市街化区域への編入を検討し、工業系の土地利用の促進に努めます。


・住宅が混在している準工業地域においては、原則として工業系土地利用への純化に努めます。また、職住近接がふさわしい工業に必要な用地にあっては、地区事情に対応した適切な制度の活用を図るなどして工業機能と生活機能の調和を図ります。



2.特定利用域

[基本的な考え方]

 一般廃棄物や産業廃棄物の最終処分施設、火葬場、霊園(以下、「特定都市施設」という。)など快適で文化的な市民生活を確保するうえで欠かすことのできない施設の整備に必要な用地の確保に努めます。

 用地の確保にあたっては、環境を汚染することなく、さらに水道水源や生活用水、営農用水、養魚用水並びに周辺住民の生活環境に影響を及ぼさない地域を特定して確保することに努めます。


[施策の基本方向]

・公共の利益に資する等特別な事由がない限り特定利用域以外での新たな特定都市施設の設置は行わないこととします。


・廃棄物の最終処分施設については、地域住民の理解を得ながら適切な配置に努めます。


・千歳町の一部における設置目的を終了した一般廃棄物最終処分施設の閉鎖後の跡地利用については、緑地化を基本として自然を活かした公園など地区特性にあった有効利用に努めます。



3.自然利用域

[基本的な考え方]

 農用地については、計画的な整備に努めるとともに無秩序な転用を抑制し、優良農地の確保を図ります。また、快適な生活と効率的な生産が両立でき得る環境整備や基盤整備に必要な用地の確保に努めます。

 採草放牧地については、樹木のもつ多面的な機能を活かした北海道らしい景観づくりに努めます。また、観光と結びついた登別らしい農業振興に必要な用地の確保をすすめます。

 森林については、木材やパルプ生産等経済的機能に加え国土保全、水源かん養、保健休養、自然環境保全、魚を育てる魚付林などのほか、動植物の繁殖の場として公益的機能を総合的に発揮できるよう必要な保全、活用、創造に努めるとともに、他利用区分への無秩序な転換の抑制に努めます。また、より豊かな森林へと育成するため、樹木の伐採にあたっては環境保全に努め、跡地には計画的な植林の方策を図るほか市民が身近に緑とふれあうことのできる交流空間としての整備や自然学習を行う教育空間としての整備に努めます。

 海岸及び沿岸海域については、水産業との調和を図りながら、海上交通、レクリエーションなど多様な利用が図られるよう、陸域との一体性に配慮しつつ、地域の自然的条件や特性に応じた利用の高度化をすすめます。


[施策の基本方向]

・自然環境や農林漁業に十分配慮しながら、地場産業と有機的に結びつく新たな産業の形成に必要な用地の確保に努めます。


・良好な自然環境を必要とする知識集約型産業の立地を促すため、必要な用地の確保に努めます。


・恵まれた自然環境、農村景観を活かして基幹産業である観光と結びついた登別らしい農業に必要な用地の確保を図ります。


・生産性の高い安定した農業経営を育てるため、土地改良、耕土改良等の土地基盤の整備を計画的に推進し、土地生産性の向上に努めます。


・森林については、計画的な植林など保全整備を図るとともに、市民の交流空間、自然学習を行う教育空間としての整備に必要な用地の確保に努めます。また、保安林については適正な管理を行うとともに、やむを得ず他の用途へ転用する場合には、代替保安林の確保等に努めます。


・海岸及び沿岸海域にあっては、遊漁をはじめとする海洋性レクリエーション需要に対応するため、各種利用との調整を図るとともに、漁港の多目的利用に供する用地の確保に努めます。


・海岸の緑や海浜などの環境保全に努めます。


・農道については、農業の生産性の向上や観光と結びついた農業の振興、自然体験学習を推進するため、整備に必要な用地の確保に努めます。



4.観光レクリエーション利用域

[基本的な考え方]

 市民にとって住みよいまちであることが、訪れる人にとっても魅力的なまちであることを基本として、文化や工芸・芸術、スポーツ、健康など新しい時代の体験型余暇活動や家族のふれあいを満たしてくれる施設の整備に必要な用地の確保を図ります。


[施策の基本方向]

・時代とともに変化し増大する観光ニーズに対応するため既存観光施設のリニューアル(更新)やこれからの余暇活動に適した体験学習施設など新たな観光施設の立地に必要な用地の確保に努めます。


・国際観光レクリエーション都市にふさわしいコンベンション機能、宿泊機能の高度化に対応できる用地の確保に努めます。


・観光都市機能の高度化を図るため、高度情報基盤の整備に必要な用地の確保をすすめます。


・貴重な観光資源となる優れた自然の景勝地や天然資源の適正な保全に努めるとともに、秩序ある利用を図ります。


・生活創造域との重複エリアについては都市機能の充実にあわせ快適でうるおいのある観光施設の整備に必要な用地の確保に努めます。



5.自然共生域

[基本的な考え方]

 健康で文化的な生活を営むために不可欠な自然環境は、市民共有のかけがえのない財産です。自然をより豊かに育て、次代に引き継ぐとともに、広く市民がその恵みを味わい楽しむことができるよう、ワイズユースの理念を基本として秩序ある土地利用に努めます。


[施策の基本方向]

・貴重な自然を保全するため、自然保護条例の制定を検討します。


・都市計画区域外の鉱山地区については、無秩序な開発を抑制するため条例等の制定を検討します。


・国の天然記念物に指定されている登別原始林、北海道自然環境等保全条例に基づく鷲別岳学術自然保護地区、中登別自然景観保護地区の適正な保全を図ります。


・環境への負荷に配慮しながら森林保全や災害時にも対応できる道路の整備に必要な用地の確保に努めます。


・自然体験や自然学習の拠点として、ネイチャーセンターの整備に必要な用地の確保に努めます。


・人と自然のふれあいの場としての森林浴コース、自然遊歩道、バードウオッチングテラス、ホーストレッキングコースなどの整備に必要な用地の確保に努めます。


・豊かな自然を活用した野外博物館の整備に必要な用地の確保に努めます。